男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora

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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第294話 楽しいことは良い事です

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秋の早朝は良い。
少し肌寒くなった空気、高い雲、抜けるような青空。
羽毛の掛布団にくるまりしばし微睡まどろみを楽しむ。
何とも贅沢な時間。
”コンコンコン”

扉を叩く音にゆっくりと意識を覚醒させる。
起きればすぐにお腹が空くのはもはや条件反射だろう。

「おはようございます、Saki様。朝食の準備が出来ております。お着替えが終わりましたらリビングまでお願いいたします。」

俺は生返事をしてからのろのろと着替えを行う。鏡に映る寝ぐせの酷い貧相な男、どうも、のっぺり佐々木です。
別にこのままでもいいのだが家族同然とは言え他人の住む我が家、身嗜みは最低限行うべきでしょう。洗面所で念入りに調整、問題なし。
階段を下りリビングのいつもの席へ、今朝のメニューは何じゃらほい?

「本日は軽めにベーコンエッグとトースト、ポテトサラダを添えてございます。お飲み物はミルクとコーヒーの準備がございますがいかがなさいますか?」

そうだな、まずはミルクを貰える?コーヒーは食後で。

「畏まりました、すぐにご用意いたします。」

ベーコンエッグに軽く塩コショウを振り掛け、フォークとナイフで適当に切り分ける。その幾つかをパンに載せガブリ。卵の黄身の甘さとベーコンの塩気がいい具合に混ざり合い絶妙なハーモニーを奏でる。コップに注がれた牛乳をゴクリ。
あ~、旨い。ザ・休日の朝食、これもまた善きかな。
で、先ほどから目の前にいるお二方はいったいどう言ったご用件で?
植松さん教えてもらってもいいですか?

「佐々木君、ブレないでありますね~。ここまで一切触れずに朝食を始めるとは思いもしなかったのであります。普通朝から知らない人間がリビングにいたら何かしらのアクションがあってしかるべき所を一切スルー、驚くべき胆力でありますね~。自分感服した次第であります。」

まぁ、突然の事態ってのはもはや日常だからね、命の危険が無い限り焦る事はないかな?起き抜けに突然飛行機に乗せられるって経験を何度かすれば、植松さんでもこうなれるって。海に連れて行ってやるって言われて無人島に置き去りにされたこともあったな~。(遠い目)

「何ですかその面白エピソード、そこん所をもう少し詳しく教えて欲しいのであり「ゴホンッ」失礼いたしました。
本日このような早朝から突然お伺い致しましたのは、のっぺり佐々木様にお願いがあっての事でございますです、はい。」

え~、あまりいい予感がしないんですけど、どうしましたか?

「その前にご紹介させていただきます。こちら、我が社の社長であります浅田であります。」
「浅田プロダクション代表取締役社長、浅田美和子と申します。本日は早朝から大変申し訳ありませんでした。」

差し出される名刺。
え、会社トップじゃん、こんな時間から何やってんの?状況がそれだけ不味いって事?頼る相手間違えてません?

「もう我々はのっぺり佐々木様に御すがりするしかないのであります。どうかお知恵を貸して欲しいのであります。」

はぁ~、まぁ聞くだけは聞きますけど。申し訳ありませんが食事をしながらででもよろしいですか?パンが固くなっちゃうんで。
俺は食事を再開し話を促すのだった。


え~っと、要するに”カップルさん、いらっしゃ~い”をやりたいけどカップルがいない、ヘルプミーでOK?あと政府と国営放送がウチでもなんかやれってごねてるって事?

「まぁ、身も蓋もない言い方ですとその通りであります。」

なんか疲れた顔をしているお二人。だって余計な修飾語が多いんだもん。内容だって難しい言葉を使ってるけど中身薄そうだし、相手は中学生よ?シンプルに行こうよ。

「はぁ~、相手はのっぺり氏でありましたね、では分かり易く”助けてヘルプミー“。」

うゎ、植松さん開き直りやがった、流石敏腕躊躇が無いわ。
そんじゃ、幾つか。でもこれってスタジオS&Bとの契約って事でちゃんと法務部通してね。前の逃走王の二の舞は勘弁だからね、あれ仕方がなかったとは思うけど許した訳じゃないから。いくら植松さんでも民事行っちゃうからね。

俺は締める所は締めるぞと念を押し、相談に載るのであった。
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