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第一章 男女比世界へようこそ

第8話 ひろし様、勧誘ですか?

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「「今日も一日ありがとう。明日も元気に会いましょう。先生さようなら、みなさんさようなら。」」

放課後の教室である。
掃除当番の俺はせっせと机を片して掃き掃除を始めた。

そう、一人で。

ちょっと待てい、ほかの掃除当番(女子)はどこ行ってんねん!!
ひろし様の所ですか、そうですか、解りました。お忙しいですもんね、ここは自分がやっておきますので♪
あ、そんなに睨まなくても先生にチクったりなどいたしませんので、ご安心を。
ごゆっくり~。

はぁ~。

男女比世界ってなんか思っていたのと違う。
いや、いいよ、別にちやほやして欲しいとかはないよ?中身おっさんの記憶あるし、こっちからすればある意味”孫”みたいなもんかもしれないし?
でもさ、こうなんなの?
なんか有るじゃん、男子をめぐって女の子たちが親切にしたりして自己アピールしたりとかなんとか‼
男女比1:7よ?
貴重な男子よ?
キッて睨むってどういうこと?
やっぱ顔か、顔なのか?世界が変わってもその法則は変えようがないのか?
そりゃ、ひろし様と比べることがおこがましい事なんざ解っているけどさ。
世の無常を嘆く小学5年生って、なんだかな~。

生産性の無い事をつらつら考えていても仕方がないので、さっさと掃除を終わらせることにする。

「ゴミ一つなく完璧ではないか。」

満足のいく出来に我ながら自画自賛をし、自尊心を高揚させながら職員室に報告に向かうと、校長室から何やら大きな声が?

「ですから我が”ティーンBoys' ”としては、この際一面トップでひろし君の特集記事を組ませていただきたいと思っているんです。」

”ティーンBoys' ”と言えば10代をターゲットにしたファッション雑誌だったような?「全国の女の子にかっこいい男子をお届け♪」とかってふざけたコンセプトで売り上げ記録を更新中の一流雑誌である。

え、ひろし君全国デビューしちゃうの?それってすごくない?
こっちが一人でドキドキワクワクしていると、「申し訳ありません。」との声が。
すげー、ひろし君、断っちゃったよ!

「大変ありがたくまた光栄なお話だったのですが、僕はすでに私立桜泉学園の進学内定が決まっていまして…」

あ、そうか。
私立桜泉学園しりつおうせんがくえんと言えば言わずと知れた名門校。その男子と言えばすべてスカウトという選ばれし精鋭。複数の特典を設けてはいるがそれに伴う義務もあり、今回の様な雑誌等への掲載は、桜泉のマネジメント部門が行うことになっている。
ひろし君の口ぶりだと、彼はすでに桜泉との間にマネジメント契約を結んでいるようだ。男子不足のこの時代、あそこの学校はちょっとした芸能事務所の様な側面もあるからな。
桜泉としては、晴れて学園入学をしてからひろし君を大々的にデビューさせたいはず。小学生の内からのメディア露出は避けたい所か。

「そうですか、それは残念です。出来れば青い果実のこの瞬間を切り取りたかったのですが…。」

記者さん超残念そう。
でも、ひろし君はやはりすごいな~。話の内容なんか俺の人生じゃ絶対出てきそうもない事ばっかりだもんな。
ま、俺には関係ないけどね。さっさと担任の美穂先生に掃除の報告して帰りますか。

「失礼しま~す。」と、職員室のドアを開けるとそこには校長室のドアに聞き耳をたて張り付く教師陣が…。

「「あ、青い果実…。ジュルッ♪」」

こいつら終わってやがる…。
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