男女比世界は大変らしい。（ただしイケメンに限る）

第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第92話 hiroshi様、始動 （３）

｢はぁ、どうしろってんだよ。｣

作曲依頼に来た桜泉学園マネジメント部の吉川さん、まったくのノープラン。
いや、あり得ないでしょう。
普通売り出したい新人アイドルがいたとしたら、そのアイドルの方向性なり色なりを決めてから売り出すもんじゃないの？
それを言うに事欠いて"先生のイメージ通りに作って下さい"って馬鹿なの？
やるだけやらせてやっぱり無しでってパターンなの？
ガキだと思って馬鹿にしてる？
どう考えてもプロに任せるべき案件でしょうに。
元々の騒ぎだって、職員の怠慢だよ？
本当に売り出す気が有るのって感じだよ。
実はそんなに成否に拘って無いとか？

とりあえず｢君と二人で｣は有るんだし、カップリング曲があれば良いって事なのか？
しかも相手はどっちも素人、実質タダみたいなもの。
桜泉学園関係者の購入は確実。
レコードレーベルとしては最低限の利益は確保した上に桜泉学園と深いコネが出来る。その上で売れたなら棚からぼたもち、坊主丸儲け？
上手く考えたもんだ。
其処に俺が利用されるのは気に入らないけど、大した手間でもないかな？
何だって良いってんなら…。
ひろし君に好きに歌わせて良いんだよね…。
やっちゃう？

"眩し～い　太陽の下～で
君と二人で遊んだ～
この夏のうーみを　忘れは　しないさ
君～の　眩し素～肌に
僕はくらくらしちゃうよ
思い出　だ～けには　しないさ～"

うっしゃ、まぁ、こんな感じ？
イメージは前世の夏アイドル、チュー○。おっちゃん大好きでした。
実は冬の定番もかなり売れてたんだけど、おっちゃんの中では永遠の夏。
このリズムは行けるんじゃない？
ほんじゃ、後は竹田先生といじくってイイ感じに仕上げますかっと。


（Side: 吉川 ）

康太君、めちゃくちゃキレてましたよ～。超怖かったんですけど～！！
鬼龍院校長も何でこんな話受けちゃうんですか、生徒相手ならそれこそ文化祭のコンサート公演でイイじゃないですか。外部協力生だってどのみちネット配信で見るんだし。内々なら康太君がキレる事もなかったんですよ。
権力には屈しないって言ってたあの時の校長は、どこに行ったのよ～。
しかも｢君と二人で｣の使用許可だけでなく、新曲の制作依頼だなんて、それは康太君でなくても怒りますよ～。
相手の佐々木君、めちゃくちゃ呆れてたじゃないですか。
その上新曲に関しては丸投げって、レコードレーベルとしてどうかと思いますよ、本当。
でも佐々木君、良い子だったな～。
新曲丸投げに関しては本気説教受けちゃったけど、最後には親身に話聞いてくれるし、｢お姉さんも大変だけど、気に病まないで｣って慰めてくれるし。
二人ともなんて尊いんだろう。
は～、何かすごい罪悪感。
"ピロリン"
あ、レインだ。えっと、佐々木君？
やっぱり駄目って断られるのかな、胃が痛いよ～。
"まずは形が出来たので、変更箇所があれば教えてください。"って、えっ？
もう出来たの？
依頼したの今日の午後だよ？まだ十時なんだけど？
動画添付？
"眩し～い　太陽の下～で
君と二人で遊んだ～♪"

えっ、何此れ、もう完成してるんですけど！？
えっ、此れで完成じゃないの？
これからアレンジ掛けるの？
あ、そうですか。はい、よろしくお願いします。

・・・・・えっ、彼って何者？