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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第254話 大人の事情
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「皆様おはようございます。本日もよろしくお願いします。」
俺は教室に入り朝の挨拶をする。
一限目は現国か、確か宿題はなかったはずだけど。
机から教科書とノートを出し、念の為に復習をすることにする。
「ねぇ、佐々木君、何かあった?なんか今朝からおかしいわよ?」
「あ、絵実か、おはよう。うん、まぁ、あったと言えばあったんだけど。う~ん、こればかりはどうしたもんでもない問題なんだよね。」
「佐々木に野口、おはよう。」
「おはよう木村君。昨日はなんか悪かったね、俺も突然の話がダブルパンチでさ、木村君にはちゃんと伝えとかないとと思って。」
「いや、この件に関してはお前に非はない、というかむしろ被害者だろうが。しかし大人の事情って奴だと思うが、心底面倒くさいな。」
「ハハハハ、まったく笑えない話だけどね。俺の方はなんか冷めちゃったって言うか、どうでも良くなっちゃったんだよね。最初の意地は通したし、後はお好きにどうぞって感じ。植松さんも今回の件は相当だったみたい。以前から制作会社からヘッドハンティングの話があったらしくって、そっちに移るって言ってた。木村君には本当に申し訳ないって言ってたよ。」
「まぁ、植松さんが悪い訳ではないからな、残念ではあるが致し方がない事だ。」
「あれだったらウチの事務所でヨウツーベのチャンネル作ってそこで続きする?題名とかは変わっちゃうけど、植松さんに相談すれば上手いこと仕切ってくれそうだし。」
「そうだな、ヨウツーベにはそういったチャンネルもあると聞く。別にテレビに拘る事でもないかもな。それに他局で似たような企画に参加するってのもありだしな。」
”ツンツン”
ん?どうした絵実ちゃん。裾をクイクイ引っ張って。上目遣いってなんか仕草がかわいいんですけど、もしかしてDVDで学習しちゃったのかな?
「ねぇ、佐々木君。さっきから全く話が見えないんだけど。一人置いてきぼりって寂しいんだぞ?」
”ごふっ”
何このかわいい生き物、破壊力半端ないんだけど。目を潤ませるな目を!
木村、横でニヤニヤするな!
「あ、あぁ。ごめんねちゃんと説明するから、そのウルウル攻撃止めて。マジ罪悪感半端ないから。ちゃんと始めから説明するから。」
絵実ちゃん成長著しいわ~、小悪魔要素取り込むって駄菓子屋のおばちゃんDVDでいったい何を語ってるんだか。
事の始まりは一本の電話からだった。相手はいつもお世話になっている中央都テレビの植松ディレクター、話の内容は深夜番組”いい旅、湯め気分♨”の打ち切りと言うものだった。
「はぁ?いやいやいや、あの番組スポンサーが増えたって言ってたじゃないですか。視聴率も深夜の時間帯にしてはびっくりするほど上がってるって、いずれゴールデン進出?って冗談言ってるくらい順調だったはずなんですけど?」
「ハハハハ、これはお手厳しい、まぁその通りなんですけどね。のっぺり氏ですからぶっちゃけますが、局内の政治って奴です、はい。私植松が深夜番組の制作に飛ばされた経緯はすでにお話ししたと思います。編成局長との確執、まぁ、その事自体は私のこの性格ではいずれ起こっていた事態ですので問題ないのですが、”いい旅、湯め気分♨”の人気が出ちゃった事が問題でして。閑職に送った人間が結果を出してしまっている、それもとびっきりの、上の人間としては面白くない訳ですよ、はい。
しかもその相手が前回佐々木君たちが”踊り奴”を披露した編成局長だったりするんですなこれが。彼女、あれから何度も”踊り奴”を出せって言いまくるんですよね、番組見れば一発で分かるのに、馬鹿ですな~。
結果、編成会議で番組の打ち切りが決まったと言う訳です。のっぺり氏と木村氏、スタジオS&B様には多大なご迷惑を掛け、本当に申し訳ないであります。」
うわ~、大人ってガキじゃん。編成局長ってあの時のおばさんだよね、いい歳こいて何してくれてんの、阿保くさ。
「それでですね、のっぺり氏にはもう一つ碌でもないお知らせがございまして。」
はぁ~、もう結構お腹いっぱいなんですが、これ以上の碌でもない話って何ですか?
「第三回逃走王決定戦、現逃走王”Saki”は出場出来ません。」
・・・・はぁ~~~~~~~~~~!?
俺は教室に入り朝の挨拶をする。
一限目は現国か、確か宿題はなかったはずだけど。
机から教科書とノートを出し、念の為に復習をすることにする。
「ねぇ、佐々木君、何かあった?なんか今朝からおかしいわよ?」
「あ、絵実か、おはよう。うん、まぁ、あったと言えばあったんだけど。う~ん、こればかりはどうしたもんでもない問題なんだよね。」
「佐々木に野口、おはよう。」
「おはよう木村君。昨日はなんか悪かったね、俺も突然の話がダブルパンチでさ、木村君にはちゃんと伝えとかないとと思って。」
「いや、この件に関してはお前に非はない、というかむしろ被害者だろうが。しかし大人の事情って奴だと思うが、心底面倒くさいな。」
「ハハハハ、まったく笑えない話だけどね。俺の方はなんか冷めちゃったって言うか、どうでも良くなっちゃったんだよね。最初の意地は通したし、後はお好きにどうぞって感じ。植松さんも今回の件は相当だったみたい。以前から制作会社からヘッドハンティングの話があったらしくって、そっちに移るって言ってた。木村君には本当に申し訳ないって言ってたよ。」
「まぁ、植松さんが悪い訳ではないからな、残念ではあるが致し方がない事だ。」
「あれだったらウチの事務所でヨウツーベのチャンネル作ってそこで続きする?題名とかは変わっちゃうけど、植松さんに相談すれば上手いこと仕切ってくれそうだし。」
「そうだな、ヨウツーベにはそういったチャンネルもあると聞く。別にテレビに拘る事でもないかもな。それに他局で似たような企画に参加するってのもありだしな。」
”ツンツン”
ん?どうした絵実ちゃん。裾をクイクイ引っ張って。上目遣いってなんか仕草がかわいいんですけど、もしかしてDVDで学習しちゃったのかな?
「ねぇ、佐々木君。さっきから全く話が見えないんだけど。一人置いてきぼりって寂しいんだぞ?」
”ごふっ”
何このかわいい生き物、破壊力半端ないんだけど。目を潤ませるな目を!
木村、横でニヤニヤするな!
「あ、あぁ。ごめんねちゃんと説明するから、そのウルウル攻撃止めて。マジ罪悪感半端ないから。ちゃんと始めから説明するから。」
絵実ちゃん成長著しいわ~、小悪魔要素取り込むって駄菓子屋のおばちゃんDVDでいったい何を語ってるんだか。
事の始まりは一本の電話からだった。相手はいつもお世話になっている中央都テレビの植松ディレクター、話の内容は深夜番組”いい旅、湯め気分♨”の打ち切りと言うものだった。
「はぁ?いやいやいや、あの番組スポンサーが増えたって言ってたじゃないですか。視聴率も深夜の時間帯にしてはびっくりするほど上がってるって、いずれゴールデン進出?って冗談言ってるくらい順調だったはずなんですけど?」
「ハハハハ、これはお手厳しい、まぁその通りなんですけどね。のっぺり氏ですからぶっちゃけますが、局内の政治って奴です、はい。私植松が深夜番組の制作に飛ばされた経緯はすでにお話ししたと思います。編成局長との確執、まぁ、その事自体は私のこの性格ではいずれ起こっていた事態ですので問題ないのですが、”いい旅、湯め気分♨”の人気が出ちゃった事が問題でして。閑職に送った人間が結果を出してしまっている、それもとびっきりの、上の人間としては面白くない訳ですよ、はい。
しかもその相手が前回佐々木君たちが”踊り奴”を披露した編成局長だったりするんですなこれが。彼女、あれから何度も”踊り奴”を出せって言いまくるんですよね、番組見れば一発で分かるのに、馬鹿ですな~。
結果、編成会議で番組の打ち切りが決まったと言う訳です。のっぺり氏と木村氏、スタジオS&B様には多大なご迷惑を掛け、本当に申し訳ないであります。」
うわ~、大人ってガキじゃん。編成局長ってあの時のおばさんだよね、いい歳こいて何してくれてんの、阿保くさ。
「それでですね、のっぺり氏にはもう一つ碌でもないお知らせがございまして。」
はぁ~、もう結構お腹いっぱいなんですが、これ以上の碌でもない話って何ですか?
「第三回逃走王決定戦、現逃走王”Saki”は出場出来ません。」
・・・・はぁ~~~~~~~~~~!?
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