187 / 525
第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第186話 夏だ、合宿だ、走れ走れ! (4) (side : 野口絵実)
しおりを挟む
「さて、次は俺たちの番かな。」
薄暗く光る水面
聴こえるは打ち寄せる波の音
満天の星空のもと夜の砂浜に佇む男女
「さ、行こうか。」
振り向く彼
差し出された右手
「うん。」
頷き握り返す左手
「バカ、こういう時の握り方はこうだろ?」
いたずらな笑みを浮かべる彼
絡め合う指と指
頬を朱に染めながら歩き出す若者たち
二人の夜は終わらない
「みっちゃん、シャンプー取って~。」
「くみちゃんパース。」
「ナイスパス、サンクス。」
「二人ともお風呂場で遊ばないの!」
「「は~い、ごめんなさ~い。」」
夏の合宿も残すところあと二日、最終日は帰るだけだから実質一日、今年も楽しかったな~。
”ジャバ~”
「マネージャーチーム何のんびりしてるの?ゴールデンタイムはいつまでも待ってはくれないのよ?」
「「あ、三峯先輩、お疲れ様です。」」
うゎ~、三峯先輩もいいスタイル。映研の部長は代々スタイルが良くないと成れないのかしら。
「先輩、凄くスタイル良いんですけど、何かコツってあるんですか?」
「えっ、私?これと言ってだけど、姿勢にだけは気を付けてるわね。編集作業とか気が付くと前のめりになりがちだし、普段から背筋を伸ばすようにしているくらいかしら?
それよりもくみちゃんの方がおっぱい大きいじゃないの、何を食べればそんなに育つのよ?」
「「そうですよ、くみちゃん先輩教えてくださいよ!!」」
「わ、私は特にその、母も大きいし、遺伝?」
「「っく、授かりし者め!」」
「はいはい、騒がない。ウチの一年がチャレンジして西城講師がお怒りなのよ?露天風呂が待ってるんだから静かにしなさいね。」
「「は~い。」」
”ガラガラ”
”ポチャン”
「「「ふ~~~~~。」」」
露天風呂最高、なんで大きなお風呂ってだけなのにこんなにリラックスするんだろう。思わず息が漏れるわ~。
「ねえねえ絵実ちゃん、その後佐々木君とはどうなってるのよ?」
”ブフッ”
みっちゃん行き成り何をぶち込んでくるの!?
「やっぱり合宿って言ったら恋バナじゃない?私とくみちゃんは周囲公認だけど、絵実ちゃんは現在攻略中?なんでしょ。進行状況が気になるじゃない!」
「「えっ、先輩方、もしかして彼氏持ちですか?そこの所詳しく!」」
「あれ、一年生は知らなかったんだっけ?この合宿に参加している二年三年女子は半分くらい彼氏持ちだよ。
いない子も絵実みたいに攻略中?かなりの確率でゲット出来るんじゃない。」
「「なんですって~!!どういう事ですかそれって!」」
「あ~、気付いてなかったか。ウチの佐々木部長、なぜかそういう方面強いのよ。積極的に協力してくれることは無いんだけど、全体を上手い事コントロールするのよね~。
あなた達も西城講師の講習受けたでしょ、あれでかなり男子のハードルが下がってるはずよ?
おそらく明日最大のチャンスがやって来るから、焦らないで待ってなさい。
結構怖いけどその見返りは大きいから。」
”ゴクン”
「「了解しました先輩!!」」
”やっほ~、”英雄っちに西山君。ついに西山君も露天風呂デビュー?”
静まり返る喧噪
男子の初露天風呂?
”う、うん。せっかく温泉に来たんだし、木村君がぜひ入った方がいいって言うから。”
”うむ、露天風呂は最高だぞ。西山もその解放感を味わうといい。”
男子が三人、開放感!?
一気に増える壁耳女子。コワインデスケド。
”なぁ、佐々木。今年もやるのか、肝試し。”
”当然、あれはやらないと駄目でしょう。合宿の締めは肝試しですから♪”
”林のお堂、あれだけは止めろ。本気で止めろ。”
”え~、どうして~。近いし迷う事も無いし、安全だよ?”
”佐々木君本当にヤメテ、僕去年めちゃくちゃ怖かったんだから。”
”う、西山君まで。そこまで言うなら諦めます。ワンワンに会えると思ったのに、ぐすん。”
周りにはほっと肩を落とすものが数名、皆去年の肝試し経験者。
私は目を瞑っていたから分らないんだけど、いったい何があったんだろう?
”所で二人とも進路って決めた?こないだ高校の説明会があったじゃん?”
”僕はまだはっきりとは。木村君はどうなの?”
”あぁ、俺は私立桜泉学園高等部に行こうと思っている。”
”え~、あそこに行くの?どうしてまた。”
”うむ、将来的に大学進学に有利な事もあるが、各企業とのコネも大きい。ウチの親が会社をやってるのは知ってるだろう?その関係でパーティーに出席する事もあるのだが、その際の受けもあそこの出身と言うだけでかなり違う様でな。”
”あ~、木村君の所はそうかも。俺はどうしようかな~、モデルの件もあるし、私立しかないんだけど。三年の夏までじっくり考えてみるかな~”
そうか、高校に入ったらもう一緒にいれなくなるかも知れないんだ。
なんだろう、急に胸が締め付けられるような。
先ほどまでの楽しさが嘘の様に、絵実は言い様のない寂しさを感じるのであった。
薄暗く光る水面
聴こえるは打ち寄せる波の音
満天の星空のもと夜の砂浜に佇む男女
「さ、行こうか。」
振り向く彼
差し出された右手
「うん。」
頷き握り返す左手
「バカ、こういう時の握り方はこうだろ?」
いたずらな笑みを浮かべる彼
絡め合う指と指
頬を朱に染めながら歩き出す若者たち
二人の夜は終わらない
「みっちゃん、シャンプー取って~。」
「くみちゃんパース。」
「ナイスパス、サンクス。」
「二人ともお風呂場で遊ばないの!」
「「は~い、ごめんなさ~い。」」
夏の合宿も残すところあと二日、最終日は帰るだけだから実質一日、今年も楽しかったな~。
”ジャバ~”
「マネージャーチーム何のんびりしてるの?ゴールデンタイムはいつまでも待ってはくれないのよ?」
「「あ、三峯先輩、お疲れ様です。」」
うゎ~、三峯先輩もいいスタイル。映研の部長は代々スタイルが良くないと成れないのかしら。
「先輩、凄くスタイル良いんですけど、何かコツってあるんですか?」
「えっ、私?これと言ってだけど、姿勢にだけは気を付けてるわね。編集作業とか気が付くと前のめりになりがちだし、普段から背筋を伸ばすようにしているくらいかしら?
それよりもくみちゃんの方がおっぱい大きいじゃないの、何を食べればそんなに育つのよ?」
「「そうですよ、くみちゃん先輩教えてくださいよ!!」」
「わ、私は特にその、母も大きいし、遺伝?」
「「っく、授かりし者め!」」
「はいはい、騒がない。ウチの一年がチャレンジして西城講師がお怒りなのよ?露天風呂が待ってるんだから静かにしなさいね。」
「「は~い。」」
”ガラガラ”
”ポチャン”
「「「ふ~~~~~。」」」
露天風呂最高、なんで大きなお風呂ってだけなのにこんなにリラックスするんだろう。思わず息が漏れるわ~。
「ねえねえ絵実ちゃん、その後佐々木君とはどうなってるのよ?」
”ブフッ”
みっちゃん行き成り何をぶち込んでくるの!?
「やっぱり合宿って言ったら恋バナじゃない?私とくみちゃんは周囲公認だけど、絵実ちゃんは現在攻略中?なんでしょ。進行状況が気になるじゃない!」
「「えっ、先輩方、もしかして彼氏持ちですか?そこの所詳しく!」」
「あれ、一年生は知らなかったんだっけ?この合宿に参加している二年三年女子は半分くらい彼氏持ちだよ。
いない子も絵実みたいに攻略中?かなりの確率でゲット出来るんじゃない。」
「「なんですって~!!どういう事ですかそれって!」」
「あ~、気付いてなかったか。ウチの佐々木部長、なぜかそういう方面強いのよ。積極的に協力してくれることは無いんだけど、全体を上手い事コントロールするのよね~。
あなた達も西城講師の講習受けたでしょ、あれでかなり男子のハードルが下がってるはずよ?
おそらく明日最大のチャンスがやって来るから、焦らないで待ってなさい。
結構怖いけどその見返りは大きいから。」
”ゴクン”
「「了解しました先輩!!」」
”やっほ~、”英雄っちに西山君。ついに西山君も露天風呂デビュー?”
静まり返る喧噪
男子の初露天風呂?
”う、うん。せっかく温泉に来たんだし、木村君がぜひ入った方がいいって言うから。”
”うむ、露天風呂は最高だぞ。西山もその解放感を味わうといい。”
男子が三人、開放感!?
一気に増える壁耳女子。コワインデスケド。
”なぁ、佐々木。今年もやるのか、肝試し。”
”当然、あれはやらないと駄目でしょう。合宿の締めは肝試しですから♪”
”林のお堂、あれだけは止めろ。本気で止めろ。”
”え~、どうして~。近いし迷う事も無いし、安全だよ?”
”佐々木君本当にヤメテ、僕去年めちゃくちゃ怖かったんだから。”
”う、西山君まで。そこまで言うなら諦めます。ワンワンに会えると思ったのに、ぐすん。”
周りにはほっと肩を落とすものが数名、皆去年の肝試し経験者。
私は目を瞑っていたから分らないんだけど、いったい何があったんだろう?
”所で二人とも進路って決めた?こないだ高校の説明会があったじゃん?”
”僕はまだはっきりとは。木村君はどうなの?”
”あぁ、俺は私立桜泉学園高等部に行こうと思っている。”
”え~、あそこに行くの?どうしてまた。”
”うむ、将来的に大学進学に有利な事もあるが、各企業とのコネも大きい。ウチの親が会社をやってるのは知ってるだろう?その関係でパーティーに出席する事もあるのだが、その際の受けもあそこの出身と言うだけでかなり違う様でな。”
”あ~、木村君の所はそうかも。俺はどうしようかな~、モデルの件もあるし、私立しかないんだけど。三年の夏までじっくり考えてみるかな~”
そうか、高校に入ったらもう一緒にいれなくなるかも知れないんだ。
なんだろう、急に胸が締め付けられるような。
先ほどまでの楽しさが嘘の様に、絵実は言い様のない寂しさを感じるのであった。
1
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる