男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora

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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第81話 駄菓子屋で駄弁る (4)

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その人は気づけば其処にいた
綺麗に切り揃えられた髪
細いフレームのメガネ
整った顔立ち
皺一つ無い制服
決して地味ではなく
さりとて目立つ事もなく
自然と其処に佇んでいた

「康太君?」

答えづらそうに、どうしたものか思案する親友。

「我が君、ここはわたくしが。」
そんな彼に助け船を出したのは当の彼女だった。
ん?
"我が君"?

「ご歓談の所、失礼します。私は高木康太様のクラスメートをさせて頂いております、如月志乃きさらぎしのと申します。佐々木様の事は我が君よりお伺いしております。ぜひ、お見知り置き頂きます様お願いいたします。」
お、おう。
俺は康太君の顔をじっと見る。しつこい位じっと見る。ジーーーッ。

「ごめんなさい、勘弁して。」
よし、勝った。で、彼女何なん?

「う~ん、何か僕の配下に成りたいらしい。」
配下?配下って部下的なあれ?

「いえ、部下など恐れ多い。私の事は手駒とも下僕とも、お好きな様にお呼び下さい。」

「・・・・ねえ、康太君。
君、何やったの?
怒らないから言ってごらん?」

(Side:高木康太)

本当、何でこんな事になっているんだか。
僕は目頭を指で押さえながら、この一月ひとつきの事を思い出してみた。

桜泉学園での生活は、概ね想定通りであった。ひろし君の蹂躙と女子生徒の熱狂は、桜町小学校では日常であり、"成るべくして成る"と言うだけの事。
それを知ってる僕にとっては、"太陽は東から昇る"と言われているも同然の、ごく自然の事態だった。
問題は、如何に事態を推移させるか、
どうやって他人事に出来るかであった。
僕の親友はそうした事に長けていた。他人を引き摺り込みながら、自分はいつの間にか蚊帳の外にいて、指を差し笑っている。"希代の詐欺師"とはまさに彼の事だろう。

最初の一手は概ね上手くいった。
「ひろし君の影響とその被害予想」をレポートにし、マネジメント部の吉川さん経由で桜泉学園統括会議に提出。
ひろし君の紹介順変更と、救護班の設置を認めさせた。
始めは懐疑的であった役員も、桜町小学校で行われた「ひろし君告白イベント」の記録映像を見て、考えを改めた。(提出協力by親友)
吉川さんによると、馬鹿にしていた役員の顔色が、目に見えて悪くなって行ったらしい。

次の一手は学生ラウンジの優先利用権確保であった。女子生徒が教室に押し掛け大混乱に陥るのも、桜町小学校では日常の光景であった。
だが、ラウンジの優先利用が他の男子生徒からの反発を生む事は必至。
そこでこの提案は、私立桜泉学園の理事会に掛けて貰う事とした。
理事会への接触は、僕が住む"宮ノ内タウン"の自治会長経由で行った。この街に越して来た際、自治会長宅へ挨拶へ行ったのだが、僕が桜泉学園へ通う事を告げると、"自分は理事会の役員をしているから、何か分からない事があれば何時でも訪ねて来ると良い"と、心強い言葉を頂いていたのだ。
管理者の設定は、秀逸なアイディアだった。本来ラウンジの利用に管理者などは必要無い。其処に"一年生に特別に許可を与える"事、また"年間パスポートである"事を理由に"女子生徒の管理者"を義務付けたのだ。此れにより、"女子生徒に管理される男子"に与えられる権利と言う印象操作を行う事が出来た。
当初予想された在校男子生徒からの反発は一切起きる事なく、この制度は失笑と共に受け入れられた。
だが、この作戦の胆は如何にひろし君に"管理者付きの利用権"を受け入れさせるかであった。彼は女子が管理しようがまったく気にしないだろうが、周りは違う。
然り気無くさりげなく、それでいて周囲が納得する、絶妙なタイミングが必要であった。
作戦は無事成功、結果、ひろし君と彼に群がる女子生徒に文字通り"三好久美子"と言う"管理者"を付ける事が出来た。

"三好久美子管理者"さんには精々頑張ってほしい。
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