男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora

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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第78話 のっぺりのお宅訪問 (3) (side:野口絵実)

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"はい、お邪魔しました。"
"バタンッ"

ようやく帰った。
毎日飽きもせず何なのよ。

アイツが家に来る様になって、二週間近くが経つ。
初めて会った時は凄く驚いた。お母さんと買い物をして家に帰ったら、玄関先に見知らぬ男の人がいるんだもの。
良く見たらまだ私と変わらない歳の男の子だったけど。
アイツはこっちの様子に気が付くと、軽く会釈をし、笑顔で
「こんにちは。はじめまして、僕は佐々木と言います。野口絵実さんと同じ一年C組のクラスメートです。」 
と言って、私たち二人に名刺を渡してきた。
突然の事で驚き固まっていると
「あの、今日はクラス担任の佐藤先生に頼まれて、プリントをお持ちしました。
失礼ですが、野口さんのお姉さんですか?」

いやいや、人のお母さん相手に何言ってるのコイツ!
ま、うちのお母さんは余所と比べたら確かに美人よ、スタイルも凄くいいし。娘の私から見てもイケてるとおもうわよ?
でも言うに事欠いて"お姉さん"は無いでしょう、"お姉さん"は。私たちは親子、一体歳がいくつ離れてると思ってるのよ。

「あら、お姉さんだなんて。お世辞でも嬉しいわ。私は絵実の母親の野口香織です。佐々木君と言ったかしら?
良かったらよって行かない?紅茶の良いのがあるのよ。」

"えぇ、嘘でしょ。母親って何歳の時に産んだの?どう見ても大学生位にしかみえないでしょう。もしかして中学生の時に産んだとか?マジであるのそんな事。気になるけど聞けね~!" 
何コイツ、さっきから一人で大混乱してるんだけど。細かった目が思いっきり見開いてるし。
と言うかお母さん、何知らない男を家に上げようとしてるのよ。私は嫌だからね。

止めようにも、"お姉さん"と言われたのが余程嬉しいのかルンルン気分で台所に立つ母親。
私は急ぎ二階の自室に入りドアを閉めた。

私は男の子が嫌いだ。大っ嫌いだ。
小学校の低学年の頃は良かった。友達と何組の誰それが格好いいとか言って、笑い会ったものだ。
でもその関係は、学年が上がるに連れて変わってしまった。
私の容姿がお母さんの様に美しくなって行ったからだ。
その頃になると、クラスの男の子は2つのタイプに別れる様になっていた。
女子を怖がりなるべく関わろうとしないタイプと、女子を見下し従え様とするタイプ。
前者はその内学校に来なくなり、後者は私にやたら声を掛けて来る様になった。
そんな私の様子に、始め同情してくれた友達も、次第に嫉妬の声を上げる様になった。
徐々に孤立していくなか。
お母さんに心配を掛けたくないと心を必死に奮い立たせ、何とか学校へ通っていた私に、更なる事態が待っていた。 

"ゴードン"
剛田清史、私立桜泉学園からのスカウトを"女どもの餌に成り下がるつもりはない!!"と言ってバッサリ蹴った男。
複数の女子を配下とし侍らす男。
私がもっとも嫌いなタイプの男の子に目を付けられたのだ。

それからは地獄だった。

私に"自分の配下に加われ"と言うゴードンの申し出は、その場できっぱり断った。只でさえ周囲との軋轢に悩んでいるのに何で私が、冗談じゃない。
でもそれが余程意外だったのか、暫し動きを止めた彼は深い笑みを浮かべ"面白い"と呟くと、その場は一旦引き下がった。
翌日から彼は日に何度も、執拗に勧誘を行う様になった。
そんな様子に、周りの女子との溝は修復出来ないほど深まった。
悩んだ挙げ句、先生に相談した事も有った。
でも先生はゴードンを止める事もなく、むしろ光栄な事だと言う始末。
その目には僅かな嫉妬の光が見てとれた。

もう、この学校では誰も信用出来ない。

私は学校へ行く事を諦めた。
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