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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第261話 第三回逃走王決定戦本選、視聴
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おはよう、木村君。土曜日の逃走王見た?
「おはよう、佐々木。あれだろ、やたら編集まみれのグダグダな二時間。いると思うか?本選出場者の競技前インタビュー。確か逃走王の収録が二時間だったよな?どうしてああなったんだ?」
あぁ、あれね、俺も気になったんで北川さんに聞いてみたのよ。ほら北川さんてスタジオCherryの相談役してるじゃん?”hiroshi”関係者が現場入りしてたから詳しく聞けたんだわ。
競技開始十五分で一般参加者の半数以上が捕縛、これ全員青系ジャケットね。そんでそのまま追い込まれるようにじりじり逃走範囲を絞られて、メダリスト投入の一時間経過時点でいきなり行動開始。ゲスト参加者以外の全員が捕縛完了って言うね。
完全に肉食動物の狩りを見ている様だったらしいよ。
これって逆に気にならない?
この本選の様子、全編で見たくてしょうがないんだけど。
そんな訳で北川さんとか植松さん経由で手に入らないかお願いしている所。
「でも見どころはあったな、あの"hiroshi"君のラストの攻防、あれを見れただけでも番組を見た甲斐はあった。こないだ佐々木が言っていた奴、先を越されてしまったな。」
そうなのよ、本当あの熱い戦いを見た瞬間、何でそこに俺がいないんだよってすごく悔しくなったもん。
熱いよね、どんな形でも鬼ごっこは最高なんだよ。俺もあんな戦いがしてみたい。
「そうだな、俺も熱くなった。早速今日の同好会活動から取り入れてみるか。
競技形式は”One on One”って呼称でいいんじゃないか?」
"One on One"、いいんじゃない、分かり易いし。まずはポール障害から始めて、あとは徐々に工夫するって事で。
「了解だ。放課後が楽しみだな。」
あぁ、絶対負けない。俺こそが絶対王者、逃走王だからな。
(side:編成局長)
「番組は見させていただきました。松本ディレクター、あれはいったい何だったのでしょうか。」
「は、はい。それはその、編成局長の仰られる通りに大手事務所所属のタレントを前面に打ち出した番組構成でして、各社自慢のイケメンたちをですね。」
「そうではないのですよ、確かに良く編集されていると思いますよ?流石は松本ディレクターと言った所です。ですがスポンサーサイドからクレームが来ましてね?
”なぜ我々はアイドル名鑑を見せられなければならないのか”ってね。今までの逃走王とはかけ離れ過ぎているというのが彼らの言い分です。見所は"hiroshi"君の見せた最後の攻防だけだったと。
言われてみれば逃走王と言う割には参加選手たちの逃げる姿があまり多くなかったようですが、これはいったいどう言う事なんでしょうか?
地方予選の回ではそれなりに映っていた様に思うのですが?」
「それがその、参加選手たちがあまりにあっけなく捕まってしまうものでして、見せ場的な盛り上げが難しく全体バランスを考えますとあれが限界でして、その。」
「どう言う事でしょうか、鬼役にはその旨指示は伝えてあるのですよね。」
「は、はい。それはちゃんと。鬼役もその指示自体は守っておりました。ただ、捕縛時間があまりにも短いというだけでして。」
「そこを何とかするのが貴女の仕事ではないのですか?報告は聞きましたよ、開始十五分で始めのターゲット五十人の捕縛完了、一時間経過時点すぐに第二ターゲット捕縛完了。ゲスト参加者の捕縛に至ってはほぼ一瞬だったというじゃないですか。
こんな逃走王の現場は初めてですよ、いったい何だと言うのですか。」
「鬼側のやる気が凄かったとしか言い様はありません。それだけ"hiroshi"君の人気が凄かったのでしょうか。」
「まぁいいです、次回はこのような事が無い様に、しっかり言い含める事。いいですね?」
「は、はい。以後精進してまいります。」
退室していく部下を見詰め溜息を吐く編成局長。
”何で思い通りに行かないんですかね~。”
しかし彼女らは知らない。
次回以降の逃走王がただの"hiroshi"君と戯れる会になってしまう事を。
そして番組自体が廃れて行ってしまう事を。
栄枯盛衰それは世の常である。
「おはよう、佐々木。あれだろ、やたら編集まみれのグダグダな二時間。いると思うか?本選出場者の競技前インタビュー。確か逃走王の収録が二時間だったよな?どうしてああなったんだ?」
あぁ、あれね、俺も気になったんで北川さんに聞いてみたのよ。ほら北川さんてスタジオCherryの相談役してるじゃん?”hiroshi”関係者が現場入りしてたから詳しく聞けたんだわ。
競技開始十五分で一般参加者の半数以上が捕縛、これ全員青系ジャケットね。そんでそのまま追い込まれるようにじりじり逃走範囲を絞られて、メダリスト投入の一時間経過時点でいきなり行動開始。ゲスト参加者以外の全員が捕縛完了って言うね。
完全に肉食動物の狩りを見ている様だったらしいよ。
これって逆に気にならない?
この本選の様子、全編で見たくてしょうがないんだけど。
そんな訳で北川さんとか植松さん経由で手に入らないかお願いしている所。
「でも見どころはあったな、あの"hiroshi"君のラストの攻防、あれを見れただけでも番組を見た甲斐はあった。こないだ佐々木が言っていた奴、先を越されてしまったな。」
そうなのよ、本当あの熱い戦いを見た瞬間、何でそこに俺がいないんだよってすごく悔しくなったもん。
熱いよね、どんな形でも鬼ごっこは最高なんだよ。俺もあんな戦いがしてみたい。
「そうだな、俺も熱くなった。早速今日の同好会活動から取り入れてみるか。
競技形式は”One on One”って呼称でいいんじゃないか?」
"One on One"、いいんじゃない、分かり易いし。まずはポール障害から始めて、あとは徐々に工夫するって事で。
「了解だ。放課後が楽しみだな。」
あぁ、絶対負けない。俺こそが絶対王者、逃走王だからな。
(side:編成局長)
「番組は見させていただきました。松本ディレクター、あれはいったい何だったのでしょうか。」
「は、はい。それはその、編成局長の仰られる通りに大手事務所所属のタレントを前面に打ち出した番組構成でして、各社自慢のイケメンたちをですね。」
「そうではないのですよ、確かに良く編集されていると思いますよ?流石は松本ディレクターと言った所です。ですがスポンサーサイドからクレームが来ましてね?
”なぜ我々はアイドル名鑑を見せられなければならないのか”ってね。今までの逃走王とはかけ離れ過ぎているというのが彼らの言い分です。見所は"hiroshi"君の見せた最後の攻防だけだったと。
言われてみれば逃走王と言う割には参加選手たちの逃げる姿があまり多くなかったようですが、これはいったいどう言う事なんでしょうか?
地方予選の回ではそれなりに映っていた様に思うのですが?」
「それがその、参加選手たちがあまりにあっけなく捕まってしまうものでして、見せ場的な盛り上げが難しく全体バランスを考えますとあれが限界でして、その。」
「どう言う事でしょうか、鬼役にはその旨指示は伝えてあるのですよね。」
「は、はい。それはちゃんと。鬼役もその指示自体は守っておりました。ただ、捕縛時間があまりにも短いというだけでして。」
「そこを何とかするのが貴女の仕事ではないのですか?報告は聞きましたよ、開始十五分で始めのターゲット五十人の捕縛完了、一時間経過時点すぐに第二ターゲット捕縛完了。ゲスト参加者の捕縛に至ってはほぼ一瞬だったというじゃないですか。
こんな逃走王の現場は初めてですよ、いったい何だと言うのですか。」
「鬼側のやる気が凄かったとしか言い様はありません。それだけ"hiroshi"君の人気が凄かったのでしょうか。」
「まぁいいです、次回はこのような事が無い様に、しっかり言い含める事。いいですね?」
「は、はい。以後精進してまいります。」
退室していく部下を見詰め溜息を吐く編成局長。
”何で思い通りに行かないんですかね~。”
しかし彼女らは知らない。
次回以降の逃走王がただの"hiroshi"君と戯れる会になってしまう事を。
そして番組自体が廃れて行ってしまう事を。
栄枯盛衰それは世の常である。
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