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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第142話 去らば洋一君、また会う日まで。 (3)

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(side : 男性モデルB)

「よう、こないだぶり。お前らも来てたのか。」

「チッス、加藤先輩。あれ、先輩確か"Sin"の仕事は断ったって言ってませんでした?」

「あぁ、ガキどもの後釜やれって話しだったからな。そんなので比較されるのなんか馬鹿馬鹿しいだろうが。君子危うきに近寄らずだよ。ま、今回みたいな事なら話しは別だけどな。」

「そうっすよね、ユーロッパで話題の超大型新人モデル"ペルソナ"のレッスンが受けれるなんて、どんなコネがあったんすかね。」

そう、謎の新人モデル"ペルソナ"。
突然現れた超新星、ユーロッパの話題を独占した男。
これはチャンスだ。ここでこいつに認められれば世界の舞台も夢じゃない。
俺はこんな所でくすぶっていていい男じゃない、世界の舞台に立つ男だ。ただ、その機会に恵まれなかっただけなんだ。
今ここにいる連中は、皆腹の中じゃ同じ事を考えているはずだ。目が欲望でギラギラしてやがる。

「皆さんこんにちは。本日は"Sin"秋冬コレクションの特別レッスンに参加頂きありがとうございます。
私は今回指導役を務めさせて頂きます、"Saki"と言います。この国ではまだ知られていないので、初めての方ばかりですがよろしくお願いします。」

何だこいつは?"ペルソナ"の指導が受けれるんじゃないのか?
いや、もしかしたら篩に掛けられているのか?
ここで帰る様な馬鹿はいらないとかそう言う事か?
現に何人かは文句を言って出て行ったぞ、これは残るのが正解か…。

「おやおや、既に何名かの方はご都合が合わなかった様ですね。ではレッスンを開始しましょうか。」

おいおい、どう言う事だ、まだペルソナは来ていないじゃないか!
いるのは"Saki"とか言う、モデルとしては地味な感じの優男じゃないか!

「すみませ~ん。あの~、さっきからペルソナさんの姿が見当たらないんですけど~。"Saki"さんは何か聞いてませんかね~。」

ふん、後藤の奴の言う通りだ。アイツは空気の読めない馬鹿だが、こう言う時は役に立つな。

「あぁ、"Persona"ですか。私、あれ余り好きじゃないんですよね。」

そう言うと"Saki"は背後の長机に移動し、バックから何かを取り出した。

空気が変わった。

俺は今、ユーロッパ最大の新人モデルファッションショーの会場にいる。
!?
俺は何を言っている!?
そんな事がある訳が…

"タンッタンッタンッタンッ"

大勢の観客が注目するランウェイを一人歩む仮面のモデル
純白のロングコートをひるがえし颯爽と進むその姿
デザイナーの意図が、モデルの動きの一つ一つから伝わって来る
モデルが作品が、お互いを高め合い、より完成度を上げている

ある者は思うだろう
その服を纏い街を颯爽と歩く自分を
ある者は思うだろう
その服を着た想い人と共に歩く自分を

目の前の"ペルソナ"が己の顔に手を掛け、ゆっくりと仮面を外し

「皆さんには、私の様になって頂きます。これより先は一切の質問を受け付けません。覚悟の無い方はこの場でお帰り下さい。」

俺の人生を変えるレッスンが始まった。
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