174 / 525
第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第173話 拉致 (4)
しおりを挟む
多くの人々が集う空港ロビー。
ある者は互いの別れを惜しみ、
ある者は互いの健闘を称え、
またあるモノは再びの出会いを誓い合う。
"この節操なしがー!"
"バチンッ"
うゎ、何か金髪のモテ男がぶん殴られた。凄い頭下げて謝ってるんだけど、周りの女性たちやれやれって顔してるし。
流石ユーロッパ、人前でも関係ないのね。
「失礼致します。"Saki"様、少々宜しいでしょうか?」
あ、ノエルさん。今回は本当にありがとうございました。貴女のサポート、とても助かりました。
王宮の皆様にもぜひ宜しくお伝え下さい。
「過分のお言葉、痛み入ります。本日はSaki"様にお願いが御座いまして参りました。」
そう言うとノエルさんは古びた一本の櫛を取り出した。
「これは亡くなった母が生前とても大事に使っていた櫛でございます。母は亡くなる前、一度でいいから祖国の土を踏みたかったと申しておりました。
せめて形見のこの櫛だけでも祖国の地に埋めてあげたいのです。
不躾な頼みではございますが、母の想い、叶えてはくださらないでしょうか。」
そんな事が。
分かりました。この櫛は俺が責任を持ってお預かりします。
「"Saki"様、ありがとうございます。このご恩は生涯をかけてお返し致します。」
そんな大層な事はしないで下さいよ。ノエルさんがお母様の分も幸せになってくれる事が俺への恩返しだと思って下さい。
「はい!そのお言葉、決して忘れません。
名残惜しくはございますが、私はここで失礼させて頂きます。帰路、旅のご無事をお祈り致します。」
ノエルさんもお元気で。
「佐々木君、待たせたわね。これ、お母様へのお土産。」
うゎ、気を使っていただいてありがとうございます。こんなに、なんかすみません。
「良いのよ、今回は本当に無理をさせたのだから。
今度はもっと余裕を持って呼び出すから、また一緒のステージに上がりましょうね。」
はい!その際は是非。
それでは時間ですんで、クリスさんにも宜しくお伝え下さい。
「行ったわね。
相変わらず、自分がどれだけの事をしたのか全く理解してないみたい。」
売店に並ぶ新聞の第一面
「"Noir"、王宮に顕現す」
はぁ~。
大崎啓子は旅立った愛弟子の無軌道ぶりに、頭を抱えるのであった。
(side : ユーロッパ国王)
「陛下、昨日の奇跡についてお話を伺いたいとロマネスク教皇より使者が参っております。」
「陛下、第一級怪異封印の間、結界が完全に解放されております。」
「陛下、王宮内で観測されていた全ての怪異が一切測定されません。それどころか、この宮殿自体が完全に浄化されております、これは一体。」
昨日行われたファッションショー。
そこに突如降臨した黒翼の大天使。
その奇跡はその場にいた全ての者の"想い"を解放した。
皆心から涙し、新たな自分へと生まれ変わった。
日々抱えていた胃痛も起きる際ぶり返す腰痛も、王妃の悩みの耳鳴りや偏頭痛も。
医師は驚くべき変化に頭を抱えていた。
我々を全ての苦しみから解放し去っていった漆黒の天使"Noir"。
彼はいったい何だったのだろうか。
これからさらに増えるであろう雑務に頭を抱えながら、答えのない問いを口にするのだった。
ある者は互いの別れを惜しみ、
ある者は互いの健闘を称え、
またあるモノは再びの出会いを誓い合う。
"この節操なしがー!"
"バチンッ"
うゎ、何か金髪のモテ男がぶん殴られた。凄い頭下げて謝ってるんだけど、周りの女性たちやれやれって顔してるし。
流石ユーロッパ、人前でも関係ないのね。
「失礼致します。"Saki"様、少々宜しいでしょうか?」
あ、ノエルさん。今回は本当にありがとうございました。貴女のサポート、とても助かりました。
王宮の皆様にもぜひ宜しくお伝え下さい。
「過分のお言葉、痛み入ります。本日はSaki"様にお願いが御座いまして参りました。」
そう言うとノエルさんは古びた一本の櫛を取り出した。
「これは亡くなった母が生前とても大事に使っていた櫛でございます。母は亡くなる前、一度でいいから祖国の土を踏みたかったと申しておりました。
せめて形見のこの櫛だけでも祖国の地に埋めてあげたいのです。
不躾な頼みではございますが、母の想い、叶えてはくださらないでしょうか。」
そんな事が。
分かりました。この櫛は俺が責任を持ってお預かりします。
「"Saki"様、ありがとうございます。このご恩は生涯をかけてお返し致します。」
そんな大層な事はしないで下さいよ。ノエルさんがお母様の分も幸せになってくれる事が俺への恩返しだと思って下さい。
「はい!そのお言葉、決して忘れません。
名残惜しくはございますが、私はここで失礼させて頂きます。帰路、旅のご無事をお祈り致します。」
ノエルさんもお元気で。
「佐々木君、待たせたわね。これ、お母様へのお土産。」
うゎ、気を使っていただいてありがとうございます。こんなに、なんかすみません。
「良いのよ、今回は本当に無理をさせたのだから。
今度はもっと余裕を持って呼び出すから、また一緒のステージに上がりましょうね。」
はい!その際は是非。
それでは時間ですんで、クリスさんにも宜しくお伝え下さい。
「行ったわね。
相変わらず、自分がどれだけの事をしたのか全く理解してないみたい。」
売店に並ぶ新聞の第一面
「"Noir"、王宮に顕現す」
はぁ~。
大崎啓子は旅立った愛弟子の無軌道ぶりに、頭を抱えるのであった。
(side : ユーロッパ国王)
「陛下、昨日の奇跡についてお話を伺いたいとロマネスク教皇より使者が参っております。」
「陛下、第一級怪異封印の間、結界が完全に解放されております。」
「陛下、王宮内で観測されていた全ての怪異が一切測定されません。それどころか、この宮殿自体が完全に浄化されております、これは一体。」
昨日行われたファッションショー。
そこに突如降臨した黒翼の大天使。
その奇跡はその場にいた全ての者の"想い"を解放した。
皆心から涙し、新たな自分へと生まれ変わった。
日々抱えていた胃痛も起きる際ぶり返す腰痛も、王妃の悩みの耳鳴りや偏頭痛も。
医師は驚くべき変化に頭を抱えていた。
我々を全ての苦しみから解放し去っていった漆黒の天使"Noir"。
彼はいったい何だったのだろうか。
これからさらに増えるであろう雑務に頭を抱えながら、答えのない問いを口にするのだった。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる