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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第301話 うちらの村に来て下さい (3)
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「フリータイム終了で~す。」
桜庭アナウンサーの合図で最後のフリータイムが終了した。
ぐるぐる紹介タイムの後も立食パーティー、場所を変えてのミカン狩りなどで盛り上がったお見合い大作戦も、いよいよ最後の告白タイムを残すのみとなった。
告白の会場は町の運動公園。広い芝生の絨毯に三十人の女性が横並びに整列し、向かい側には三名の男性が立っていた。
「のっぺりさん、いよいよ告白タイムですね!私さっきからドキドキが止まらないんですが。」
「桜庭アナウンサー、気持ちはよく分かります、俺もドキドキが止まらないのは一緒です。ですがここは冷静に、お仕事お仕事。」
「では男性参加者ナンバー一番、小林祐樹さん、お願いします。」
ゆっくりと女性陣の方に歩みを進める小川さん。女性参加者ナンバー三番の方の前で足を止めた。
「木島みどりさん、あなたのその笑顔に惹かれました。僕でよかったらお付き合いして貰えませんか!」
木島さんに手を差し出す小林さん。彼の不格好だが精一杯の告白に木島さんは・・・
「はい、こちらこそお願いします。」(///)
差し出された手を握り、顔を赤らめる木島さん。
「「「うぉ~~~~~~~!!」」」
会場は初のカップル誕生に大盛り上がり、割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
桜庭アナウンサーに迎えられうれし涙を浮かべる木島さんが会場脇に移動する。そう、ここで終わらないのが一夫多妻国家、小林さんはゆっくりと移動し、女性参加者ナンバー十四番の前で立ち止まった。
「ちょっと待った~。」
そこに掛かる待ったの声、男性参加者ナンバー二番武田強さんの参戦だ。
まずは小林さんから。
「北山苺さん、あなたと食べたミカン、とても美味しかったです。これからもっと一緒に食べに行きましょう。お願いします!」
そして武田さん。
「苺さん、ミカンの事を真剣に語るあなたに惹かれました。もっといろいろ教えてください。お願いします。」
二人の男性から差し出された右腕。
「あの、わたし、その、あの、う~ん。」
「誰か~、担架持って来て~、北山さんが気絶した~!!」
叫び近づくのっぺり、これしようがないよね、だって二人の男性に真剣に言い寄られるなんて、この男少女多の世の中まずあり得ないんだもん。パニック起こすなって言う方が無理、北山さんの件は一旦保留って事で。
小林さんは他に候補者いる?今回はこの二人だけだったんだ。じゃあ申し訳ないけど開始位置に戻ってください。
武田さんはここから再開でお願いします。
武田さんが移動したのは女性参加者ナンバー二十五番西田双葉さんの前。
「双葉さん、俺はさっきも話したけどただの引き籠りです。そんな俺をそれでもいい、一緒に頑張ろうって励ましてくれたのが双葉さんでした。情けない話だけど、双葉さんに縋っちゃっていいですか?」
「うん、いっしょにがんばろう。でもミカン農家は大変だよ?武田さん、頑張れる?」
「そ、そこはお手柔らかに。」
固く握られる手と手。
会場からは、祝福の拍手が送られた。
「のっぺりさん、俺も以上です。」
「武田さん、自分を曝け出すのってとても勇気がいるんです。なかなか出来る事じゃない、情けなくなんかないです、格好良かったです。あなたは十分変わる事が出来てましたよ。」
「のっぺりさん・・・、おれ、ここでミカン作ってもっと自分に磨きを掛けますよ。何時かのっぺりさんに食べてもらえるような美味しいミカンを作って見せます。」
「それは嬉しいです、楽しみにしてますね。」
「では最後になりますね。山田博人さん、お願いします。」
声を掛けられるもなぜか動かない山田さん。
「山田さん、如何なさいましたか?」
「のっぺりさん、俺やっぱり行けないわ。俺みたいな人間がこんなに素晴らしい人たちに偉そうに嫁選びなんて出来ないわ。」
山田さんは真剣な顔で参加者女性を見回し話し掛けた。
「最初の騒動を聞いてほとんどの方は分かっていると思うけど、俺は嫁に逃げられた人間です。今回のお見合いだって、逃げた嫁を見返したい、新しい嫁を見繕いたいって言う浅ましい考えで参加しました。
だから顔合わせの時にのっぺりさんに言われた言葉は衝撃的だった。こんな俺でも人を愛せるかもしれないって勇気を貰えた。でもやっぱり俺ってクズなんですよ、同族嫌悪、あの騒動の時乗り込んで来た彼は、もう一人の俺でした。
あの後のパーティーやミカン狩りの時に見せる皆さんの笑顔は本当に綺麗だった、そんな笑顔を今までの俺は傷付けていたんだって改めて思わされた。
俺なんかじゃ駄目なんですよ、さっきの二人みたいに共に歩む事を決意するような立派な人間じゃなきゃ。
今回は本当にありがとうございました。」
そう言い残し踵を返す山田さん。
「待って下さい!」
そこに掛かる女性の声、振り返り声の方を向く山田さん。
「あなたは確か・・・」
「小川です。あなたが追い返してくれた、あの男の元妻だった女です。あなたは決して駄目なんかじゃない、自分の事を見つめ直す事の出来る素晴らしい人です。そんなに自分を卑下しないでください、お願いします。
少なくとも私はあなたに救われた、あなたは私のヒーローなんです。
結婚なんかしてくれなくてもいい、またこの朝日町に遊びに来て下さい。そして一緒にミカンを食べましょう。」
立ち止まり彼女を見詰める山田博人。その頬には一筋の涙が流れていた。
「いいのか、本当にこんな俺が、またこの町を訪れても。」
「「「はい、いつでも来てください、山田さん。」」」
泣き続ける山田さん、そんな姿を涙を流しながらも笑顔で見送る女性たち。
「お見合い大作戦"うちらの村に来て下さい" in 朝日町」は、カップル二組、保留一件、欠場一件と言う波乱の結果で幕を閉じるのであった。
桜庭アナウンサーの合図で最後のフリータイムが終了した。
ぐるぐる紹介タイムの後も立食パーティー、場所を変えてのミカン狩りなどで盛り上がったお見合い大作戦も、いよいよ最後の告白タイムを残すのみとなった。
告白の会場は町の運動公園。広い芝生の絨毯に三十人の女性が横並びに整列し、向かい側には三名の男性が立っていた。
「のっぺりさん、いよいよ告白タイムですね!私さっきからドキドキが止まらないんですが。」
「桜庭アナウンサー、気持ちはよく分かります、俺もドキドキが止まらないのは一緒です。ですがここは冷静に、お仕事お仕事。」
「では男性参加者ナンバー一番、小林祐樹さん、お願いします。」
ゆっくりと女性陣の方に歩みを進める小川さん。女性参加者ナンバー三番の方の前で足を止めた。
「木島みどりさん、あなたのその笑顔に惹かれました。僕でよかったらお付き合いして貰えませんか!」
木島さんに手を差し出す小林さん。彼の不格好だが精一杯の告白に木島さんは・・・
「はい、こちらこそお願いします。」(///)
差し出された手を握り、顔を赤らめる木島さん。
「「「うぉ~~~~~~~!!」」」
会場は初のカップル誕生に大盛り上がり、割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
桜庭アナウンサーに迎えられうれし涙を浮かべる木島さんが会場脇に移動する。そう、ここで終わらないのが一夫多妻国家、小林さんはゆっくりと移動し、女性参加者ナンバー十四番の前で立ち止まった。
「ちょっと待った~。」
そこに掛かる待ったの声、男性参加者ナンバー二番武田強さんの参戦だ。
まずは小林さんから。
「北山苺さん、あなたと食べたミカン、とても美味しかったです。これからもっと一緒に食べに行きましょう。お願いします!」
そして武田さん。
「苺さん、ミカンの事を真剣に語るあなたに惹かれました。もっといろいろ教えてください。お願いします。」
二人の男性から差し出された右腕。
「あの、わたし、その、あの、う~ん。」
「誰か~、担架持って来て~、北山さんが気絶した~!!」
叫び近づくのっぺり、これしようがないよね、だって二人の男性に真剣に言い寄られるなんて、この男少女多の世の中まずあり得ないんだもん。パニック起こすなって言う方が無理、北山さんの件は一旦保留って事で。
小林さんは他に候補者いる?今回はこの二人だけだったんだ。じゃあ申し訳ないけど開始位置に戻ってください。
武田さんはここから再開でお願いします。
武田さんが移動したのは女性参加者ナンバー二十五番西田双葉さんの前。
「双葉さん、俺はさっきも話したけどただの引き籠りです。そんな俺をそれでもいい、一緒に頑張ろうって励ましてくれたのが双葉さんでした。情けない話だけど、双葉さんに縋っちゃっていいですか?」
「うん、いっしょにがんばろう。でもミカン農家は大変だよ?武田さん、頑張れる?」
「そ、そこはお手柔らかに。」
固く握られる手と手。
会場からは、祝福の拍手が送られた。
「のっぺりさん、俺も以上です。」
「武田さん、自分を曝け出すのってとても勇気がいるんです。なかなか出来る事じゃない、情けなくなんかないです、格好良かったです。あなたは十分変わる事が出来てましたよ。」
「のっぺりさん・・・、おれ、ここでミカン作ってもっと自分に磨きを掛けますよ。何時かのっぺりさんに食べてもらえるような美味しいミカンを作って見せます。」
「それは嬉しいです、楽しみにしてますね。」
「では最後になりますね。山田博人さん、お願いします。」
声を掛けられるもなぜか動かない山田さん。
「山田さん、如何なさいましたか?」
「のっぺりさん、俺やっぱり行けないわ。俺みたいな人間がこんなに素晴らしい人たちに偉そうに嫁選びなんて出来ないわ。」
山田さんは真剣な顔で参加者女性を見回し話し掛けた。
「最初の騒動を聞いてほとんどの方は分かっていると思うけど、俺は嫁に逃げられた人間です。今回のお見合いだって、逃げた嫁を見返したい、新しい嫁を見繕いたいって言う浅ましい考えで参加しました。
だから顔合わせの時にのっぺりさんに言われた言葉は衝撃的だった。こんな俺でも人を愛せるかもしれないって勇気を貰えた。でもやっぱり俺ってクズなんですよ、同族嫌悪、あの騒動の時乗り込んで来た彼は、もう一人の俺でした。
あの後のパーティーやミカン狩りの時に見せる皆さんの笑顔は本当に綺麗だった、そんな笑顔を今までの俺は傷付けていたんだって改めて思わされた。
俺なんかじゃ駄目なんですよ、さっきの二人みたいに共に歩む事を決意するような立派な人間じゃなきゃ。
今回は本当にありがとうございました。」
そう言い残し踵を返す山田さん。
「待って下さい!」
そこに掛かる女性の声、振り返り声の方を向く山田さん。
「あなたは確か・・・」
「小川です。あなたが追い返してくれた、あの男の元妻だった女です。あなたは決して駄目なんかじゃない、自分の事を見つめ直す事の出来る素晴らしい人です。そんなに自分を卑下しないでください、お願いします。
少なくとも私はあなたに救われた、あなたは私のヒーローなんです。
結婚なんかしてくれなくてもいい、またこの朝日町に遊びに来て下さい。そして一緒にミカンを食べましょう。」
立ち止まり彼女を見詰める山田博人。その頬には一筋の涙が流れていた。
「いいのか、本当にこんな俺が、またこの町を訪れても。」
「「「はい、いつでも来てください、山田さん。」」」
泣き続ける山田さん、そんな姿を涙を流しながらも笑顔で見送る女性たち。
「お見合い大作戦"うちらの村に来て下さい" in 朝日町」は、カップル二組、保留一件、欠場一件と言う波乱の結果で幕を閉じるのであった。
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