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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第266話 修学旅行は雅な香り (2)

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古都、それはいにしえの都。遥かなる悠久の時代より人々の想いを脈々と受け継ぐ、この国の歴史そのもの。国民であれば一度は訪れるべき聖地、それが古都である。
神社仏閣、古くから伝わる様々な建物、着物の男女が闊歩する、それが古都、I Love 古都!
俺は遂にやって来たぞ~!(万歳ポーズ)
"スパーン"

「ボケが長い!後興奮し過ぎ、駅のホームで騒ぐな少しは落ち着け!」

絵実、最後までやらせてくれてありがとう、僕は大変満足です。今の突っ込みには愛を感じました。これからもよろしくお願いします。(ペコリ)

「ばっ、馬鹿言ってないで早く行くわよ。先生たちが待ってるじゃない、私まで怒られるんだからね。」
お待ち下さい絵実様、置き去りはご勘弁を。
まだ見ぬ出会いにワクワクしながら、俺は急いで絵実ちゃんの後を追うのでした。

それにしても中央都駅から古都駅まで早かったな~。そのタイムなんと脅威の五十二分、うちらの街から中央都に行くより早い。
この国、既に中央都逢坂間のリニア新幹線開通しておりました。しかもほぼ真っ直ぐ路線。変な政治の横やりを全て跳ね除け途中下車駅は矢間梨駅、名古屋敷駅、古都駅の三つのみ、そりゃ早いわ瞬間スピード的には前世のリニア新幹線の方が速かったみたいですけどね。山梨県リニア見学センター、燃えたな~。(握り拳)

古都の見学は基本クラス行動、学年単位での移動だと人数が多くて纏まりがつかないと言うのが主な理由との事。
後なぜか俺だけに佐藤先生からの注意点が。"他校の生徒とトラブルを起こさない"だそうです。
俺ってそんなにヤバい奴に見える?
"サッ"
おい、クラスメート諸君、何故に全員顔を反らす。
木村君その慈愛の籠った眼差し止めて、地味に心に来るの。

おぉ~、阿吽像が前世そっくり、って言うか人だかりが凄い。拝観客のお姉さま方、目がギンギンで怖いんですけど。仏像ですから、煩悩はここで祓わないと。佐藤先生~、移動しますよ~、もうちょっとだけじゃないから!

わ~い、お釈迦様が女神様だ~。orz
頭のポッチ!螺髪らほつ~、これじゃパンチパーマのおば様じゃん!アルカイックスマイルなのが更に何とも・・・。これでトラ柄のロンティーとヒョウ柄パンツはいてたら完璧に大阪のおばちゃん、絶対阪神ファン。
いかん、商店街で値切り交渉しているお釈迦様を想像してしまった。
お寺の尼さんが懇切丁寧に説明してくれてるんだけど、全然話しが頭に入らないくらいの衝撃でした。
あ、因みにこっちのお寺基本尼寺です。男性がいると煩悩がね・・・。
男性は男性で専門のお寺があります。そっちにはお坊さんがいますよ、一般人の拝観は出来ませんが。完全なる修業の場、檀家さんじゃないと入れません。
だって彼ら世間から逃げてきた人たちですもん、仏門に御すがりしちゃってますから。信仰対象も不動明王だったりします。こっちは男性の仏様でした。前世のあれですね、凄い和む。
仏業界じゃ不動明王、阿形、吽形の三体は三大アイドルとして広く信仰されちゃったりなんだり?う~ん、業が深い。

「ハイではこちらをご覧ください。この鐘は佛魔の鐘と申しまして、人々の心に根ざしてしまった煩悩を取り除き仏の導きに帰依すると言う意味が込められた鐘になります。皆様も大晦日に百八つの煩悩を払う除夜の鐘と言うものを聞いた事があると思いますが、それもまた遍く広がる鐘の音が衆生を救うと言う意味が込められています。」

へ~、今まで深く考えた事なんかなかったけどこっちの世界ではお寺の鐘にそんな意味があったんだ~。前世ではどうだったんだろう?日常の中の何気ない事の意味って、意外に知らない事が多いよな。

「では男性の方、こちらで鐘を撞いてみてください。女性の心にはどうしても男性への煩悩が溜まってしまいますので・・・。」

うっ、改めて聞かされると嫌な話だな。我がクラスの男子生徒全員苦笑い。
まずは堀田君から。
”ゴ~~~ン”

う~ん、心に染みるいい音色、本当に煩悩が洗われるみたい。これ良いわ。
次に鈴木君。
”ゴ~~~~~~~~ン“

おや?堀田の奴より響き良くない?コレって撞き手によって響きが変わるの?楽器と一緒って事?
続いて西山君。
”カ~~~~~~~ン”

はぁ~!?完全に音色から違うんですけど!?何これ、しかも尼さんウンウン首を縦に振って感心してるし。これって何かの計測器なの?それじゃ俺ってヤバくね、煩悩の塊よ、俺。
次は木村君。
”リーーーーーーーーーーーーン”

既に鐘の音じゃないし!?えっ、尼さん拝みだしちゃったんですけど、クラスメイト泣いてるんですけど。
木村君超困惑、尼さんがわらわら集まって来てるしどうなってるのこれ!?
最後は俺。これ本当にやらないと駄目?佐藤先生早くしろって顔で見ないでください、分かりましたからやりますから。

フ~~~~ッ。
心を静め
一心に願う
溜まってしまった心の滓が
人々の苦しみが
遍く広がる鐘の音で
少しでも救われる事を


ゆっくりと振るわれた撞き棒

その鐘の音救済の願い

すべてを優しさで包み込むかのように

古都の街に響き渡るのであった

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