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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第216話 第二回逃走王決定戦・本選 (2)
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”ビーーーーーーーーーーーッ”
「「タイムア~~~~~~ップ、終了で~~~す!」」
”ドサッ、バタバタ、グシャ”
「「酸素だ、早く酸素もってこー-い!!」」
「救護班急げ!表彰式?お前ら馬鹿か、この状況で出来る訳無いだろうが!
そんなもん後だ後、今は全力で救護に当たれ!!」
死屍累々、まさにその言葉がふさわしい。
それは意地か、プライドか、己の持てる力をすべて出し切り、それでも足りないとばかりに魂までをも糧にして戦った戦士たち。
ある者は過呼吸で痙攣し、ある者は白目をむいて倒れているそんな光景。
だけど彼らは知っている。
ここは地獄なんかではない、己の全てを掛ける事の出来る楽園なんだと。
「あはははは、僕生まれて初めてだよ、全力を出してなお届かない事があるだなんて。膝が震えて立てないや、この世界舐めてたのかもしれない。」
美しくも麗しい一人の青年の呟きは、喧騒に紛れ誰の耳にも届かない。
第二回逃走王決定戦本選
一般参加選手八十名、ゲスト参加者二十名。
残り三十分時点での生き残り
一般参加選手二十名、ゲスト参加者六名。
最終生き残り
一般参加選手一名、ゲスト参加者ゼロ名。
逃走王称号獲得者
スタジオS&B所属ファッションモデル、”Saki”。
「Sakiさん、大丈夫ですか?気をしっかり持ってください。酸素スプレーを当ててますんで、ゆっくり吸って吐いてを繰り返して。私たちは他に回りますので、何本か置いて行きますから自由に使ってください。
おいそっち担架早く、白目向いてるぞ、気を付けて搬送しろ。」
マジキツイ、返事が一切出来ない、指動かすのがやっと、さっきから震えが止まらない。
オリンピック選手の本気、ヤバいなんてもんじゃないって、前回の本選で三名も残したのが相当頭に来てたんじゃない?鬼だぞアレ。
アハハハハ、でもめっちゃくちゃ楽しかった。俺もう何も残ってねえや、死ぬのか俺?でも満足だわ、笑って逝ける。
ありがとうございました!
"グシャ"
「おい、誰か担架持って来て!
Sakiさんが白目剥いて気絶した!
救急搬送は今いっぱいで無理だから、とりあえず救護室に運んでくれ!」
ラスト三十分の惨劇、後にそう語られるテレビ史上稀に見る攻防。
出場選手も、鬼も、性別など関係なくただプライドを掛けて、己の出せる全てを出し尽くして戦いを繰り広げた。
結果、全ての選手と鬼が試合終了と共に倒れ込むという大惨事に発展してしまったのである。
彼の"hiroshi"様も例外ではなく、いつもの笑顔は力をなくし、酸素スプレー缶を口に当ててへたり込んでいたと言う。
佐久間中学鬼ごっこ同好会の面々は出場した全員が緊急入院。
逃走王の称号を獲得したSakiであったが、あまりの体調の悪さに表彰式は後日行うと言う事となった。
ここに男たちの熱い大会が幕を閉じた。
(side:植松咲子)
「はい編集室です。編成局長、はい、どう言ったご用件でしょうか?植松ディレクターですか?少々お待ちください。」
私は無言でスマホを指さす。電話口の彼女も無言で頷き返す。
「お待たせいたしました、編成局長。只今植松は電話対応中でして、はい、はい、後ほど局長室にですね?はい、はい、ではその様にお伝えしておきます。はい、お疲れ様でした。」
私は彼女とサムズアップを交わし合った。
現在ここは異常な熱気に包まれた鉄火場、あの嵐の様な第二回逃走王決定戦収録からずっとである。
私たちは目撃した、男たちの熱き戦いを。
私たちは見てしまった、あの燃え滾る目を。
知ってしまった、感じてしまった、ならばもう止まれない、止められない。
あの感動と興奮を最高の形で映像に残す、これは使命!
ここで奮い立たない奴は女じゃない!
編成局長の言いたいことは聞かなくても分かる、どうせ大手の芸能事務所やらのタレントを中心とした編集をしろって言うんだろ?
ぶっ殺すぞてめぇ。
あの時あの現場にいながら何も感じれない感性の死んだ奴がテレビマンやってんじゃねぇ!
「良いですか皆さん、あの戦いを無駄にすることは許されませんですよ!
特に本選終了前の三十分、あそこはフルタイムで行きます。本当は各カメラの映像を全部見せたい所ですがそうは行きません、このカット割りは映像の成否を分ける最重要作業です、心して取り組んでください。
彼らが命を懸けたんです、私たちも命懸けで答えるですよ!!」
「「「はい!!」」」
全員目の下に深い隈を作り、エナジードリンクの空き缶に囲まれながらそれでも必死に作業する。すべては彼らに報いるために。
壁際の大型モニターには一枚の映像が映し出されている。
それは試合終了と同時に崩れ落ちようとする残存者の姿。
だが彼はそれでも最後の力を振り絞り、右の拳を突き上げる。
”俺はここにいる!”
彼の魂の叫びは、見る者の心を熱く震わせる。
その者の名は”逃走王 Saki”
人々よ、心に刻め、彼こそが頂点だ。
「「タイムア~~~~~~ップ、終了で~~~す!」」
”ドサッ、バタバタ、グシャ”
「「酸素だ、早く酸素もってこー-い!!」」
「救護班急げ!表彰式?お前ら馬鹿か、この状況で出来る訳無いだろうが!
そんなもん後だ後、今は全力で救護に当たれ!!」
死屍累々、まさにその言葉がふさわしい。
それは意地か、プライドか、己の持てる力をすべて出し切り、それでも足りないとばかりに魂までをも糧にして戦った戦士たち。
ある者は過呼吸で痙攣し、ある者は白目をむいて倒れているそんな光景。
だけど彼らは知っている。
ここは地獄なんかではない、己の全てを掛ける事の出来る楽園なんだと。
「あはははは、僕生まれて初めてだよ、全力を出してなお届かない事があるだなんて。膝が震えて立てないや、この世界舐めてたのかもしれない。」
美しくも麗しい一人の青年の呟きは、喧騒に紛れ誰の耳にも届かない。
第二回逃走王決定戦本選
一般参加選手八十名、ゲスト参加者二十名。
残り三十分時点での生き残り
一般参加選手二十名、ゲスト参加者六名。
最終生き残り
一般参加選手一名、ゲスト参加者ゼロ名。
逃走王称号獲得者
スタジオS&B所属ファッションモデル、”Saki”。
「Sakiさん、大丈夫ですか?気をしっかり持ってください。酸素スプレーを当ててますんで、ゆっくり吸って吐いてを繰り返して。私たちは他に回りますので、何本か置いて行きますから自由に使ってください。
おいそっち担架早く、白目向いてるぞ、気を付けて搬送しろ。」
マジキツイ、返事が一切出来ない、指動かすのがやっと、さっきから震えが止まらない。
オリンピック選手の本気、ヤバいなんてもんじゃないって、前回の本選で三名も残したのが相当頭に来てたんじゃない?鬼だぞアレ。
アハハハハ、でもめっちゃくちゃ楽しかった。俺もう何も残ってねえや、死ぬのか俺?でも満足だわ、笑って逝ける。
ありがとうございました!
"グシャ"
「おい、誰か担架持って来て!
Sakiさんが白目剥いて気絶した!
救急搬送は今いっぱいで無理だから、とりあえず救護室に運んでくれ!」
ラスト三十分の惨劇、後にそう語られるテレビ史上稀に見る攻防。
出場選手も、鬼も、性別など関係なくただプライドを掛けて、己の出せる全てを出し尽くして戦いを繰り広げた。
結果、全ての選手と鬼が試合終了と共に倒れ込むという大惨事に発展してしまったのである。
彼の"hiroshi"様も例外ではなく、いつもの笑顔は力をなくし、酸素スプレー缶を口に当ててへたり込んでいたと言う。
佐久間中学鬼ごっこ同好会の面々は出場した全員が緊急入院。
逃走王の称号を獲得したSakiであったが、あまりの体調の悪さに表彰式は後日行うと言う事となった。
ここに男たちの熱い大会が幕を閉じた。
(side:植松咲子)
「はい編集室です。編成局長、はい、どう言ったご用件でしょうか?植松ディレクターですか?少々お待ちください。」
私は無言でスマホを指さす。電話口の彼女も無言で頷き返す。
「お待たせいたしました、編成局長。只今植松は電話対応中でして、はい、はい、後ほど局長室にですね?はい、はい、ではその様にお伝えしておきます。はい、お疲れ様でした。」
私は彼女とサムズアップを交わし合った。
現在ここは異常な熱気に包まれた鉄火場、あの嵐の様な第二回逃走王決定戦収録からずっとである。
私たちは目撃した、男たちの熱き戦いを。
私たちは見てしまった、あの燃え滾る目を。
知ってしまった、感じてしまった、ならばもう止まれない、止められない。
あの感動と興奮を最高の形で映像に残す、これは使命!
ここで奮い立たない奴は女じゃない!
編成局長の言いたいことは聞かなくても分かる、どうせ大手の芸能事務所やらのタレントを中心とした編集をしろって言うんだろ?
ぶっ殺すぞてめぇ。
あの時あの現場にいながら何も感じれない感性の死んだ奴がテレビマンやってんじゃねぇ!
「良いですか皆さん、あの戦いを無駄にすることは許されませんですよ!
特に本選終了前の三十分、あそこはフルタイムで行きます。本当は各カメラの映像を全部見せたい所ですがそうは行きません、このカット割りは映像の成否を分ける最重要作業です、心して取り組んでください。
彼らが命を懸けたんです、私たちも命懸けで答えるですよ!!」
「「「はい!!」」」
全員目の下に深い隈を作り、エナジードリンクの空き缶に囲まれながらそれでも必死に作業する。すべては彼らに報いるために。
壁際の大型モニターには一枚の映像が映し出されている。
それは試合終了と同時に崩れ落ちようとする残存者の姿。
だが彼はそれでも最後の力を振り絞り、右の拳を突き上げる。
”俺はここにいる!”
彼の魂の叫びは、見る者の心を熱く震わせる。
その者の名は”逃走王 Saki”
人々よ、心に刻め、彼こそが頂点だ。
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