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第一章 男女比世界へようこそ

第31話 運動会狂騒曲 (3)

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午後一発目の演目は、六年生による”マサ恋踊り”
「漁師の”マサ”さんに”恋”をした女性が、マサさんの心を”い”願う。」
と言う民謡を、現代風にアレンジしてダンスを加えた運動会の定番である。
”は~ぁ、どっこいしょ、どっこいしょ。マサさん、マサさん!”
って掛け声が結構好きです。

大会本部・来賓席前のセンターには、むろん”ひろし様”。
向かって左にこうた君を配置、イケメンズによる夢の競演です。

えっ、もう一人イケメンがいなかったかって?
あ~、今日って運動会で外部の人間が入ってくるじゃないですか。
他所の学校の女子生徒も当然いるわけですよ。
ウチの女子生徒ならそんな事は無いんですけど(ひろし君効果)、他所の学校の女子生徒はね~。
校長先生に相談されましてね、マイマザーによる化粧(魔改造)を施して、目立たない所で参加しています。マイマザーの凄いところは地味になり過ぎず、かといって目立たずという絶妙な顔に仕上げたところ。群衆に溶け込んで全然わからない。
お昼に家族と食事をしようとした木村君、自分から声を掛けるまで認識されなかったって、びっくりしてました。それでいてどう見ても木村君の顔なんですよね。
どうなってんの一体?

マサ恋踊りは大盛況。
”これDVDにしたら売れますよ!来年はぜひウチでも取り入れましょう!”って、桜泉学園広報部の人が大興奮していたらしい。(関係者談)
我が校の保護者席からも、感動の涙と盛大な拍手が起こってたから、本当の事なんだろうな。


そして始まる大一番、「最終学年による全員リレー」
ここで俺は一世一代の大博打かけに出た。

「なあ、みんな、聞いてくれ。
この六年間、みんなと過ごしてきて、本当に楽しかった。どうもありがとう。
でもそれは、みんながいつも全力で物事に取り組んでいたからだと思う。
ひろし様もきっとそう思っているはずだ。
だってそうだろう?じゃなかったらさっきの綱引きだって「みんな強いな~、僕も頑張らないと♪」(ひろし君の声マネ)なんて言ってくれるはずないじゃないか。
この六年間、ひろし様にどれだけ救われてきたか。ここは僕らも全力でその恩に答えるべきじゃないか?

それに君たちはいいのかい?(引き込むように声を低くして)
このレースは運動会最高のクライマックス。彼らが勝てば、ハイタッチしながら勝利を喜び合うだろう。
逆にこちらが勝てば…、あのひろし様の事だ。健闘をたたえて相手チームでも祝ってくれるはずだ。それこそサッカーワールドカップのように、ハグやユニホーム交換なんかも…。
相手女子てきに果実を与えるか、自らが果実をもぎ取るか。

お前たちはどっちだ!!
勝利をこの手に!
行くぞー!!」

「「「「「応ー----------っ!!」」」」」

俺たちの心は一つになった。
ただ、”勝利”を求めて。

ってこうた君、さっきから何でジト目で俺を見て来るの?
”うゎ、詐欺師がいるよ。”って僕悪い子じゃないよ?本当だよ?
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