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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第171話 拉致 (2)

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「あなたには私と一緒にショーに出て貰います。」

ワイングラスを見詰め香りを楽しむ妖艶な美女。"この年は当たり年ね"って言われても私前世も下戸ですから、お酒の味分かりませんから、今未成年ですから。
って言うか話がさっぱり見えないんだけど?物分かりが悪いわね~って当たり前だからね。
ため息つくの止めて。

「明日から始まる来年の春夏物コレクションで急遽モデルの欠員が出たの。補欠要員は準備していたんだけど、集団食中毒で人数がね。
あなた新人ショーで名前が売れてたから主催者側から泣きつかれてね。
人が足りないから、Noirとペルソナ、今は"Saki"だったかしら?そのふたパターンで出て貰います。」

ごめんなさい、聞こえてるんだけど理解が追い付かない。ショーがある、言われた通りにしろでOK?

「完璧よ。レセプションがあってこんな格好だけど時間がないの。荷物はここに置いて直ぐに向かうわよ。」

向かうって何処に行くんですか?

「ベッキンガム宮殿よ。」


凄~い、俺ココ知ってる、世界史の教科書で見た。
ベッキンガム宮殿、ユーロッパ最大級の王宮、しかも現役の。
こちら王族住まわれてます。
そんな所でファッションショーなんて良いのかって思うでしょう?
王家公認です。王女の一人、モデルやってます。
ユーロッパ半端ね~、国民性?芸術方面に極振り?そりゃショーの為に王宮貸すよね~。

「"Saki"、紹介するわ。こちらが総合プロデューサーのクリスティア、全ての指示は彼女に従って。」

「はじめまして"Saki"、クリスって呼んで。あなたの国の言葉は啓子から教わったから分かるわ。急な話だけど、よろしく頼むわね。」

「はい、よろしくお願いします。
では早速ですが、今回のコレクションのメッセージを教えて貰えませんか?」

「・・・・啓子、この子良いじゃない。」
「でしょう?」

互いに見詰め合い、ニヤリと笑う二人。
って言うか俺さっきから置き去りなんですけど?何かこっちの言葉て語り合い出しちゃったし。
あの、俺トイレ行きたいんですけど。そこの角を左?そうですか、行ってきます。

はぁ~、すっきり。なんやかんやでなかなか行けなかったからね、そりゃ溜まるってもんでしょ。
おや?大きな黒猫。
"みゃ~ん"
かわええ~♪
ん?こっちに来いってのかい?
仕様がないな~、案内よろしくね。

ほんでこの扉を開けろと。鍵は、開いてるのね。
お邪魔しま~す。
あ、明かりがついた。自動センサー機能なんだ、いちいち点けたり消したり大変だもんね~。
ふ~ん、こざっぱりした部屋だね。
ほんで猫さんどうしたほい?
この小箱を開けろと。
OK、OK、おっちゃんに任せとき~♪
パカッとな。

"バチンッ"
"ブワッ"

痛~!何、静電気!?超~痛い。

「お客様、大丈夫でいらっしゃいますか?」

うゎ、びっくりした。
行き成り背後にメイドさん?
あ、何か勝手に入ってすみません。

「いえ、それより大きな声を出されていた様ですが、いかがなさいましたか?お怪我などされてませんでしょうか。」

あぁ、それですか。何かこの小箱を触ったら静電気がですねって、何だこの人形?パッカリと割れてるんだけど。

「あぁ、それはもともと壊れた人形をしまって置いた箱になります。どうぞそのままにしておいて下さい。」

あっはい。おや?猫さん何処に行った?

「当屋敷の黒猫でしたら先ほど私と入れ替えに出て行きましたが。」

く、放置とは流石猫さん、気まぐれでいらっしゃる。

「お客様はもしかしたらモデルのお仕事でいらっしゃった方でしょうか?
外国の方々が来るので補助をする様にと申し使っているのですが。」

はい、そうなんですよ、こっちの言葉が分からなくて困ってまして。
そう言えばお姉さん、さっきから俺の国の言葉話してますけど語学が堪能だとか?

「いえ、母がお客様と同郷なのではないかと。先ほどの叫び声が母と同じ言語でしたので。」

へ~、お母様が。
それじゃ申し訳ないんだけど、よろしくお願い出来ます?

「はい、わたくしを解放して下さったお客様。よろしくお願いします。
では他の方々の元へ参りましょう。
心配なさっているやも知れませんので。」

ヤバい、こんな所で遊んでたのがバレたら大崎先生に怒られる。

「クスッ、では参りましょうか。お客様の事は何とお呼びしたらよろしいでしょうか?」

俺の事ですか?
それじゃ"Saki"って呼んで下さい。

「では、末長くよろしくお願いします、"Saki"様。
私の事は"Noelle"(ノエル)とお呼び下さい。」
"パチンッ"

ん?何か変な音しなかった?
まぁ良いや、それどころじゃなかった。
案内お願い、ノエルさん。

「はい、"Saki"様、こちらです。」

大崎先生、怒ってないといいけどな~、ダメだろうな~。
俺は諦念と共に会場へと足をむけるのであった、まる。
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