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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第283話 学校見学へ行こう (3)

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その建物は森の中にひっそりと佇んでいた。
玄関前の日差しにはやや曲線を描いた柱が使われ、屋根は角度の強い三角屋根。端の飾りは鶏?あれって風見鶏?実物は初めて見た。全体の外観は西洋風。本格的洋館と言うより明治大正期に作られた和洋折衷の洋館と言った感じ。
やはりどこかから移設された記念館的な何かなんだろうか?

「なんだいアンタは、人ん家ひとんちの前でじろじろと。」
背後からの声に振り向くと、長い髪を後ろにまとめた小柄な女性が立っていた。

いや、すみません。この学園の事はよく分からなくって、森の中に建物があったんで見に来たんですが、ここって何かの記念館とかじゃなかったんですか?

一瞬目を見開く女性。すぐにこちらの顔を見ると何か頭を捻っている。
「アンタはこの家が目的で来たって訳じゃないんだね。偶然?偶々?この建物が見えたからやって来たってところかい?」

まぁ、そんなところですかね。以前来た時にも何で森に家があるのか気になっていたんで、今日は良い機会かなと思って。

”ほぅ~。”そう呟きながら目を細める女性。
「まあいいや、せっかく来たんだし寄って行くかい?お茶くらいは出すよ。」
えっ、いいんですか?それじゃ遠慮なく。
俺は思わぬ出会いから、お茶を頂けることになった。うん、ラッキー♪


へ~、それじゃ、今日の説明会に来る男子生徒の様子を見に行ってたんですか。
「まぁな、これからこの学び舎に通う生徒がどんな者か目を通しておくのも、この地を守るものの役目だからな。」

あれからいろいろとお話をして分かったのですが、この建物、記念館でもなんでもございませんでした。なんと、用務員さんの住み込みの寮でした。
こちらの用務員さん、名前を朱音さんって言うんですけど、長い事勤務されてるベテランさん。”この地を守り集う若者を見守るのが仕事”と使命感を燃やす仕事人でありました。森の整備や管理、土地全体の調整と職務は多岐に渡るそうです。住み込みの用務員さんは朱音さんともう一人彼女のお姉さんがいるそうですが、そちらは学園奥の森のもっと立派な庭園付きの御屋敷にお住まいだとか。
今度はそっちも見てこようかなと言ったら、苦笑い交じりに止められてしまいました。なんでもお姉さん、めちゃくちゃイケメン好きらしく、のっぺりくんにはお勧め出来ないとの事らしいっす。
そっか~、なら仕方がないか~、おそらく認識もして貰えないだろうしね。
イケメン好きに余りいい思い出のないSaki様の中の人佐々木君、危うきには近寄らないのであります。

「しかし佐々木君はよくこの学園のスカウトに誘われたね、色々問題があっただろうに。」
紅茶を啜り、当然の疑問を口にする朱音さん。
まぁ、簡単に言えば外部進学の根性無しが辞めちゃうからって事なんですけどね。
俺は高等部で起きている状況を分かり易く解説する。すると何か得心が行ったという顔の朱音さん。

「そう言う事だったのか、最近姉さんがキャーキャー騒いでると思ったら現状がそこまで変化していたとは。と言う事は、あの人生徒に紛れて学園に通ってるな?」
”ブフォ“
はぁ?ですよね?生徒に紛れて通えちゃえるんですか?
え、見た目的に問題があるんじゃ・・・、どう見ても十代の高校生くらいにしか見えない容姿?美魔女なんてもんじゃないじゃないですか、マジっすか、女性って怖いっすね~。
マイマザーもやろうと思えば出来るらしいけど、かなり無理が出るって言ってたし、それを素顔で行けちゃう女性っていったい。
この世の深淵に戦慄する佐々木君なのでありました。
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