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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第173話 拉致 (4)
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多くの人々が集う空港ロビー。
ある者は互いの別れを惜しみ、
ある者は互いの健闘を称え、
またあるモノは再びの出会いを誓い合う。
"この節操なしがー!"
"バチンッ"
うゎ、何か金髪のモテ男がぶん殴られた。凄い頭下げて謝ってるんだけど、周りの女性たちやれやれって顔してるし。
流石ユーロッパ、人前でも関係ないのね。
「失礼致します。"Saki"様、少々宜しいでしょうか?」
あ、ノエルさん。今回は本当にありがとうございました。貴女のサポート、とても助かりました。
王宮の皆様にもぜひ宜しくお伝え下さい。
「過分のお言葉、痛み入ります。本日はSaki"様にお願いが御座いまして参りました。」
そう言うとノエルさんは古びた一本の櫛を取り出した。
「これは亡くなった母が生前とても大事に使っていた櫛でございます。母は亡くなる前、一度でいいから祖国の土を踏みたかったと申しておりました。
せめて形見のこの櫛だけでも祖国の地に埋めてあげたいのです。
不躾な頼みではございますが、母の想い、叶えてはくださらないでしょうか。」
そんな事が。
分かりました。この櫛は俺が責任を持ってお預かりします。
「"Saki"様、ありがとうございます。このご恩は生涯をかけてお返し致します。」
そんな大層な事はしないで下さいよ。ノエルさんがお母様の分も幸せになってくれる事が俺への恩返しだと思って下さい。
「はい!そのお言葉、決して忘れません。
名残惜しくはございますが、私はここで失礼させて頂きます。帰路、旅のご無事をお祈り致します。」
ノエルさんもお元気で。
「佐々木君、待たせたわね。これ、お母様へのお土産。」
うゎ、気を使っていただいてありがとうございます。こんなに、なんかすみません。
「良いのよ、今回は本当に無理をさせたのだから。
今度はもっと余裕を持って呼び出すから、また一緒のステージに上がりましょうね。」
はい!その際は是非。
それでは時間ですんで、クリスさんにも宜しくお伝え下さい。
「行ったわね。
相変わらず、自分がどれだけの事をしたのか全く理解してないみたい。」
売店に並ぶ新聞の第一面
「"Noir"、王宮に顕現す」
はぁ~。
大崎啓子は旅立った愛弟子の無軌道ぶりに、頭を抱えるのであった。
(side : ユーロッパ国王)
「陛下、昨日の奇跡についてお話を伺いたいとロマネスク教皇より使者が参っております。」
「陛下、第一級怪異封印の間、結界が完全に解放されております。」
「陛下、王宮内で観測されていた全ての怪異が一切測定されません。それどころか、この宮殿自体が完全に浄化されております、これは一体。」
昨日行われたファッションショー。
そこに突如降臨した黒翼の大天使。
その奇跡はその場にいた全ての者の"想い"を解放した。
皆心から涙し、新たな自分へと生まれ変わった。
日々抱えていた胃痛も起きる際ぶり返す腰痛も、王妃の悩みの耳鳴りや偏頭痛も。
医師は驚くべき変化に頭を抱えていた。
我々を全ての苦しみから解放し去っていった漆黒の天使"Noir"。
彼はいったい何だったのだろうか。
これからさらに増えるであろう雑務に頭を抱えながら、答えのない問いを口にするのだった。
ある者は互いの別れを惜しみ、
ある者は互いの健闘を称え、
またあるモノは再びの出会いを誓い合う。
"この節操なしがー!"
"バチンッ"
うゎ、何か金髪のモテ男がぶん殴られた。凄い頭下げて謝ってるんだけど、周りの女性たちやれやれって顔してるし。
流石ユーロッパ、人前でも関係ないのね。
「失礼致します。"Saki"様、少々宜しいでしょうか?」
あ、ノエルさん。今回は本当にありがとうございました。貴女のサポート、とても助かりました。
王宮の皆様にもぜひ宜しくお伝え下さい。
「過分のお言葉、痛み入ります。本日はSaki"様にお願いが御座いまして参りました。」
そう言うとノエルさんは古びた一本の櫛を取り出した。
「これは亡くなった母が生前とても大事に使っていた櫛でございます。母は亡くなる前、一度でいいから祖国の土を踏みたかったと申しておりました。
せめて形見のこの櫛だけでも祖国の地に埋めてあげたいのです。
不躾な頼みではございますが、母の想い、叶えてはくださらないでしょうか。」
そんな事が。
分かりました。この櫛は俺が責任を持ってお預かりします。
「"Saki"様、ありがとうございます。このご恩は生涯をかけてお返し致します。」
そんな大層な事はしないで下さいよ。ノエルさんがお母様の分も幸せになってくれる事が俺への恩返しだと思って下さい。
「はい!そのお言葉、決して忘れません。
名残惜しくはございますが、私はここで失礼させて頂きます。帰路、旅のご無事をお祈り致します。」
ノエルさんもお元気で。
「佐々木君、待たせたわね。これ、お母様へのお土産。」
うゎ、気を使っていただいてありがとうございます。こんなに、なんかすみません。
「良いのよ、今回は本当に無理をさせたのだから。
今度はもっと余裕を持って呼び出すから、また一緒のステージに上がりましょうね。」
はい!その際は是非。
それでは時間ですんで、クリスさんにも宜しくお伝え下さい。
「行ったわね。
相変わらず、自分がどれだけの事をしたのか全く理解してないみたい。」
売店に並ぶ新聞の第一面
「"Noir"、王宮に顕現す」
はぁ~。
大崎啓子は旅立った愛弟子の無軌道ぶりに、頭を抱えるのであった。
(side : ユーロッパ国王)
「陛下、昨日の奇跡についてお話を伺いたいとロマネスク教皇より使者が参っております。」
「陛下、第一級怪異封印の間、結界が完全に解放されております。」
「陛下、王宮内で観測されていた全ての怪異が一切測定されません。それどころか、この宮殿自体が完全に浄化されております、これは一体。」
昨日行われたファッションショー。
そこに突如降臨した黒翼の大天使。
その奇跡はその場にいた全ての者の"想い"を解放した。
皆心から涙し、新たな自分へと生まれ変わった。
日々抱えていた胃痛も起きる際ぶり返す腰痛も、王妃の悩みの耳鳴りや偏頭痛も。
医師は驚くべき変化に頭を抱えていた。
我々を全ての苦しみから解放し去っていった漆黒の天使"Noir"。
彼はいったい何だったのだろうか。
これからさらに増えるであろう雑務に頭を抱えながら、答えのない問いを口にするのだった。
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