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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第127話 我が名は”Noir(ノワール)" (2) (side:三田よし子)
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「はい良いわよ、康太君こっちに目線やって~。そう良いわ~、ぞくぞくしちゃう♪」
今日の撮影は”Sin”の新作ポスター撮り。
本来ならば私が受けるような仕事ではないのだけど、大好きな康太君と借りのある”Sin”のデザイナー横田君の頼みじゃ断れない。
まぁ、こうして公然と素直でかわいい男の子を撮影できるのに、断るなんて選択肢は始めから無いんですけど!
暫くスケジュールに空きがあったのも良かった。そうじゃなければ助手に仕事を頼む羽目になるところだったわ。(嫉妬)
本当に康太君との撮影は楽しい。最近康太君アルバムは増える一方、一度写真集でも出さないか相談しようかしら。
それにこの仕事を受けたのにはもう一つ理由がある。
それは謎のモデル”漆黒の王”が参加すると聞いたから。
”Sin”の新作発表会に彗星のように現れたモデル集団”チーム黒子”。その中でも一際ひときわ異彩を放っていたと言うのが、この”漆黒の王”その人。
彼の謎はただ素性が分からないと言うだけではなく、その姿が一切写真に収められていないから。
彼が登場したのはファッションショーの終盤、撮影されていないなどと言う事は普通にありえない。
真相が気になった私は現場に参加したカメラマンに尋ねてみた。
彼女曰く、”彼の御方が登場される前、急にすべての音が消えた。その後彼の御方に魅せられた私たちは見届ける以外の一切の行動が出来なかった。”
その時の事を思い出しながら語る彼女は何処か恍惚としていて、聞いてる方が恐ろしくなったほど。
そんなモデルの撮影が出来る。
こんなに面白そうなこと、乗らない手はないでしょう♪
実際にそのモデルと会ったときは逆の意味で驚いた。
のっぺりとした顔、ボケッとした雰囲気。
今どきあり得ないほどの平和そうな少年だった。
この子が”漆黒の王”?謎は深まるばかり。
でもそのヒントは、彼の後から入ってきた保護者の女性を見て明らかになった。
”さっちゃん”、通称”佐々木の姐さん”。正体不明、経歴不明、職業不明の謎多き女性。
私が彼女と知り合ったのは、とあるファッションブランドが主催したファッションショーの舞台裏。その時の彼女は”メイクの悪魔”と呼ばれ、恐れ敬われていた。
”私はただその人をより良く見せてるだけなんだけどね~。”
気さくな彼女とはすぐに仲良くなり、”さっちゃん””よっちゃん”と呼び合う仲になった。
彼女のテクニックははっきり言って異常。
彼女の手に掛かればその辺の女の子も一流モデルに早変わりすると言う、もはや理解できないレベルのモノだった。
そんな彼女がメイクを施せばパッとしない彼でも変身できるのかも?
それでも一流のカメラマンが撮影できなかったなんてのは?
謎は深まるばかり。
「はい、康太君最高だったわよ。また今度一緒に仕事させてよね~♪
じゃあ次は…、なんて呼んだらいいのかしら?」
「あぁ、よっちゃん。こいつモデルの先生からモデル名貰ってるから。大崎啓子先生って言うんだけど、知らないかな?海外でも知られているって聞いてるんだけど。」
大崎啓子!?
一流も一流、世界で一握りのトップモデルじゃない!
最近体調を崩されて帰国しているって聞いたけど、この子そんなトップモデルから指導を受けてたの?しかもモデル名まで貰ってるって実質愛弟子扱いじゃないの。
それほどの逸材って事なの!?
「そんでその名前ってのが”Noir(ノワール)”って言うの。だからこいつの事は、ノワールって呼んであげて。」
”最後の仕上げをするね~”
そう言うとさっちゃんは彼のもとへ向かって行った。
確かにさっちゃんの腕は凄い。現に今、ノワール君は完全に別人のような見た目になってスタンバイしている。すでにその辺のモデルでは太刀打ちできないトップモデルの雰囲気を纏って。
でも撮影できないって言うのは大げさでしょ?
本当に一体何があったと言うのかしら。
さっちゃんが彼に何か話しかけている。
彼は何か嫌な事でも思い出したかのような渋い表情。
そして次の瞬間…
”カツンッ、カツンッ”
現場から一切の音が消えた
”カツンッ、カツンッ”
ただ鳴り響くは、彼の靴の音
”ブゥァサッ”
広がる巨大な漆黒の翼
スタジオ中に舞い散る黒き羽
「さぁ、始めようか。」
彼の御方の低く荘厳な声音
私は撮らねばならない
神明にかけて
さっちゃんが言っていた、彼の御方のモデル名”Noir”
黒、暗黒、正体不明
彼の御方は”Noir”
今より世界に顕現する
今日の撮影は”Sin”の新作ポスター撮り。
本来ならば私が受けるような仕事ではないのだけど、大好きな康太君と借りのある”Sin”のデザイナー横田君の頼みじゃ断れない。
まぁ、こうして公然と素直でかわいい男の子を撮影できるのに、断るなんて選択肢は始めから無いんですけど!
暫くスケジュールに空きがあったのも良かった。そうじゃなければ助手に仕事を頼む羽目になるところだったわ。(嫉妬)
本当に康太君との撮影は楽しい。最近康太君アルバムは増える一方、一度写真集でも出さないか相談しようかしら。
それにこの仕事を受けたのにはもう一つ理由がある。
それは謎のモデル”漆黒の王”が参加すると聞いたから。
”Sin”の新作発表会に彗星のように現れたモデル集団”チーム黒子”。その中でも一際ひときわ異彩を放っていたと言うのが、この”漆黒の王”その人。
彼の謎はただ素性が分からないと言うだけではなく、その姿が一切写真に収められていないから。
彼が登場したのはファッションショーの終盤、撮影されていないなどと言う事は普通にありえない。
真相が気になった私は現場に参加したカメラマンに尋ねてみた。
彼女曰く、”彼の御方が登場される前、急にすべての音が消えた。その後彼の御方に魅せられた私たちは見届ける以外の一切の行動が出来なかった。”
その時の事を思い出しながら語る彼女は何処か恍惚としていて、聞いてる方が恐ろしくなったほど。
そんなモデルの撮影が出来る。
こんなに面白そうなこと、乗らない手はないでしょう♪
実際にそのモデルと会ったときは逆の意味で驚いた。
のっぺりとした顔、ボケッとした雰囲気。
今どきあり得ないほどの平和そうな少年だった。
この子が”漆黒の王”?謎は深まるばかり。
でもそのヒントは、彼の後から入ってきた保護者の女性を見て明らかになった。
”さっちゃん”、通称”佐々木の姐さん”。正体不明、経歴不明、職業不明の謎多き女性。
私が彼女と知り合ったのは、とあるファッションブランドが主催したファッションショーの舞台裏。その時の彼女は”メイクの悪魔”と呼ばれ、恐れ敬われていた。
”私はただその人をより良く見せてるだけなんだけどね~。”
気さくな彼女とはすぐに仲良くなり、”さっちゃん””よっちゃん”と呼び合う仲になった。
彼女のテクニックははっきり言って異常。
彼女の手に掛かればその辺の女の子も一流モデルに早変わりすると言う、もはや理解できないレベルのモノだった。
そんな彼女がメイクを施せばパッとしない彼でも変身できるのかも?
それでも一流のカメラマンが撮影できなかったなんてのは?
謎は深まるばかり。
「はい、康太君最高だったわよ。また今度一緒に仕事させてよね~♪
じゃあ次は…、なんて呼んだらいいのかしら?」
「あぁ、よっちゃん。こいつモデルの先生からモデル名貰ってるから。大崎啓子先生って言うんだけど、知らないかな?海外でも知られているって聞いてるんだけど。」
大崎啓子!?
一流も一流、世界で一握りのトップモデルじゃない!
最近体調を崩されて帰国しているって聞いたけど、この子そんなトップモデルから指導を受けてたの?しかもモデル名まで貰ってるって実質愛弟子扱いじゃないの。
それほどの逸材って事なの!?
「そんでその名前ってのが”Noir(ノワール)”って言うの。だからこいつの事は、ノワールって呼んであげて。」
”最後の仕上げをするね~”
そう言うとさっちゃんは彼のもとへ向かって行った。
確かにさっちゃんの腕は凄い。現に今、ノワール君は完全に別人のような見た目になってスタンバイしている。すでにその辺のモデルでは太刀打ちできないトップモデルの雰囲気を纏って。
でも撮影できないって言うのは大げさでしょ?
本当に一体何があったと言うのかしら。
さっちゃんが彼に何か話しかけている。
彼は何か嫌な事でも思い出したかのような渋い表情。
そして次の瞬間…
”カツンッ、カツンッ”
現場から一切の音が消えた
”カツンッ、カツンッ”
ただ鳴り響くは、彼の靴の音
”ブゥァサッ”
広がる巨大な漆黒の翼
スタジオ中に舞い散る黒き羽
「さぁ、始めようか。」
彼の御方の低く荘厳な声音
私は撮らねばならない
神明にかけて
さっちゃんが言っていた、彼の御方のモデル名”Noir”
黒、暗黒、正体不明
彼の御方は”Noir”
今より世界に顕現する
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