315 / 525
第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第311話 それぞれの悲喜こもごも
しおりを挟む
「私もうダメだよ、あなたの傍にいる資格なんてないんだよ。あなたにはあなたの道がある、こんな駄目な私よりもっと相応しい人が・・・。」
二人の男女、女は悲しみに涙を浮かべ男から顔を背ける。
「何言ってるんだよ、お前より相応しい相手って何だよ。お前がどれだけ頑張って来たのかだなんて俺が一番知ってるっての。別に一生の別れなんかじゃない、会おうと思えばいつだって会えるんだから。」
両肩をしっかり掴み、相手の目を見て話し掛ける男。心からの言葉にゆっくりと顔を上げる女。
見詰め合う二人、やがて二人はしっかりと抱きしめ合う。
ナニコレ?昭和歌謡のワンシーン?世代としても前世の俺の更に親の世代、男が港町から貨物船で旅立っちゃうって言うよく分からんシチュエーションの時代の奴。
なんで飛行機じゃなくて貨物船?密航?怪しいお仕事なの?
あの頃の歌って謎がいっぱいだったよな~。
少なくとも決して学び舎で見ていいもんじゃないこの光景。
しかもここは朝の中学校、これっていったい何なのさ。
おはよう木村君。今朝は色んな意味で訳分かんないけど、一体全体何が起きてるの?
「あぁ佐々木、おはよう。こないだから私立高校の合格発表があっただろ、本命に行けなかった奴や彼氏と同じ学校に入れなかった奴が騒いでるみたいだぞ。
みんな頑張っていたみたいだが、こればかりはどうしようもないからな。」
それでか~、永遠の別れじゃないって言っても三年間楽しいイチャイチャスクールライフが送れないってんなら、絶望的になる女子生徒が出ても可笑しくないか~。
「それなんだがな、お前の所から新しいDVDが発売されてたぞ。桜木春子最新作、男を掌で転がすシリーズ第三弾、”離れた男を繋ぎとめる方法”。
月子姉さんが大絶賛していた、流石は桜木師匠だって言っていたな。さっきお前が見たって奴もそのDVDで紹介していたテクニックの一つだと思うぞ。」
駄菓子屋のおばちゃんまた出してたのねDVD。スタジオS&Bとしてはありがたいんですが、後から聞いて驚かされることが多くてですね~。
ウチもだいぶ規模が大きくなって来たから、俺が把握してない事業も増えて来てるんですよね~。マイマザーは面白そうって思ったらすぐにGOサイン出すし。
俺もなにがなんでも把握したいってたちじゃないから、みんなが楽しければそれでいいんじゃないって方だし。
「まぁ、俺が言うのもなんだがお前の所の会社、本当に行き当たりばったりだな。北川さんをはじめとした主要スタッフがしっかりしてるからいいが、彼女たちが抜けたら潰れるんじゃないか?そこの所大丈夫なのか?」
うん、木村君の言う通りなんだよね。うちって人に支えられてる事務所だから。それでもみんなやりたいことがあって入って来ているみたいだし、上手くやってるからいいんじゃない?
利益より楽しさ重視の会社だしね。月子さんを路頭に迷わせるような真似はしないよ。
「それは心配していないが、俺も一企業人を目指す身として勉強になると思ってな。そんなやり方もあるんだっていう稀有な例としてだが。」
そうだね、一般的でないのは誰の目から見ても明らかだし、代表がウチのマミーだしね。
お、西山君にみっちゃんくみちゃんおはよう。西山君たちは無事合格できたみたいだね、おめでとう。
「佐々木君おはよう。所で佐々木君に貰ったお守り、これ一体何?これを貰ってからもの凄く勉強がはかどったんだけど。頭がすっきりして物覚えも良くなった感じ、二人も同じ事言ってた。」
「「うん、凄かった。試験を受けた時も全然緊張しなかったもん。凄くリラックス出来て、全力を出せたって感じだった。」」
流石は道子さんの所のお守り、ご利益半端ないな~。
それ湯島天神にお勤めの巫女さんから貰ったお守りだよ、でも合格したのは三人の努力の賜物。お守りくれた巫女さんが言ってたけど、努力が結果に表れやすい様にはなっても幸運による結果だけを求めても何も起きないって。すべてはそれまでの道程が物語るんだってさ。
誇ってもいいんじゃない、三人とも本当におめでとうね。
「「「うん、ありがとう。」」」
何かスッキリした顔になる三人。お守りに頼りきりになるんじゃなく、自らの努力を大切にすればきっと結果はついて来るって。
老婆心ながら三人の若者の行く末に思いを馳せる、おじさんマインドののっぺり佐々木なのでありました。
二人の男女、女は悲しみに涙を浮かべ男から顔を背ける。
「何言ってるんだよ、お前より相応しい相手って何だよ。お前がどれだけ頑張って来たのかだなんて俺が一番知ってるっての。別に一生の別れなんかじゃない、会おうと思えばいつだって会えるんだから。」
両肩をしっかり掴み、相手の目を見て話し掛ける男。心からの言葉にゆっくりと顔を上げる女。
見詰め合う二人、やがて二人はしっかりと抱きしめ合う。
ナニコレ?昭和歌謡のワンシーン?世代としても前世の俺の更に親の世代、男が港町から貨物船で旅立っちゃうって言うよく分からんシチュエーションの時代の奴。
なんで飛行機じゃなくて貨物船?密航?怪しいお仕事なの?
あの頃の歌って謎がいっぱいだったよな~。
少なくとも決して学び舎で見ていいもんじゃないこの光景。
しかもここは朝の中学校、これっていったい何なのさ。
おはよう木村君。今朝は色んな意味で訳分かんないけど、一体全体何が起きてるの?
「あぁ佐々木、おはよう。こないだから私立高校の合格発表があっただろ、本命に行けなかった奴や彼氏と同じ学校に入れなかった奴が騒いでるみたいだぞ。
みんな頑張っていたみたいだが、こればかりはどうしようもないからな。」
それでか~、永遠の別れじゃないって言っても三年間楽しいイチャイチャスクールライフが送れないってんなら、絶望的になる女子生徒が出ても可笑しくないか~。
「それなんだがな、お前の所から新しいDVDが発売されてたぞ。桜木春子最新作、男を掌で転がすシリーズ第三弾、”離れた男を繋ぎとめる方法”。
月子姉さんが大絶賛していた、流石は桜木師匠だって言っていたな。さっきお前が見たって奴もそのDVDで紹介していたテクニックの一つだと思うぞ。」
駄菓子屋のおばちゃんまた出してたのねDVD。スタジオS&Bとしてはありがたいんですが、後から聞いて驚かされることが多くてですね~。
ウチもだいぶ規模が大きくなって来たから、俺が把握してない事業も増えて来てるんですよね~。マイマザーは面白そうって思ったらすぐにGOサイン出すし。
俺もなにがなんでも把握したいってたちじゃないから、みんなが楽しければそれでいいんじゃないって方だし。
「まぁ、俺が言うのもなんだがお前の所の会社、本当に行き当たりばったりだな。北川さんをはじめとした主要スタッフがしっかりしてるからいいが、彼女たちが抜けたら潰れるんじゃないか?そこの所大丈夫なのか?」
うん、木村君の言う通りなんだよね。うちって人に支えられてる事務所だから。それでもみんなやりたいことがあって入って来ているみたいだし、上手くやってるからいいんじゃない?
利益より楽しさ重視の会社だしね。月子さんを路頭に迷わせるような真似はしないよ。
「それは心配していないが、俺も一企業人を目指す身として勉強になると思ってな。そんなやり方もあるんだっていう稀有な例としてだが。」
そうだね、一般的でないのは誰の目から見ても明らかだし、代表がウチのマミーだしね。
お、西山君にみっちゃんくみちゃんおはよう。西山君たちは無事合格できたみたいだね、おめでとう。
「佐々木君おはよう。所で佐々木君に貰ったお守り、これ一体何?これを貰ってからもの凄く勉強がはかどったんだけど。頭がすっきりして物覚えも良くなった感じ、二人も同じ事言ってた。」
「「うん、凄かった。試験を受けた時も全然緊張しなかったもん。凄くリラックス出来て、全力を出せたって感じだった。」」
流石は道子さんの所のお守り、ご利益半端ないな~。
それ湯島天神にお勤めの巫女さんから貰ったお守りだよ、でも合格したのは三人の努力の賜物。お守りくれた巫女さんが言ってたけど、努力が結果に表れやすい様にはなっても幸運による結果だけを求めても何も起きないって。すべてはそれまでの道程が物語るんだってさ。
誇ってもいいんじゃない、三人とも本当におめでとうね。
「「「うん、ありがとう。」」」
何かスッキリした顔になる三人。お守りに頼りきりになるんじゃなく、自らの努力を大切にすればきっと結果はついて来るって。
老婆心ながら三人の若者の行く末に思いを馳せる、おじさんマインドののっぺり佐々木なのでありました。
1
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
.
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる