上 下
279 / 525
第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第277話 夏の合宿は女の戦場 (3)

しおりを挟む
おら、お前たちの根性はそんなものか!
一年へばってんじゃないぞ、そんな事で戦いに生き残れると思ってんのか、鬼ごっこ舐めるな!
ラスト全員で砂浜ダッシュ往復五本、逝って来い!

「「「はい!!」」」

うん、一年連中も身体は死にそうだけど目が死んでないな、これならまだまだ大丈夫。二年三年はその点経験者だからな~、逃走王の出場経験が相当効いてるよな、あれに出れなくなったのは本当に痛い。植松さん辺りに何か考えて貰おうかな?こっちから売り込むのもあり?
おう吉田、今年の鬼ごっこ同好会、お前の目から見てどう映った?

「そうだな、全体の仕上がりは悪くないと思う。みんな真剣に取り組んでるしフィジカルも向上している。ただどうしても昨年と比べるとな、逃走王みたいな大きな目標があった頃に比べ闘争心と言うかそう言ったものが弱くなった気がする。
”One On One”は良いと思うぞ、闘争心剝き出しになるからな。ただ全国の強豪と戦う、世界の強豪と戦う、そう言った機会があった時に比べちゃうとどうしても勢いに欠けちゃって見えるのは、贅沢ってもんだろうな。」

やっぱりそうか~。
強豪相手に鬼ごっこ勝負、ちょっと動いてみるかな。
吉田、貴重な意見ありがとう、参考になった。それで話は変わるんだけど今日の夕飯の後そっちの三年男子、俺の部屋に来てくれる?こっちの三年男子も集めておくから。相談と言うか意見交換したい議案がございましてね。

「あぁ、分った。じゃあ後程。」

おう、頼んだ。
さてはてこっちもどうしますかね。


ほい、三年男子の皆さんお疲れのところ悪かったね。話ってのはもう気が付いてる人もいるとは思うんだけど、女子連中の動向だね。
修学旅行以降活発化してきているなとは思っていたけど、ここに来てあからさまに決めに来ていると思うんですけどどうでしょう?

「うむ、三年女子たちはこの合宿が終わったら完全に受験モードに突入だ。高校も意中の相手と同じ学校に行ければいいが、男子生徒と女子生徒じゃ扱いが違うからな。私立高校ならよほど素行が悪くない限り男子生徒はフリーパスだろうし、公立高校も学力的に酷い開きが無い限りまず問題なく入れるだろう。
それに比べ女子生徒は完全実力主義、しかも意中の相手に色んな女性との出会いが待っていると来たら心穏やかにはいられまい。自分の席を確保したいというのは自然な流れではないのか?」

そうだよな、お互い若いんだしもっと気軽にお付き合いをと言えないのが男女比が歪なこの世界。女性にとってお付き合いするって言うのは頭に”結婚を前提に”って言う枕詞が付くからな。それほどに出会いの機会がまず無い。ウチの町田も以前飲んだくれて愚痴りまくっていたもん、”社会に出たら男なんて幻だ”って。

西山君はみっちゃんくみちゃんと?
「うん、彼女達なら将来一緒にいても安心できるしね。僕って優柔不断な所があるから、ああいったしっかりした女性がいてくれると嬉しいかな。」

木村君は西城さん一本なの?
「あぁ、申し訳ないが、今のところ彼女しか意中の相手と言った女性には出会えていないな。将来の事は分からないが、それこそ焦って決める話でもないしな。」

まぁ、他の連中もそうだけど女子連中は真剣だ。決して遊びや生半可な気持ちで告白したり迫ってきたりはしない筈だ。その辺を考慮して、真摯な対応をお願いしたい。どうかこの通りだ、よろしく頼む。

俺は真剣にみんなに頭を下げる。
上手く行く行かないは人それぞれ。
どうかこの夏を糧に、よりよい人生を歩んで欲しい。


(side:野口絵実)

「「絵実先輩~、一緒にお風呂行きませんか?」」
夕飯の後、後輩の女の子たちから声を掛けられた。
この子たちも鬼ごっこ同好会のマネージャーとして立派に成長したもんだ。ウチの部活は基本ハードモード、救急介助はマネージャーの必須スキル。はじめはおっかなびっくりだったこの子たちも今じゃ立派な救命士だ。

「いいわよ、私もこれから行こうと思っていた所だし、でも嵌めの外し過ぎは駄目だからね?」

「「やった!早く早く~。ゴールデンタイムは待ってくれませんから~♪」」
やっぱりこの子たちも鬼ごっこ同好会の一員だな~。ノリが佐々木君と変わらない。

”ザバー“
「貴女達あまり急がないで、ちゃんと身体は洗いなさいね。」
「「は~い。」」

「みっちゃんシャンプー取って~。」
「はいくみちゃん、パ~ス。」
「ありがと~。」

「「先輩、どうやったらあのお二方の様なプロポーションに慣れるんですか!」」
う、なんて難しい質問。あの二人、三年になってさらにスタイルに磨きが掛かったから。みっちゃんはすらりとしているけど出る所は出て引っ込むところは引っ込むという理想のプロポーションに成長したし、くみちゃんはもう拝むしかないかな?
佐々木君曰く、ザ・母性。すべての男性を幼子に変える魅惑の御胸様。
こないだも西山君を一杯甘えさせるんだって言って張り切っていたからな~。(遠い目)
西山君、強く生きてね。

「それに絵実先輩なんて、顔もスタイルもイイなんて反則です。これでのっぺり先輩推しじゃなかったら私たち暴れてましたよ。」
う~ん、相変わらずののっぺり不遇。でもああ見えて佐々木君もモテるのよ?
本当なんだからね、そんな生暖かい視線で見ないでよ、恋は盲目ですネじゃないんだからね?
ほら露天風呂が待ってるわよ。
「「は~い。」」

「「「ふ~っ。」」」
やっぱり露天風呂は気持ちいいわ。遠くに見える海がまた最高、あの明かりは漁船かしら?
今年も出来てるわね、壁女子。あなた達ほどほどにしないと、佐藤先生や西城さんにお説教されるからね。

”ガラガラガラ“

あ、男子露天風呂に誰か入って来た。
”なぁ、お前らさっきの話、どう思う?”
”あぁ、佐々木部長の話だろ、今までそんなに考えた事なかったけど、女子にとっては切実な話だよな。”
”俺も二年の性教育の授業で結婚の義務やら精子提供の義務みたいなことを聞いたときには正直引いたけど、高校卒業までは猶予があるんだろ?まだまだ先って思ってたからな~。”
”部長も言ってたけど、学校卒業したら本気で出会いの機会なんてないらしいぞ、ウチの親も以前ママ友と愚痴ってたもん。”
”それじゃ、女子たちが真剣に恋活に励む訳だよな。”
”だよなぁ、俺たちも人工授精の子供たちなんだし、その辺真面目に考えないとな。”
”相手の気持ちに真摯に答えろか、今から胃が。”
”やめろよ、俺も痛くなって来たじゃねぇか。変なプレッシャー懸けんな。”
”アハハハハハ”

「「「・・・・・」」」
なんか凄いディープな会話が聞こえて来たんですけど、みっちゃんくみちゃんに映像研究会の三年女子の目が座ってるんですけど。
覚悟完了ってみんなどこ行くの?ちょっと落ち着こうよ~!!

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

処理中です...