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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第232話 女達の邂逅 (2) (side:野口絵実)

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「ご紹介致します。こちら野口絵実さん。佐久間中学二年C組のクラスメートで鬼ごっこ同好会のマネージャーを務められております。一年生の時に同じクラスになりその時から親しくさせていただいております。」
私はソファーの向かいに座る二人の女性に軽く会釈をする。

「そしてこちら、本条まなみさん。第一回逃走王決定戦本選の時に初めてお会いし、第二回逃走王決定戦本選の時には壮絶なデットヒートを繰り広げた好敵手。深夜番組の”いい旅、湯め気分♨”で再会し、意気投合した仲です。まなみちゃん呼びはその時に本人から許可を貰っております。詳しくは番組の第三回放送をご覧ください。」
こちらに向かい軽く会釈をする本条さん。

「最後にこちら、木村月子さん。友人の木村英雄君のお姉さんで、スタジオS&B所属アーティスト”咲夜”本人でもあります。昨晩は新年会を兼ねた慰労会に出席後、我が家にて夜遅くまでゲーム大会を行いそのままお泊り頂いた経緯がございます。当家には”咲夜”専用の衣裳部屋もあり、私服等もそろっております。こちらの羽織物はその一部と思われます。」
まだ眠いのか、ぼーっとした顔でこちらを眺める咲夜さん。

「紹介は以上になりますがわたくしはいつまでこの格好でいればよいのでしょうか?」
佐々木君に目を遣る。彼は今首から”女誑し只今反省中”のプラカードを下げ(ノエルさん提供)正座をしている最中です。
大分痺れが回って来たのかさっきからもぞもぞしていますが、無自覚女誑しは暫く反省する必要があると思います。

「お客様方、あちらのテーブルにお飲み物のご用意が整ってございます。月子様には軽食のご用意もありますので、あちらに移られてご歓談などいかがでしょうか?」

流石は出来るメイド、状況の進め方がスマートです。

「じゃ、じゃあ、本条さんと木村さん、テーブルの方へ移動しませんか?」
「そ、そうね。ありがたく頂くことにしましょうか。」
「うむ、私は腹ペコ。パンとミルクを所望。」
私たちはテーブルに移動してお互いの状況のすり合わせをする事にしたのでした。
佐々木君は反省していなさい、正座続行。

「ガーーーーーン、ガクッ。」(佐々木涙目)


「で、絵実ちゃんって呼ばせてもらうけど、絵実ちゃんはそういう事でいいんだよね?」
う、本条さんストレート、大人になると恋愛事は戦いって言うけど本当だったんだ。
私はコクリと頷いた。

「それと”咲夜”さんだけど、」
「月子でいい。私はのっぺりの嫁、これは決定事項。」
月子さん大胆、ストレートなんてもんじゃない。
良いのそんな事言って?それって男の子から引かれちゃうワーストワードベストスリーの一つって雑誌に載ってたんですけど!?(参考資料:街角男子夏スペシャル”今私に必要な女子力強化術”)

「問題ない、のっぺりは私にメロメロ。テリトリー拡大作戦は順調に進行中。」

う、確かに。月子さんはすでに佐々木君の家に自分の衣裳部屋を確保している。これって実質同居?もしかして家族公認の仲?なんて羨ましい。

「桜木春子先生は偉大、二人もこれで勉強するといい。」

月子さんがノエルさんに言って持って来て貰ったのは、[男を尻に敷く方法シリーズ、第二弾「鈍い男の落とし方」 講師 桜木春子]のDVD。
私これ持ってる。でも月子さん程実践できてないかも、この方は凄い。

「本条さんは持っていない様子、これは私の私物、差し上げよう。」

そう言って本条さんにDVDを渡す月子さん。でも月子さんは良いんですか?そんな敵に塩を送る様な事をして。

「私の愛は寛大。それにのっぺりは異常。私一人でどうにか出来るほど甘くない、それほど己惚れてもいない。」
う、月子さんの言葉、心にずっしりと来る。それほどの質量と覚悟を感じる真剣なものだった。

「二人もここに来るくらいなら多少は知ってると思う。でもそれは氷山の一角。のっぺりの異常性はワールドクラス、じっくり考えるといい。」
月子さんは出された軽食を食べ終わるとノエルさんに礼を言い、着替えの為に衣裳部屋へと行ってしまった。
残された私たちはただ困惑し、それでも捨てられない想いに心を乱すのだった。
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