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第一章 男女比世界へようこそ
第41話 王との謁見 (3)(side:高木康太)
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「すみません、遅くなりました。」
三田さんとの撮影は、その後30分程続き、見かねたアシスタントスタッフの制止でようやく解放された。三田さんは"今のってる所なの!邪魔しないで!"って騒いでいたが、こっちにもスケジュールってものがある。勘弁して欲しい。
スタッフの皆さん、そんなに謝らなくてもいいですから、お陰で助かりましたから。悪いのはそこの"駄目な大人"ですからね。
僕は急いで撮影後の集合場所である、本館第一講堂に向かった。
「遅いですね、皆を待たせて何をしていたのでしょうか?写真撮影などすぐに終わるでしょうに。随分要領が悪い様ですね。
これからの学園生活が心配になります。」
庶務の田中さん、この人嫌いだ。
「はい、申し訳ありません。今後この様な事がないよう、努めて参ります。」
僕は軽く一礼をして、空いている席に着いた。
その後、今後の予定や諸注意、桜泉学園男子生徒としての活躍内容等についてガイダンスを受けた。
基本的な所は、マネジメント部の吉川さんに聞いていた内容だったので、問題なかった。周りの生徒も大丈夫だろう、大丈夫だよね…、不安だ。
「皆、揃っているか、田中、どうだ。」
「はい、申し訳ありません。
一名撮影が遅れている様です。今しばらくお待ち下さい。」
「構わん、遅れている奴など知らん。
皆、此方を向け。
俺が生徒会長の尾崎秀悟おざきしゅうごだ。
あ、お前たちの挨拶など要らん。
俺は完全実力主義だ。
力の有る奴は、黙っていても名が聞こえて来るもんだ。
文句があるなら行動で示せ、以上だ。」
何か強烈な人だな。
これが"唯我独尊"って奴だろうか。
お父さんの言っていた"リーダーシップの有る学生"って、会長みたいな人物を指しているんじゃないのかな?
でもこの人って、自分の価値観から外れたら簡単に排除しそうなんだけど?
お父さん、それでいいの?
僕、お父さんの事の方が心配になっちゃったんだけど。
"バタンッ"
「すみません、遅くなりました。」
「なんだ貴様は!
この学園に時間を守れないような奴は要らん。何処へでも出て行くがいい!」
静まり返った講堂。
遅れて入ってきた少年が、ゆっくりと顔をあげる。
「先輩の言う通りですよね、大事な体験入学なのに時間も守れないなんて…。」
亜麻色の髪が悲しげに揺れている。
瞳は涙を堪えているのだろう、潤み捨てられた仔犬の様だ。
上目遣いに見つめる彼は、純粋に己の罪を謝罪する。
「先輩方、先生、本当にごめんなさい。
僕…、お姉さんたちを先輩って呼びたかったな…。」
彼は一粒の涙を流しながら、儚くも優しい笑みを浮かべたのだった。
"ガタッ、バタッ、ドサッ"
次々に崩れ、倒れて行く生徒会役員。
あぁ、始まったか。
ひろし様の"蹂躙"が…。
僕はこの先の展開に、独り頭を抱えるのであった。
三田さんとの撮影は、その後30分程続き、見かねたアシスタントスタッフの制止でようやく解放された。三田さんは"今のってる所なの!邪魔しないで!"って騒いでいたが、こっちにもスケジュールってものがある。勘弁して欲しい。
スタッフの皆さん、そんなに謝らなくてもいいですから、お陰で助かりましたから。悪いのはそこの"駄目な大人"ですからね。
僕は急いで撮影後の集合場所である、本館第一講堂に向かった。
「遅いですね、皆を待たせて何をしていたのでしょうか?写真撮影などすぐに終わるでしょうに。随分要領が悪い様ですね。
これからの学園生活が心配になります。」
庶務の田中さん、この人嫌いだ。
「はい、申し訳ありません。今後この様な事がないよう、努めて参ります。」
僕は軽く一礼をして、空いている席に着いた。
その後、今後の予定や諸注意、桜泉学園男子生徒としての活躍内容等についてガイダンスを受けた。
基本的な所は、マネジメント部の吉川さんに聞いていた内容だったので、問題なかった。周りの生徒も大丈夫だろう、大丈夫だよね…、不安だ。
「皆、揃っているか、田中、どうだ。」
「はい、申し訳ありません。
一名撮影が遅れている様です。今しばらくお待ち下さい。」
「構わん、遅れている奴など知らん。
皆、此方を向け。
俺が生徒会長の尾崎秀悟おざきしゅうごだ。
あ、お前たちの挨拶など要らん。
俺は完全実力主義だ。
力の有る奴は、黙っていても名が聞こえて来るもんだ。
文句があるなら行動で示せ、以上だ。」
何か強烈な人だな。
これが"唯我独尊"って奴だろうか。
お父さんの言っていた"リーダーシップの有る学生"って、会長みたいな人物を指しているんじゃないのかな?
でもこの人って、自分の価値観から外れたら簡単に排除しそうなんだけど?
お父さん、それでいいの?
僕、お父さんの事の方が心配になっちゃったんだけど。
"バタンッ"
「すみません、遅くなりました。」
「なんだ貴様は!
この学園に時間を守れないような奴は要らん。何処へでも出て行くがいい!」
静まり返った講堂。
遅れて入ってきた少年が、ゆっくりと顔をあげる。
「先輩の言う通りですよね、大事な体験入学なのに時間も守れないなんて…。」
亜麻色の髪が悲しげに揺れている。
瞳は涙を堪えているのだろう、潤み捨てられた仔犬の様だ。
上目遣いに見つめる彼は、純粋に己の罪を謝罪する。
「先輩方、先生、本当にごめんなさい。
僕…、お姉さんたちを先輩って呼びたかったな…。」
彼は一粒の涙を流しながら、儚くも優しい笑みを浮かべたのだった。
"ガタッ、バタッ、ドサッ"
次々に崩れ、倒れて行く生徒会役員。
あぁ、始まったか。
ひろし様の"蹂躙"が…。
僕はこの先の展開に、独り頭を抱えるのであった。
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