143 / 525
第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第143話 去らば洋一君、また会う日まで。 (4)
しおりを挟む
「石川君、今日はありがとうね。もうベスポジ、あんなにいい場所で撮影させてもらって良かったの?」
「あぁ斉藤、今日はよろしくな。俺の最後の雄姿だ、しっかり撮ってくれよ。」
「うん、任せておいて。
石川君たちのお陰で予算が潤沢だからね。いいカメラ買っちゃいました♪
今年卒業って言うのが残念だけど、後輩も育ってるし映像研究会は安泰だよ。
今まで本当にありがとうね。」
「それを言ったら、こっちだってずっと世話になりっぱなしじゃないか。今の鬼ごっこ同好会があるのは、斉藤たち映像研究会のお陰だ。今まで本当にありがとう。これからも後輩たちをよろしく頼む。」
「あの人たちって、今日一緒に仕事するモデルさん?なんか皆格好いいって言うかオーラがあるね。」
「そうだな、やっぱりプロって奴は俺たちとは住んでる世界が違うのかもな。
じゃあ俺も準備があるから。
絶対カメラは止めるなよ?」
「?うん、分かった。それじゃ頑張ってね。」
「応!行ってくる。」
石川洋一はクルリと背を向け、一人舞台裏へと向かう
「傾注せよ。」
「「「はい、"Saki"講師!」」」
「これまでのあなた方は決してモデルなどではありません。ただ、服を着て歩くだけのマネキンです。」
「「「はい、"Saki"講師!」」」
「今日、この時から、あなた方のモデル人生が始まります。私は最初に言いましたね、あなた方には"私"になって貰うと。
頂きは遥か彼方、世界で待ってますよ。」
「「「はい、"Saki"講師!」」」
「では逝きなさい、我が教え子たち。先ずはこの国を、至るは世界!
変革の始まりです!!」
「「「はい!"Saki"講師!!」」」
今ここに本物のモデルが誕生した。
いざ、ランウェイへ。
(side : 雑誌記者)
「"ティーンBoys"さん、おはようございます。」
「あら、"街角男子"さん、おはようございます。もう体調の方は大丈夫何ですか?」
「えぇ、お陰さまで。これはもう、"Noir"様のお陰ですかね~。
あの後通院していた精神科の先生に診てもらったんですけど、すっかり症状が改善していてびっくりされましたから。肩こり腰痛眼精疲労、すべて改善ってどこの漢方薬ですか。もう様を付けないと名前も呼べませんよ。」
「貴女もなの?私もあれから凄く体調がいいの。昔からの生理不順が改善って意味分からないわよ。本当に"Noir"って何者なんでしょうね。」
中央都ビックサイトB会場で開催される"Sin"秋冬コレクション。各業界からの注目のなか、モデルたちがどのようなランウェイを見せるのか。
会場は異様な熱気に包まれていました。
先ほどまでの音楽が止み、一瞬の静寂の後、再びのリズムと共に飛び出すモデルたち。
「"ティーンBoys"さん、どうなってるんですか!?
あれってチーム黒子のモデルじゃ無いですよ、あの先頭で見事なウォークを魅せてる彼、西京芸能のモデル加藤修一ですよ!
他にも後藤雅司もいます。モデル業界じゃ、二流三流って言われてる人たちじゃないですか!」
本当に何がどうなっているの、あの動き、服を見せ、自分を見せ、互いに高め合い観客を魅せる、まるで超一流の海外モデルの様に。このインパクトは初めてチーム黒子が登場したあのランウェイ以来、完成度はさらに上を行っている。
「これは、今回の主役は完全に彼らじゃないかしら。」
「えぇ、底力と言いますか、これがプロのモデルだと言われている様な、圧倒的なパワーを感じます。」
理屈は全く分からないけど、何かが起きているのは確かな様です。
「やっぱり凄いですよ、"チーム黒子"。先輩モデルたちに全く怯んでない所か、さらに洗練された表現力が、見えるはずのない恋人たちの戯れを見事に体現してるじゃないですか。」
"恋人たちの戯れ"、確か今回のメインテーマだったかしら。デザイナーの意図を正確に理解している証拠、やっぱり彼らは世界の舞台に立つべき逸材。
世界が変わった
秋色に染まる街路樹
"コツンッ、コツンッ"
ゆっくりと舞い落ちる木の葉の向こうから
"コツンッ、コツンッ"
楽しそうに笑い合い歩く男女
"コツンッ、コツンッ"
一人は彼
隣で寄り添い笑顔を向ける私
"コツンッ、コツンッ"
その私が優しい瞳でこちらに微笑む
"想いはいつか叶うわよ。"
"コツンッ、ワサッ"
舞い散る黒き羽根
広がる漆黒の翼が
温かく"私たち"を包みこむ
止まらない涙
鳴り止まぬ拍手
会場はスタンディングオベーションの人々で埋めつくされました
「あぁ斉藤、今日はよろしくな。俺の最後の雄姿だ、しっかり撮ってくれよ。」
「うん、任せておいて。
石川君たちのお陰で予算が潤沢だからね。いいカメラ買っちゃいました♪
今年卒業って言うのが残念だけど、後輩も育ってるし映像研究会は安泰だよ。
今まで本当にありがとうね。」
「それを言ったら、こっちだってずっと世話になりっぱなしじゃないか。今の鬼ごっこ同好会があるのは、斉藤たち映像研究会のお陰だ。今まで本当にありがとう。これからも後輩たちをよろしく頼む。」
「あの人たちって、今日一緒に仕事するモデルさん?なんか皆格好いいって言うかオーラがあるね。」
「そうだな、やっぱりプロって奴は俺たちとは住んでる世界が違うのかもな。
じゃあ俺も準備があるから。
絶対カメラは止めるなよ?」
「?うん、分かった。それじゃ頑張ってね。」
「応!行ってくる。」
石川洋一はクルリと背を向け、一人舞台裏へと向かう
「傾注せよ。」
「「「はい、"Saki"講師!」」」
「これまでのあなた方は決してモデルなどではありません。ただ、服を着て歩くだけのマネキンです。」
「「「はい、"Saki"講師!」」」
「今日、この時から、あなた方のモデル人生が始まります。私は最初に言いましたね、あなた方には"私"になって貰うと。
頂きは遥か彼方、世界で待ってますよ。」
「「「はい、"Saki"講師!」」」
「では逝きなさい、我が教え子たち。先ずはこの国を、至るは世界!
変革の始まりです!!」
「「「はい!"Saki"講師!!」」」
今ここに本物のモデルが誕生した。
いざ、ランウェイへ。
(side : 雑誌記者)
「"ティーンBoys"さん、おはようございます。」
「あら、"街角男子"さん、おはようございます。もう体調の方は大丈夫何ですか?」
「えぇ、お陰さまで。これはもう、"Noir"様のお陰ですかね~。
あの後通院していた精神科の先生に診てもらったんですけど、すっかり症状が改善していてびっくりされましたから。肩こり腰痛眼精疲労、すべて改善ってどこの漢方薬ですか。もう様を付けないと名前も呼べませんよ。」
「貴女もなの?私もあれから凄く体調がいいの。昔からの生理不順が改善って意味分からないわよ。本当に"Noir"って何者なんでしょうね。」
中央都ビックサイトB会場で開催される"Sin"秋冬コレクション。各業界からの注目のなか、モデルたちがどのようなランウェイを見せるのか。
会場は異様な熱気に包まれていました。
先ほどまでの音楽が止み、一瞬の静寂の後、再びのリズムと共に飛び出すモデルたち。
「"ティーンBoys"さん、どうなってるんですか!?
あれってチーム黒子のモデルじゃ無いですよ、あの先頭で見事なウォークを魅せてる彼、西京芸能のモデル加藤修一ですよ!
他にも後藤雅司もいます。モデル業界じゃ、二流三流って言われてる人たちじゃないですか!」
本当に何がどうなっているの、あの動き、服を見せ、自分を見せ、互いに高め合い観客を魅せる、まるで超一流の海外モデルの様に。このインパクトは初めてチーム黒子が登場したあのランウェイ以来、完成度はさらに上を行っている。
「これは、今回の主役は完全に彼らじゃないかしら。」
「えぇ、底力と言いますか、これがプロのモデルだと言われている様な、圧倒的なパワーを感じます。」
理屈は全く分からないけど、何かが起きているのは確かな様です。
「やっぱり凄いですよ、"チーム黒子"。先輩モデルたちに全く怯んでない所か、さらに洗練された表現力が、見えるはずのない恋人たちの戯れを見事に体現してるじゃないですか。」
"恋人たちの戯れ"、確か今回のメインテーマだったかしら。デザイナーの意図を正確に理解している証拠、やっぱり彼らは世界の舞台に立つべき逸材。
世界が変わった
秋色に染まる街路樹
"コツンッ、コツンッ"
ゆっくりと舞い落ちる木の葉の向こうから
"コツンッ、コツンッ"
楽しそうに笑い合い歩く男女
"コツンッ、コツンッ"
一人は彼
隣で寄り添い笑顔を向ける私
"コツンッ、コツンッ"
その私が優しい瞳でこちらに微笑む
"想いはいつか叶うわよ。"
"コツンッ、ワサッ"
舞い散る黒き羽根
広がる漆黒の翼が
温かく"私たち"を包みこむ
止まらない涙
鳴り止まぬ拍手
会場はスタンディングオベーションの人々で埋めつくされました
1
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
卯ノ花
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
元おっさんの幼馴染育成計画
みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。
だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。
※この作品は小説家になろうにも掲載しています。
※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる