276 / 525
第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第274話 みんなでお出掛け (2)
しおりを挟む
ワッハッハッハッ、イタチ君、早い早い。待て待て待て~♪
"キュキュ!?"
何をそんなに驚くか。これでも我は逃走王、イタチ君には負けんのですよ!
"キュキュキュイ~!"
ほれほれ、無事に滝まで逃げ切れるかな~?
"バッバッバッ"
"シュタッ、バッバッ、シュタッ"
「なぁ、増山の。」
「どうした九条。」
「若は本当に人間か?野生の猿でもあぁは行かないぞ。」
「ハハハハ、気にし過ぎると身が持たんぞ。俺たちも急ぐそ、お前らも気合いを入れろ!」
「「「・・・おう。」」」
"気持ちは分かる、強く生きろ。"
心の中でエールを送る増山なのでありました。
"ドドドドドッ"
高所から叩き付ける大量の水が、心の弛みを引き締める。徐々に研ぎ澄まされる精神。参加者達の集中が高まって行くのを感じる。
「山姫様、紅茶のお代わりは如何ですか?」
「えぇ、お願い。このラスク美味しいわね、山じゃなかなか口に出来ないのよね~。」
「グッボ~イ、黒丸。次は滝昇りにチャレンジ。」
"ワウワウガゥ"
「確かにライフジャケット無しは危険。残念、次回に期待。」
「ハハハ、何お前、少年に捕まって落ち込んでるの?」
"キュキュ、キュイー"
「残念、少年は一切術式は使ってませ~ん。完全に身体能力、あんた自分の力に胡座かいてたんじゃない?
少し山で修行して行く?」
"キュイキュイキュイ、キュイー!"
「おぉ、そのイキだ、頑張れ若人。」
「なぁ、増山の。ここはいつから異界に成ったんだ?」
自分たちの置かれている状況に理解が追い付かず、困惑の声を上げる九条。
「安心しろ、これは一時的なモノだ。神・魔・人のバランスが取れてる、淀みは生まれんだろうさ。」
同僚の言いたい事は分かるが敢えてその件には触れず、話を反らす増山。
"!?"
何かに気が付いたのか、一斉に滝から上がる一同。
「おい、坊主、早くそこから退けろ!」
ふと見回すと、何時もなら共に上がっているはずの坊主がいない!
上空から落下する大木、その下で瞑想を続ける佐々木!
"危ない!"
"ドゴンッ、バッシャ~ッ"
それはまるで奇跡の様な出来事だった。落下する大木が自ら避けたかの様な不思議な光景、でもその動きにまるで不自然さは見られない。
その中心に佇む佐々木は何事もなかったかの様に、心静かに瞑想を続けるのであった。
「お疲れ様でございました、Saki様。」
ノエルさん、タオルありがとうね~。やっぱり滝行は夏場だよね、春先は死ぬ。もう全身ガチガチに成るから、震えが止まらないから。
あれを平気な顔でこなしているおっちゃん達、やっぱり頭おかしい。
あ、山姫さんお久し振りです。こないだは大塚君達がお世話に成りましてありがとうございました。
お陰様で怪我の方もすっかり良くなった様です。最近じゃ失った体力を取り戻すって言って走り回ってますから。
「いやいや、あれは仕事だから気にしなくていいよ。それに少年の方こそ大変だっただろうに、ありがとうね。
気配察知も相当上達した様じゃないか、何かあったら仕事を頼むかも知れないからその時はよろしくね。」
ハハハハ、お手柔らかにお願いしますね。
この後は祠にもお伺いさせていただきますね。
「ねぇ、お義父さん。佐々木君がお話ししている方、山姫さんって言ってだけどまさかあの山姫様じゃないよね?ただ同じ名前ってだけだよね?」
「ハハハ、順子、世の中は理不尽に満ち溢れているんだ。"考えるな、受け入れろ。"、これが生き延びる為のコツだ。」
「「「ハハハハハハ」」」
辺り一帯に乾いた笑いが広がるのであった。
うん、ここはいつ来ても気持ちがいいや。
吹き抜ける風、輝く木洩れ日。山姫さんがしっかり管理してくれている為、雑草もそんなに生えていない。寧ろいい雰囲気。
うん、心が洗われる。
"ポカーン"
「なぁ、増山の。ここって鎮魂の祠だったよな。私の知らない神域じゃないよな。なんだこの神聖な領域は、大神殿でもここ迄の神聖さはないぞ!?」
「落ち着け九条。お前も気が付いているんだろ?とっとと認めて楽になれ。他の連中もそうだが、そろそろ状況を受け入れろ。姐さんが何の為にお前らをここに寄越したのか分かっただろう。慣れろとまでは言わん、そう言うものだと思って受け入れろ。
と言う訳でこれからは姐さんの家にはローテーションで通って貰うからな~♪」
"いい加減、お前らも犠牲になれ!"
増山の決定は全ての参加者(佐々木たちを除く)を絶望の淵に追いやるのでした。(合掌)
"キュキュ!?"
何をそんなに驚くか。これでも我は逃走王、イタチ君には負けんのですよ!
"キュキュキュイ~!"
ほれほれ、無事に滝まで逃げ切れるかな~?
"バッバッバッ"
"シュタッ、バッバッ、シュタッ"
「なぁ、増山の。」
「どうした九条。」
「若は本当に人間か?野生の猿でもあぁは行かないぞ。」
「ハハハハ、気にし過ぎると身が持たんぞ。俺たちも急ぐそ、お前らも気合いを入れろ!」
「「「・・・おう。」」」
"気持ちは分かる、強く生きろ。"
心の中でエールを送る増山なのでありました。
"ドドドドドッ"
高所から叩き付ける大量の水が、心の弛みを引き締める。徐々に研ぎ澄まされる精神。参加者達の集中が高まって行くのを感じる。
「山姫様、紅茶のお代わりは如何ですか?」
「えぇ、お願い。このラスク美味しいわね、山じゃなかなか口に出来ないのよね~。」
「グッボ~イ、黒丸。次は滝昇りにチャレンジ。」
"ワウワウガゥ"
「確かにライフジャケット無しは危険。残念、次回に期待。」
「ハハハ、何お前、少年に捕まって落ち込んでるの?」
"キュキュ、キュイー"
「残念、少年は一切術式は使ってませ~ん。完全に身体能力、あんた自分の力に胡座かいてたんじゃない?
少し山で修行して行く?」
"キュイキュイキュイ、キュイー!"
「おぉ、そのイキだ、頑張れ若人。」
「なぁ、増山の。ここはいつから異界に成ったんだ?」
自分たちの置かれている状況に理解が追い付かず、困惑の声を上げる九条。
「安心しろ、これは一時的なモノだ。神・魔・人のバランスが取れてる、淀みは生まれんだろうさ。」
同僚の言いたい事は分かるが敢えてその件には触れず、話を反らす増山。
"!?"
何かに気が付いたのか、一斉に滝から上がる一同。
「おい、坊主、早くそこから退けろ!」
ふと見回すと、何時もなら共に上がっているはずの坊主がいない!
上空から落下する大木、その下で瞑想を続ける佐々木!
"危ない!"
"ドゴンッ、バッシャ~ッ"
それはまるで奇跡の様な出来事だった。落下する大木が自ら避けたかの様な不思議な光景、でもその動きにまるで不自然さは見られない。
その中心に佇む佐々木は何事もなかったかの様に、心静かに瞑想を続けるのであった。
「お疲れ様でございました、Saki様。」
ノエルさん、タオルありがとうね~。やっぱり滝行は夏場だよね、春先は死ぬ。もう全身ガチガチに成るから、震えが止まらないから。
あれを平気な顔でこなしているおっちゃん達、やっぱり頭おかしい。
あ、山姫さんお久し振りです。こないだは大塚君達がお世話に成りましてありがとうございました。
お陰様で怪我の方もすっかり良くなった様です。最近じゃ失った体力を取り戻すって言って走り回ってますから。
「いやいや、あれは仕事だから気にしなくていいよ。それに少年の方こそ大変だっただろうに、ありがとうね。
気配察知も相当上達した様じゃないか、何かあったら仕事を頼むかも知れないからその時はよろしくね。」
ハハハハ、お手柔らかにお願いしますね。
この後は祠にもお伺いさせていただきますね。
「ねぇ、お義父さん。佐々木君がお話ししている方、山姫さんって言ってだけどまさかあの山姫様じゃないよね?ただ同じ名前ってだけだよね?」
「ハハハ、順子、世の中は理不尽に満ち溢れているんだ。"考えるな、受け入れろ。"、これが生き延びる為のコツだ。」
「「「ハハハハハハ」」」
辺り一帯に乾いた笑いが広がるのであった。
うん、ここはいつ来ても気持ちがいいや。
吹き抜ける風、輝く木洩れ日。山姫さんがしっかり管理してくれている為、雑草もそんなに生えていない。寧ろいい雰囲気。
うん、心が洗われる。
"ポカーン"
「なぁ、増山の。ここって鎮魂の祠だったよな。私の知らない神域じゃないよな。なんだこの神聖な領域は、大神殿でもここ迄の神聖さはないぞ!?」
「落ち着け九条。お前も気が付いているんだろ?とっとと認めて楽になれ。他の連中もそうだが、そろそろ状況を受け入れろ。姐さんが何の為にお前らをここに寄越したのか分かっただろう。慣れろとまでは言わん、そう言うものだと思って受け入れろ。
と言う訳でこれからは姐さんの家にはローテーションで通って貰うからな~♪」
"いい加減、お前らも犠牲になれ!"
増山の決定は全ての参加者(佐々木たちを除く)を絶望の淵に追いやるのでした。(合掌)
1
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる