男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora

文字の大きさ
上 下
323 / 525
第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第319話 雪山で遊ぼう (3)

しおりを挟む
どこまでも広がる白い大地、背後に聳え立つ連なる山々。
霊峰御奉霊山。遥かなる太古より変わらぬその姿は、多くの信仰を呼び、今なお山岳信仰の聖地として人々に恐れ敬われるこの国の三大パワースポットの一つである。

おぉ~、空気がうまい!ザ・大自然、日頃の喧騒から離れ真の自然に抱かれる、う~んめちゃくちゃ癒される。
にしてもやっぱり遠いよココ。移動時間が十時間超えるって、朝早くに家出たのにもう夕方じゃん。それに雪残り過ぎ、もう三月だよ?普通春スキーもそろそろ終わりじゃない?そんな事はないと、五月の連休中までやってる所もあるの!?
知らなかった、ビックジョーが”春休みはスキーだー”って騒いでたからてっきり北国の話だと思い込んでた。
例年より積雪の残りが多いけどそこまで異常って訳じゃないと、なるほどね~。
で、隊長、今夜はどうするの?流石に今からってのは無謀だよ。
ふもとのお寺の宿坊を借りるんだ。増山のおっちゃんってそう言った神社や仏閣の施設に詳しいよね。前の仕事ってそういう所の営業もしてたの?それとも趣味とか。御朱印集めって流行ってるらしいしね。

ニヒルな笑みを浮かべ話を打ち切る増山のおっちゃん。ブラックな会社員時代を思い出しちゃったのかも、申し訳ない事をしたかな?
でも宿坊か、前世で一回だけ行った事あるけど精進料理とか食べさせてくれるんだよね、ちょっと楽しみ。

「お久し振りです、増山です。本日は突然の事で申し訳ありませんでした、どうぞよろしくお願いします。」

「増山さん、お久し振りです。あなたも色々大変だったでしょうに、本当にお元気そうでよかった。今日はゆっくりして行ってください。
お山の方は明日行かれるんでしょうか?宿泊の準備は整っていますが、今一度装備の確認をお願いできますか?」

「はい、では後程。今日は連れに男性がいますので、周りに余計な刺激を与えないよう先に宿で休ませていただきます。」

「そうですか、ご配慮ありがとうございます。ではご案内いたします。」

住職と軽い会話をする増山さん。でももしかして俺っちあまり歓迎されてないっぽい?おっちゃんその辺大丈夫なの?

「あぁ、坊主はあまり知らないと思うが修行中の尼は基本男子禁制でな。男性との接触を可能な限り避けるんだ。俺は何度かここに訪れているからその辺よく分かっているからいいが、坊主は分からんだろう?だから早く宿に移動すると言って住職を安心させたって流れだな。」

なるほど、流石は出来る男、卒が無い。
渡り廊下を進み宿泊棟へ。おっちゃんと俺が同室で、葛の葉が一人部屋へ案内された。
おお、何かどこぞの合宿所みたい。本当に簡素、ホテルとはまた違ってこう言うのも悪くない。

「荷物を置いたら食事に行くぞ、こういう所は飯が早いんだ。風呂は一応大浴場だが温泉とは違う、あまり期待するなよ。基本寝泊まりするだけの場所だからな。」

「あ、若。私は食事のあと少し抜けるぞ。こっちの知り合いに顔を出さないといけないからな、明日の朝には戻ってるからいなくても気にしないでくれ。」

へ~、葛の葉って結構顔が広いよね。前も牧之原温泉にいたし、もしかして全国津々浦々出歩いてるとか?いよ、謎多き女。
でも雪の中じゃ移動とかってどうするの、タクシー呼ぶの?

「向こうから迎が来るから大丈夫だぞ、寺の住職にもそう伝えておいてくれ。」

了解、気を付けて行って来てね。

おぉ、これぞ精進料理、湯葉のお刺身美味しい。がんもどきって鶏肉に見立てた精進料理の一つなんだよね、昔の修行僧もめちゃくちゃ肉が食べたかったんだろうな~。執念の一品、美味しく頂かせてもらいます。お出汁が効いてて美味しい~♪
でも大豆って凄いわ、これだけ色々姿を変えて楽しませてくれるって、小麦と大豆くらいじゃないだろうか。
「・・・・」
葛の葉、さっきから無言でひとの油揚げを狙うのは止めなさい、欲しいならあげるから。増山のおっちゃんもごめんね、気を使ってくれてありがとうございます。

「♪~。」
油揚げを貰ってご満悦な葛の葉。君はこれからお出掛けでしょうが、ほどほどにしておきなさいね。

床に置かれたペット皿で仲良くドッグフード(半生タイプ)を食べる黒丸とつくねを見ながら、明日の登山に思いを馳せるのっぺり佐々木君なのでありました。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

処理中です...