男女比世界は大変らしい。（ただしイケメンに限る）

第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第116話 駄菓子屋で駄弁る （１０）

「以上のような状況から、私立桜泉学園執行部は現在麻痺状態に陥っているため、これまで我が君が行ってきた様な男子生徒に対するフォローは一切行われておらず、いずれ問題を起こすと考えられます。」

「へ～、大変な事になってるんだね～。あ、康太君早く食べないともんじゃ焦げちゃうよ。豚肉のカリカリが好きならいいけど、旨い内に食べたほうがいいよ絶対。
如月さんも遠慮なく食べてね。」

やっぱりもんじゃとかお好み焼きって、何人かで囲んでつつき合いながら食べるのがいいよね。一人もんじゃもいいけど何人かの友人で囲むこの雰囲気がたまんないよね。
ん？二人してどうしたん？なんか複雑な表情してるけど？

「いや、やっぱり親友は親友だと思ってね。あれだけの話を聞いて動じないと言うか無関心と言うか。簡単な様でなかなか出来ないよ、それって。」

そう？
でもな～、どう考えても他人事だし？騒ぎたいなら騒いだらとしかね。
それよりもんじゃの方が重要じゃん？
焦げちゃうんだよ、熱々の方がおいしいんだよ？冷えたもんじゃなんかちょっと食べたくないんだけど！？
まあそんな感じ。
でも一つだけ気に入らない点があるんだよね。
如月さん、ちょっと聞きたいんだけど部活申請って誰でも出来たりする？


（side：高木康太）

久々の友人との談笑は、このところ疲れ切っていた僕にはとても嬉しいひと時であった。
ひろし君を巡るゴタゴタは、彼にとってはちょっとしたイベントの様なものなのだろう。あれだけの騒ぎに巻き込まれていたのにもかかわらず、あぶく銭が手に入ってラッキーくらいの軽い口調であった。
本当にこの親友は幼稚園の頃から変わらない。
あの時もいきなり”泥団子作ろう”って誘ってきたんだった。
今回のファッションショーの件についてだって、桜町小学校の仲間たちと一緒に僕一人の為に奔走してくれて。
本当に僕にはもったいないくらいの友人だ。

如月さんから桜泉学園の顛末を聞いたときには、正直ドン引きした。
おい親友、ていうか佐々木！お前何やってくれてんの？
桜泉学園崩壊しちゃったよ？
もう瀕死の状態よ？
なに、僕が登校し再開した時に感じた閑散とした空気って、本当に閑散としてたからなの？みんな休んでて人がいなかったんじゃん。気付けよ、僕。
って言うかこれだけの話を聞いておいて、心配するのは豚肉の焼き加減なの？僕がしっとり派かカリカリ派かだって？しっとり派だよカリカリはベーコンの時だけだよ。
誰だよこいつ放し飼いにしてるの、しっかり首輪付けとかないと駄目だって。
”またまた、康太君もでしょ？”って僕は至って常識人なの、だから体調崩しちゃったの、頑張りすぎただけなの！
はぁ、はぁ、なんかすごい疲れる。あ、如月さんウーロン茶ありがとう。
いいタイミングだね、ちょっと飲ませてもらうね。

んで、さっき如月さんに聞いていた事って何？
如月さんに部活を作らせる？
ちょうど部室等に空きが出来たんだから、混乱している今のうちに既成事実作ればイケるイケるってお前ね～。
僕は所属しないの？
入り浸るだけ？
書類上は如月さんが中心の部活で、僕や横田先輩みたいな学園のはぐれモノの避難場所にする…。
在籍してないんだからいざとなったら逃げればOK、学園からの干渉も受けずらい…。

ねえ親友、何でいつもそんなずる賢い事ばかり考えられるの？