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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第320話 雪山で遊ぼう (4)

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う~ん、おはようございま~す。
澄み渡る青空、煌めく白銀、絶好の雪山登山日和ですな~。
おっちゃん、おはよう。そんでこの大量の荷物はなんぞ?

「坊主、起きたか。雪山で何泊するか分からんからな、宿泊用テントに食料等の一式。大体一週間は大丈夫な装備だぞ。」
そこには何リットルサイズだ?と言わんばかりの大きなリュック?背負子?が三つ。あとこれに空のポリタンクが付くらしい。

「雪山を嘗めてると本気であぶないからな、これくらいの装備があってもまだ不安なくらいだ。」

ふ~ん、雪山って大変なんだね。ところでおっちゃん、ここの住職って不思議体験大丈夫な人だったりする?

「ん?まぁ、あの人もこれまで色々体験して来た様な部類の人だからな。」

そう、じゃあ良いのかな?取り敢えず朝ごはんに行こうよ、俺葛の葉起こしてくるね~。
朝から元気な佐々木君なのでありました。


「「「お世話になりました。」」」

「はい、お勤めご苦労様です。無事の御戻りをお待ちしております。」
お寺の山門前、見送りをしてくれる住職に昨日のお礼を述べ、出発の準備に取り掛かる。
じゃあ黒丸、頼んだ。
”ウヮウッ”

”グングングングン”
みるみる大きくなる黒丸、その大きさは大型の車ほど。

葛の葉~、荷物の括り付けお願い~。
「はいよ若、任せておけ。」

無造作にリュックを放り上げると、どこからか取り出したロープを操り黒丸に括り付ける葛の葉。鞭使いもびっくりのロープ捌きである。

そんじゃ行こうか、増山のおっちゃん。

ポカ~ンっと口お開けたまま固まる増山のおっちゃんと住職。
頭《かぶり》を振り先に回復したのは増山のおっちゃんであった。

「あるがままを受け入れろ、状況を否定すれば死ぬだけだぞ、増山五郎。」
”パンパン”
頬を叩き気合を入れるおっちゃん、やはり出来る男は違う。


「では住職、行ってまいります。車の方、よろしくお願いいたします。」

俺たちは深く礼をして、雪深い霊峰へと向かうのでした。
半ば放心した住職を残して・・・。


ねぇ増山のおっちゃん、今日の目的地ってどの辺になるの?

「あぁ、以前山で寝泊まりした場所があるだろう、あそこが今回のキャンプ地になる。
大神様はあの地に人がくればすぐにお気付きになる。後は大神様次第と言った所か。」

なんかよく分からないけど、あの場所に行ってワンワン呼べばいいって事でOK?

「あぁ、坊主はその理解でいいんじゃないか?」
何故か残念な子を見る様な目でこちらを見るおっちゃん。解せん。

「所で坊主聞いていいか?」
何おっちゃん?

「なんでお前は雪に沈まずに歩けるんだ?」
現在お寺から一時間ほど進んだ山の中。新雪に覆われた雪道に残る人の足跡はなぜか一人分。傍から見れば増山が一人で雪山に入ったように見えるだろう。

これ去年から出来る様になったんだけどね、雪の上を歩いてるの。こう全体と一体になるって感じにすると出来るっぽいよ、ほとんど感覚でやってるから詳しく分かんないんだけどね。
葛の葉や黒丸、つくねも出来るんだし、おっちゃんもやれば出来るんじゃない?

サラッと言ってのけるのっぺり。
”お前それって軽身功の奥義じゃないか、浮身って俺も出来るけどそこまで凄い技じゃなかったよな!?下手すると漫画みたいに水の上を走れるんじゃないかこいつ!”

聞くんじゃなかったと後悔する増山を余所に鼻歌を歌いながら進むのっぺり。
普通の人間なら腰まで埋もれるほどの雪道をサクサク進んでいる事に、誰もツッコミを入れる事の出来ない一行なのでありました。
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