男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora

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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第193話 今度は海ですか・・・ (5)

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朝がやって来た。
重い足取りで集う者たち。
ある者は己の運命を呪い、
ある者は嘆き悲しみ、
またある者は全てを諦めていた。

「総員、整列。装備の確認は大丈夫か?地図を確認しろ、それぞれの持ち場を間違えるなよ。状況はすでに動き出した、我々は指示に従い行動するのみ。非常時の対処は各自の判断に任されている。
余計な事は言わない、五日後ここで会おう。
各自、散開!」

覚悟は決まった。
どこか吹っ切れたような顔をして散っていく殉教者たち。
”五日後ここで会おう。”
その言葉だけを胸に秘めて。

「坊主、こんな事に付き合わせちまって悪かった。無理にでも置いて来るべきだったんだが、すでに状況は動き出した。下手に変更すればこの島がどうなるか分からん。恨み言はあの世で聞いてやる、全力で生き残ってくれ。
俺も逝く、五日後この場所で。」

去っていく男の背中。
そこには悲壮にも似た決意が感じられた。

何これ?
高々五日間のサバイバルだよね?そりゃ全部一人でやるのは大変だけど、あんたら去年経験してるじゃん。なんか無茶苦茶雰囲気作ってたんですけど、あれですか、ロープレですか、着いて行けてないの俺だけって奴ですか?
やっぱり今の時代に滝行するような人たちって、重度の中二病に罹かかってない?おそらく末期的な奴で。
う~ん、付き合い考えようかな、俺。

まあいいや、それじゃわたくしも参りますか、我がベースキャンプ秘密基地に♪

おぉ、宿のおばちゃんズ、完璧な仕事ぶり。
水のポリタンクにテントに食料、ここで一月は暮らせるぞこれ。
やはり世の中コネと金、配信者知名度とマネーパワー最高。
離島でも使える電子決済の便利さよ、情報化社会万歳。

キャンプ♪キャンプ♪キャンプと言ったら焚火でしょう~♪

まずは簡単な竈作りだね、火事になったら大変だぞっと。
”ガサゴソガサゴソ、ザクザク、パンパンパン”
完成~。
薪でも拾いに行きますか~、ってお猿さん?
あぁ~、宿のおばちゃん言ってたわ、この山サルの群れがいるんだった。
なんでも伝承のサルたちの子孫で、めちゃくちゃ頭がいいって話だったよな。
これから五日間お世話になります。
”キキッ“
はい、それで私薪集めの後釣りに行くんですけど、お猿さんはどうします?
”キッ?キキキッ”
”キキキキキッ”
おぉ、増えたぞ。猿軍団ですか。釣りに行く人挙手!
”バッ”
すげ~、こいつら挙手しやがった、頭良すぎでしょ。
そんじゃ、悪いんだけど薪集め手伝ってくれる?その後で釣りね。
”キキッ”

それじゃ~、みんな行くよ~。
釣り、釣り釣り楽しい海釣り、ひょいっと投げれば爆釣だ~♪
”キッキキ~ッ♪“

「来た~、フィッシュ!」
”キキ~ッ、キ~ッ!”

やるな、猿軍団。
わたくし、只今釣り勝負の真っ最中。
結果、俺四匹。猿軍団、七匹。
勝者、猿軍団。くそ~、負けた~!!
何で猿が釣りしてるのかって?
移動中お猿さんたちが釣竿をもの欲しそうに見てたから、途中の竹やぶで良さげな竹を拝借。海姫さんがおまけでくれた針とウキを使って、お猿さんたち用に一本こさえてみました。
エサは宿のおばちゃんたちに用意してもらってるので問題なし。
ビバ、マネーパワー!

そんじゃ、そろそろ帰るよ~。釣りの基本は”釣るのは食べれる分だけ”だからね。
うゎ~、なんかいっぱいお猿がいるんですけど!?
もしかしてお前たちも魚欲しいの?
「「「キキキーッ!」」」
仕方がない、一人一匹だからな!
猿軍団、協力を頼む。
”キキキキ~ッ♪”

釣って釣って釣りまくるぞ~!”キ~ッ“


(side:増山五郎)

ちくしょう、なんだってこんな事に。
緊急の呼び出しかと思えば姐さんの所の坊主と島に行け、着いてみれば山に入って五日間すごせ。意味の分からない指令だったが上からの命令じゃ仕方がないと従っていたが、まさかここが特級怪異”海の大猿“が封印されし島だなんて誰が思うんだよ。
作戦決行前夜に聞かされてどんな準備をしろってんだ、呪符なんざ最低限しか持ってねえぞ。五日間?生き残れる分けねえだろう!
本部は俺たちを囮にして討伐を行うつもりだろうが、ふざけんな。
お前たちがやらなければこの島どころか周囲一帯が滅ぶだと、だったら始めから手出ししてんじゃねーよ。
俺や本郷、九条の姉ちゃんはいいさ。この業界長いしヤバい秘密も知り過ぎている。何時かはこんな日も来るとは思っていたさ。
でも橘の嬢ちゃんと姐さんの所の坊主は違うだろ、アイツらまだ中坊だぞ。
坊主に至っては完全部外者だろうが。

”頼む、どうか五日間生き残ってくれ。”
増山は、叶う事のない願いと知りながら、祈らずにはいられないのであった。
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