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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第144話 去らば洋一君、また会う日まで。 (5)

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勢いよく立ち上ぼる白煙、
騒然とした空間に、
一角を占めるとある集団。
ギラギラとした目線の先には、
赤々とした肉片。
琥珀、透明、茶、黒。
器には並々と注がれた泡立つ液体。
欲望のままかかげられたさかずき
今、内なるケダモノは解放された。

「「「かんぱ~い!!」」」

イャッホーイ♪”イェ~イ”
焼き肉、焼き肉~♪”食べちゃうぞ~“
じゅ~じゅ~ひびくは夢の音~、
や~き肉、や~き肉、イャッホーイ、ヤッホー♪

う~ん、あまりの嬉しさにテンション爆上げ、ついつい”SASAKI”モードに入ってしまった。
この歌"hiroshi"に歌わせようかな?コミカルソングで案外いけるかも。
焼肉業界でイメージソングに使ってくれたりしてね。(笑)

いや~、今回も皆さんお疲れさまでした。只今チーム黒子および関係者による打ち上げの真っ最中。
”Sin”の関係者と打ち上げやらないのかって?う~ん、俺らって秘密の多い集団じゃない?今はまだ大っぴらにそういう場には出れんのですよ、しかも中学生だし。
代わりにマザーと町田さん(元痴女)に出席してもらっております。
マザーが”ただ酒だ~!”って騒いでいたからちょっと心配、町田さん頑張って。

あちらは大人たちに任せて子供たちはこちらで騒いでおります。
無論スタジオS&Bの経費。
チーム黒子、我が社所属になりましたしね。福利厚生費で計上です。
おや康太君、横田先輩は(大人の事情で抜けて)来れなくて残念だけど、楽しんでってね。

「ねえ親友、今回は何やらかしたの?怒らないから素直に全部言ってごらん?」

えっ?俺今回何も悪いことしてないよね?
康太君何か顔が引きってるんですけど、まあいいか。
それじゃあ話は康太君から頼まれて横田先輩に連絡入れたところからね。
先輩の話は当然今回のファッションショーの事。モデルが一人も捕まらなかったんだと。原因は私立桜泉学園での一件。あれってファッション業界ではかなりの衝撃だったらしい。
突然現れた一流モデル集団”チーム黒子”、正体不明の大物モデル”Noir”。
噂が独り歩きしちゃってね、”Sin”のコレクションって聞いただけで一流どころはもちろん二流三流に至るまですべてのモデルが出演拒否。
君子危うきに近寄らずって奴?気持ちは分からなくもないけど、プロとしてそれってどうなのよって感じ。
プライベートブランド”Sin”にとっては死活問題よ、これって。
泣き付かれちゃったら断れないじゃん?そんで桜町っ子の皆さんに頭下げた訳ですよ、”チーム黒子、再始動をお願いします。”って。
今回の件って完全に企業案件じゃん?流石に今後の事もあるんで、チーム黒子はS&B所属って事にして依頼を受ける形にしたって訳。
でも問題があったんよ。

大崎先生、いまユーロッパじゃん?レッスンして貰えないんだよね。
ダメもとで連絡とったら大崎先生の師匠を紹介して貰えてね、その方があそこで北川さんと駄弁っているジェシー萩原先生。
ジェシー先生って大崎先生の師匠なだけ有ってマジ半端ないよ?
前に康太君に話したじゃん、本場のショーに比べたらチーム黒子なんてお遊びみたいなものだって。
そのチーム黒子を今回のショーレベルまで引き上げちゃうんだよ?俺たち少し訓練されただけの素人よ?
意味解んないでしょ?
そのジェシー先生からのオーダーが”他にもモデル雇うからお前がどうにかしろ”だったんだよね。
無茶振りもここまで来ると笑えるよ。
だって今回の話自体、モデルがビビって来ないから代わりにやってちょって事なんよ?それをモデルもちゃんと集めろって…。
考えましたよ必死に、そんで思い出したのが前に康太君に見せてもらったネットニュース。例のペルソナ騒動。
これは使えるのでは?と思って、ペルソナの指導が受けれるって噂を流してもらって募集したら、釣れる釣れる。二流三流のうだつの上がらないモデルがゴロゴロと。
まあ、どいつもこいつも実力ないくせにプライドだけは最上級って使えないにもほどがあるっての。
仕方ないんでまずは人の話を聞くかどうかで篩に掛けましてね、残った連中に”ペルソナウォーク”でドン。”お前たちにはペルソナになってもらいます。”って張ったりかましてやりましたよ。
後は鬼ごっこ同好会仕込み”これでどんな俺様も一人前のナマハゲだ!”コースへご招待。しっかり鍛え直して差し上げましたとも。
おいそこ、人の事指差して”やっぱりあいつは悪魔だ、鬼だ、外道だ!”とか言ってんじゃない!
みんなが通った道だ、やれば出来るの精神なのだ!

ごめんごめん、話がれちゃった。
結果は本日ご覧の通りだね。
そこそこモノになってたでしょ?ジェシー先生大うけしてたし。
”やっぱりあなたは大崎さんが言っていた通り面白い子ね。”ってお褒めの言葉?をいただきましたし♪
どうした康太君、頭抱えて?

「やっぱり君は放し飼いにしてはいけない人種の様だったよ。これからは僕もおばちゃんに貰ったこれを常備するようにするね♪」

なに康太君、急にいい笑顔で…。ってそれって張り扇じゃん、何で康太君が持ってるの、「私もございます。」って如月さんも携帯用小型版を持ってるし!
おばちゃん俺の事、どうするつもりなの。


でもまあ、この一年間色々あったよな。
鬼ごっこ同好会作ったり、合宿行ったり、ファッションショーに出たり。
中学校にも結構迷惑かけたよな~。
洋一君にも生徒会会長の立場から便宜図ってもらって、本当に助かったわ。
でも洋一君が彼女持ちね~、想像すらしてなかったけど幸せそうだしいいのかな?
モデルの時の洋一君が見た事ないくらい格好良かったから、彼女さんたちメロメロじゃん。映像研究会の斉藤部長、ちゃんと撮影出来たのかな?
今回のチーム黒子のメイクは正体を隠すつもりが無かったので素材を生かした感じに仕上げております。ちゃんと本人と認識出来た上で格好いい。俺の技術も随分上がったもんだ。

洋一君も卒業か、寂しくなるけど頑張ってくださいね。

「「石川洋一先輩、今まで大変お世話になりました。
どうか末永くお幸せにリア充爆発しろ!」」
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