7 / 48
こんにちは、転生勇者様
第7話 転生勇者、宿敵と再戦する
しおりを挟む
“ブンッ、スー、ブンッ、スー、ブンッ”
振り下ろされた刀身。腰だめに重心を置き、木刀を頭上に上げただ振り下ろす。一振り一振りに思いを込めて、只管に、ただ振り下ろす。身体が出来上がらない今は土台を造る時。焦らず、弛まず、まるで巨大な城塞都市を築き上げるかの様に。基礎となる力を積み上げる。
「えい、えい、えい。」
隣ではエミリーちゃんが可愛らしい掛け声と共に木刀を振るう。
“ブンッ、ブンッ、ブンッ”
そんな愛らしさとは裏腹に力強く振るわれる木刀。
「・・・・」
えっ、ちょっと待とう。俺がボビー師匠に入門した日に母親のミランダさんに連れられやって来たエミリー、修行実績は俺と大差ないし実力が同等なのは仕方がないと言われればその通り。でも考えてみよう、いくら俺の腕が六歳児のぷにぷにボディーとは言え女の子のほっそりした可愛らしいモノとは違うのよ?
握られてる木刀は俺と同じ練習用の物、つまり重さも同じ、どう考えても同じ振りが出来るだなんて思わんやん。それがたったの一週間でブンブン唸りを上げるって。俺なんか剣術スキルの補正を受けてこれなのよ?何の補正もないエミリーちゃんがこんな才能を見せるなんて彼女は天才か?スキル有りきの俺とは基礎能力が・・・スキル有りき?
俺はそっと鑑定を使ってみる。
名前 エミリー・アルバート
年齢 六歳
種族 普人族
スキル
祈り 棒術 力持ち
魔法適性
光
スキル棒術って。確かに木刀も”棒”だけど、これって判断基準どうなってるの?って言うか”祈り”ってあの祈りだよね。パーティー全体の回復を行ったり防御力を上げたりする奴。単体の回復力はヒールやハイヒールには及ばないけど全体に対する汎用性はこっちの方が上。状態異常にもある程度効くもんな~。敵が強くなってくると途端ゴミスキルになるんだけどゲーム開始当初は凄くお世話になった覚えがある便利スキル、中盤くらいまでは役に立つんだよね。それと”力持ち”ってのは知らないスキルだけど、おそらくエミリーがあの細腕で木刀を振り回す事が出来るのはこのスキルのお陰なんだろう。棒術との相性もよさそうだし、エミリーは将来”殴りヒーラー”になりそうだな。
「ジェイク君、修行って楽しいね。」
そう言いニッコリ笑うエミリー。その可愛い笑顔とは裏腹に豪快に振り下ろされる木刀。
「う、うん。そうだね。」
俺はそんなエミリーに若干引きつつ”負けられない”と更に気合を入れて修行に励むのでした。
「よし、そこまで。ジェイクにエミリー、お前たちが儂の所に来て一週間になるが素振りの方は慣れて来たかな?身体が痛かったり怪我をしたらすぐに言うんだぞ?今はまだ体作りの時、無理をしたからと言って強くなれる訳ではないのだからな?」
「「はい、分かりました。ボビー師匠!」」
ボビー師匠から見たら僕たちはまだまだ身体の出来上がっていないひよっこ、少なくとも一カ月はこの修行を続けなさいとの事。いずれは走り込みや変化を付けた振りの練習も入れて行くらしい。”一見地味なこの訓練が後々大きく響いて来る”とは兄弟子ジミー君の言葉である。
「「「ありがとうございました。」」」
俺たちはボビー師匠に見送られ、本日の訓練を終え帰路に就いた。
「ねぇ、ジェイク君。お昼食べたら何して遊ぼっか?」
ニコニコ笑顔で聞いてくるエミリー。お昼の後何をするのか、俺はこの一週間ずっと温めてきたプランを実行に移す。
「ジミー君、エミリー、僕、宿敵に戦いを挑みたい。この一週間の成果を奴らに、スライムにぶつけたいんだ。」
そう、俺はずっと思っていた。ジミー君の一撃を見たあの日から、いつかあんな剣技を使いたいと。今はまだその足元にも及ばないかもしれないけど、何処までやれるか、宿敵(スライム)に一週間の成果を全部。
「はい、はい、私も行く~。スライムさんをやっつけるんだ~。」
手を上げピョンピョン跳ねながら脳筋な事を言うエミリー。
「そうだね、ずっと素振りばかりじゃ嫌になっちゃうかもしれないもんね。」
そう言い爽やかに微笑む師匠(ジミー君)。
こうして俺の再戦が決まったのだった。待ってろライバル、今度こそズバンズバンのギッタンギッタンだからな!(スライムは非常に大人しい益獣です。)
――――――――――――
俺がスライムを使ったビッグワームの肉質(臭み)改良実験を初めて一週間。
「これは、タンパクでありながら全体に広がる旨味、グルタミン酸が染みわたる。例えるのならしっかり処理された白モツ?ワームと言う全身が筋肉で構成された生物の特性と相まって、何と言うかこう、何でここに焼き肉のたれと白飯が無いんだ~!!」
はっ、いかんいかん。心の声が口から零れ出てしまっていた。俺はヘンリーさんちのケビン君八歳、まだまだお子様、バレてないバレてない。
しかし危険だわ、このスライムで泥抜きしたビッグワーム肉。これまで問題になっていた臭みが一切感じられない。しかも水辺のスライムを使ったからか余計な香りも加わっていない、ビッグワーム本来の旨味が十分に引き出されている。いや、それだけじゃない。このお肉全体に感じる瑞々しさ、食べた傍から身体に広がる心地よさ。まるでプチヒールを掛けてもらった時の様な。
これってビッグワームがスライムの魔力を吸収してより肉質が改善したって事?以前元冒険者のお爺さんが魔物の肉はその強さに比例して美味しくなるって言ってたけど、それって魔物肉に含まれる残存魔力が体内に吸収されるときに感じる”旨味”って事なの?
って事はこの世界には甘味・塩味・酸味・苦味・うま味、そして刺激である辛味・渋味の他に身体で感じる”魔味”ってのがあるって事かよ。この全身に満たされて行くような感覚と満足感、”旨い”って表現が一番しっくりくるんだよな。それにビッグワーム肉の本来の旨さも引き立ててる様に感じるし、魔物食材侮りがたし。
でもこう岩塩でもいいから振り掛けたらもっと上手くなる様な、食卓に上るかどうかは母親が食材として受け入れてくれるかどうかなんだよな~。先ずは干し肉にして父親にプレゼンして行くしかないか~。それと村長から塩を融通して貰えないか交渉だね。保存用の干し肉にするんだったら塩は必須だからね。
魔力量の多い魔物の肉は基本腐りにくい。例外はゴブリン種、奴らはなぜか腐りやすい。で、魔物肉はその腐りにくさからかただ天日乾燥しただけの干し肉でも結構持つ。冒険者なんかが森に行く際に持ち歩くのはこうした日干し干し肉。一週間くらいなら問題ない。
ただ長期保存や流通にはあまり向かない、賞味期限の関係で。ではどうするのか、しっかり塩漬けをした状態で干すと長期保存用に耐えられる様になるんですね~。この際の溶液の作り方は各地区各家庭でまちまちみたいだけど塩は必須。ビッグワーム干し肉作りを成功させて冬場の食糧事情を改善させねば。夢が広がリングですな~。
これは次の実験に向けてスライム狩りをせねば、俺は午後の予定を決めルンルン気分でお昼を食べに戻るのでした。
で、お子様軍団登場と。ジェイク君を筆頭にエミリーちゃんとジミーによるスライム討伐隊。了解了解、お兄さんは見守り係になりますね。俺は予定を水辺の薬草採取に移行します。
”バンッ、バンッ、バンッ”
水辺からはジェイク君とエミリーちゃんのスライムを叩く音。ジェイク君、以前は”ボスンッ、ボスンッ”って音をさせてたのに今回はしっかり力が伝わってる感じ。その証拠に激闘を繰り広げるまでもなく宿敵(スライム)を仕留めておられます。
お隣のエミリーちゃんもなかなかいい感じ、ウチの村のチビッ子はみんな強いな~。すでに俺より背の高いノットチビッ子の我が弟ジミーはそんな二人を微笑ましく見守っておられます。
ジミーの場合”スパンッ”だからな~。一撃で終わっちゃうから。彼の場合スライム倒すくらいなら素振りしてた方がましって感じなんだろうな~。スライム如きじゃ必要経験値が得られませんって感じなんだろうか、知らんけど。ゲームじゃないんだしそんな事分からないっての。強さの数値化なんてカラオケの採点システムより難しいんだろう。
冒険者の場合はレベルではないけど等級ってのが存在します。これは代表的な魔物で表されていて、ゴブリン級から始まりマッドボア級・オーク級・オーガ級って感じに上がるそうです。(元冒険者のお爺さん情報)冒険者の持つドッグタグには討伐ランクと採取ランクが記載されており、依頼に応じて条件を求められるとの事。
ただしこれらは資格試験の資格みたいなもので、依頼を受ける事の出来る俗に言う”冒険者ランク”は別にあり、こっちは依頼達成率や依頼者の評価、昇格試験等で決まるとの事である。うん、ザ・実力社会。聞いただけで無理だわ~、胃に穴が開くわ~、野垂れ死にの未来しか見えないわ~。しかも危険手当とか武器防具の保証制度なんかないんだよ?常に上を目指せば自転車操業まっしぐらよ?薬草の買取価格なんて雀の涙よ?どないせいっちゅうねん。
ま、それは俺みたいな弱々の人間の話しで、ジミーみたいに才能溢れる者ならあっと言う間にランクを上げて左団扇生活になっちゃうんだろうけどね。そんな人の才能を羨むよりも俺は地道にポーションの材料を集めるのさ。
これをミランダさんの所に持って行くと十束でポーション一本分換算で引き取ってくれるんですね~。ミランダさんは作ったポーションを瓶詰めして村長の所に卸しそれを村長が行商人に売るって言うサイクル。何と村長、時間遅延のマジックバック所持者なんですね~。しかもかなりの容量、なんで村長の所は村の雑貨屋の役割もしております。
村での換金アイテムは村長の所へ、必要な物は村長の所から。村のお金は村長宅と村人の間で行ったり来たり。そこで私考えました、先に欲しい物を頼んでおいて村長の所でお金をプールして貰えば現金がなくても問題なくね?と。互いに記録だけ残しておけばいいんだしね、何だったら木札でもいい訳だし。
村長にそれとなく提案したところ、村長悪そうな顔をして快諾。現在村通貨(木札)が流通しております。現金は何かと入用だからね~。(お役人への賄賂とか商人への支払いとか)ウチの村長やり手です。
お、ここは先週スライムを撒いた場所、やたら薬草の生育が良くないですか?水辺から少し離れていた為かスライムの食害も少なかったようですくすく生育なさって。生育なさって?
スライムのこま切れを撒く⇒地面に吸収される⇒薬草が良く伸びる
これって大発見じゃね?この辺で薬草が多いのもスライムのお陰だったとか?
「えい、えい、えい」
愛らしい掛け声と共に木刀を振り下ろすエミリーちゃん。
”バンッ、バンッ、バンッ”
その声とは裏腹にスライムに激しく打ち付けられる木刀。
”バンッ、バンッ、バンッ”
そんなエミリーちゃんに負けじと木刀を振り下ろすジェイク君。
「・・・・・!」
お二人さん、スライムの供給、よろしくお願いします。
今後の実験材料確保に目処が立ち、悪い笑みを浮かべるケビン君なのでありました。
振り下ろされた刀身。腰だめに重心を置き、木刀を頭上に上げただ振り下ろす。一振り一振りに思いを込めて、只管に、ただ振り下ろす。身体が出来上がらない今は土台を造る時。焦らず、弛まず、まるで巨大な城塞都市を築き上げるかの様に。基礎となる力を積み上げる。
「えい、えい、えい。」
隣ではエミリーちゃんが可愛らしい掛け声と共に木刀を振るう。
“ブンッ、ブンッ、ブンッ”
そんな愛らしさとは裏腹に力強く振るわれる木刀。
「・・・・」
えっ、ちょっと待とう。俺がボビー師匠に入門した日に母親のミランダさんに連れられやって来たエミリー、修行実績は俺と大差ないし実力が同等なのは仕方がないと言われればその通り。でも考えてみよう、いくら俺の腕が六歳児のぷにぷにボディーとは言え女の子のほっそりした可愛らしいモノとは違うのよ?
握られてる木刀は俺と同じ練習用の物、つまり重さも同じ、どう考えても同じ振りが出来るだなんて思わんやん。それがたったの一週間でブンブン唸りを上げるって。俺なんか剣術スキルの補正を受けてこれなのよ?何の補正もないエミリーちゃんがこんな才能を見せるなんて彼女は天才か?スキル有りきの俺とは基礎能力が・・・スキル有りき?
俺はそっと鑑定を使ってみる。
名前 エミリー・アルバート
年齢 六歳
種族 普人族
スキル
祈り 棒術 力持ち
魔法適性
光
スキル棒術って。確かに木刀も”棒”だけど、これって判断基準どうなってるの?って言うか”祈り”ってあの祈りだよね。パーティー全体の回復を行ったり防御力を上げたりする奴。単体の回復力はヒールやハイヒールには及ばないけど全体に対する汎用性はこっちの方が上。状態異常にもある程度効くもんな~。敵が強くなってくると途端ゴミスキルになるんだけどゲーム開始当初は凄くお世話になった覚えがある便利スキル、中盤くらいまでは役に立つんだよね。それと”力持ち”ってのは知らないスキルだけど、おそらくエミリーがあの細腕で木刀を振り回す事が出来るのはこのスキルのお陰なんだろう。棒術との相性もよさそうだし、エミリーは将来”殴りヒーラー”になりそうだな。
「ジェイク君、修行って楽しいね。」
そう言いニッコリ笑うエミリー。その可愛い笑顔とは裏腹に豪快に振り下ろされる木刀。
「う、うん。そうだね。」
俺はそんなエミリーに若干引きつつ”負けられない”と更に気合を入れて修行に励むのでした。
「よし、そこまで。ジェイクにエミリー、お前たちが儂の所に来て一週間になるが素振りの方は慣れて来たかな?身体が痛かったり怪我をしたらすぐに言うんだぞ?今はまだ体作りの時、無理をしたからと言って強くなれる訳ではないのだからな?」
「「はい、分かりました。ボビー師匠!」」
ボビー師匠から見たら僕たちはまだまだ身体の出来上がっていないひよっこ、少なくとも一カ月はこの修行を続けなさいとの事。いずれは走り込みや変化を付けた振りの練習も入れて行くらしい。”一見地味なこの訓練が後々大きく響いて来る”とは兄弟子ジミー君の言葉である。
「「「ありがとうございました。」」」
俺たちはボビー師匠に見送られ、本日の訓練を終え帰路に就いた。
「ねぇ、ジェイク君。お昼食べたら何して遊ぼっか?」
ニコニコ笑顔で聞いてくるエミリー。お昼の後何をするのか、俺はこの一週間ずっと温めてきたプランを実行に移す。
「ジミー君、エミリー、僕、宿敵に戦いを挑みたい。この一週間の成果を奴らに、スライムにぶつけたいんだ。」
そう、俺はずっと思っていた。ジミー君の一撃を見たあの日から、いつかあんな剣技を使いたいと。今はまだその足元にも及ばないかもしれないけど、何処までやれるか、宿敵(スライム)に一週間の成果を全部。
「はい、はい、私も行く~。スライムさんをやっつけるんだ~。」
手を上げピョンピョン跳ねながら脳筋な事を言うエミリー。
「そうだね、ずっと素振りばかりじゃ嫌になっちゃうかもしれないもんね。」
そう言い爽やかに微笑む師匠(ジミー君)。
こうして俺の再戦が決まったのだった。待ってろライバル、今度こそズバンズバンのギッタンギッタンだからな!(スライムは非常に大人しい益獣です。)
――――――――――――
俺がスライムを使ったビッグワームの肉質(臭み)改良実験を初めて一週間。
「これは、タンパクでありながら全体に広がる旨味、グルタミン酸が染みわたる。例えるのならしっかり処理された白モツ?ワームと言う全身が筋肉で構成された生物の特性と相まって、何と言うかこう、何でここに焼き肉のたれと白飯が無いんだ~!!」
はっ、いかんいかん。心の声が口から零れ出てしまっていた。俺はヘンリーさんちのケビン君八歳、まだまだお子様、バレてないバレてない。
しかし危険だわ、このスライムで泥抜きしたビッグワーム肉。これまで問題になっていた臭みが一切感じられない。しかも水辺のスライムを使ったからか余計な香りも加わっていない、ビッグワーム本来の旨味が十分に引き出されている。いや、それだけじゃない。このお肉全体に感じる瑞々しさ、食べた傍から身体に広がる心地よさ。まるでプチヒールを掛けてもらった時の様な。
これってビッグワームがスライムの魔力を吸収してより肉質が改善したって事?以前元冒険者のお爺さんが魔物の肉はその強さに比例して美味しくなるって言ってたけど、それって魔物肉に含まれる残存魔力が体内に吸収されるときに感じる”旨味”って事なの?
って事はこの世界には甘味・塩味・酸味・苦味・うま味、そして刺激である辛味・渋味の他に身体で感じる”魔味”ってのがあるって事かよ。この全身に満たされて行くような感覚と満足感、”旨い”って表現が一番しっくりくるんだよな。それにビッグワーム肉の本来の旨さも引き立ててる様に感じるし、魔物食材侮りがたし。
でもこう岩塩でもいいから振り掛けたらもっと上手くなる様な、食卓に上るかどうかは母親が食材として受け入れてくれるかどうかなんだよな~。先ずは干し肉にして父親にプレゼンして行くしかないか~。それと村長から塩を融通して貰えないか交渉だね。保存用の干し肉にするんだったら塩は必須だからね。
魔力量の多い魔物の肉は基本腐りにくい。例外はゴブリン種、奴らはなぜか腐りやすい。で、魔物肉はその腐りにくさからかただ天日乾燥しただけの干し肉でも結構持つ。冒険者なんかが森に行く際に持ち歩くのはこうした日干し干し肉。一週間くらいなら問題ない。
ただ長期保存や流通にはあまり向かない、賞味期限の関係で。ではどうするのか、しっかり塩漬けをした状態で干すと長期保存用に耐えられる様になるんですね~。この際の溶液の作り方は各地区各家庭でまちまちみたいだけど塩は必須。ビッグワーム干し肉作りを成功させて冬場の食糧事情を改善させねば。夢が広がリングですな~。
これは次の実験に向けてスライム狩りをせねば、俺は午後の予定を決めルンルン気分でお昼を食べに戻るのでした。
で、お子様軍団登場と。ジェイク君を筆頭にエミリーちゃんとジミーによるスライム討伐隊。了解了解、お兄さんは見守り係になりますね。俺は予定を水辺の薬草採取に移行します。
”バンッ、バンッ、バンッ”
水辺からはジェイク君とエミリーちゃんのスライムを叩く音。ジェイク君、以前は”ボスンッ、ボスンッ”って音をさせてたのに今回はしっかり力が伝わってる感じ。その証拠に激闘を繰り広げるまでもなく宿敵(スライム)を仕留めておられます。
お隣のエミリーちゃんもなかなかいい感じ、ウチの村のチビッ子はみんな強いな~。すでに俺より背の高いノットチビッ子の我が弟ジミーはそんな二人を微笑ましく見守っておられます。
ジミーの場合”スパンッ”だからな~。一撃で終わっちゃうから。彼の場合スライム倒すくらいなら素振りしてた方がましって感じなんだろうな~。スライム如きじゃ必要経験値が得られませんって感じなんだろうか、知らんけど。ゲームじゃないんだしそんな事分からないっての。強さの数値化なんてカラオケの採点システムより難しいんだろう。
冒険者の場合はレベルではないけど等級ってのが存在します。これは代表的な魔物で表されていて、ゴブリン級から始まりマッドボア級・オーク級・オーガ級って感じに上がるそうです。(元冒険者のお爺さん情報)冒険者の持つドッグタグには討伐ランクと採取ランクが記載されており、依頼に応じて条件を求められるとの事。
ただしこれらは資格試験の資格みたいなもので、依頼を受ける事の出来る俗に言う”冒険者ランク”は別にあり、こっちは依頼達成率や依頼者の評価、昇格試験等で決まるとの事である。うん、ザ・実力社会。聞いただけで無理だわ~、胃に穴が開くわ~、野垂れ死にの未来しか見えないわ~。しかも危険手当とか武器防具の保証制度なんかないんだよ?常に上を目指せば自転車操業まっしぐらよ?薬草の買取価格なんて雀の涙よ?どないせいっちゅうねん。
ま、それは俺みたいな弱々の人間の話しで、ジミーみたいに才能溢れる者ならあっと言う間にランクを上げて左団扇生活になっちゃうんだろうけどね。そんな人の才能を羨むよりも俺は地道にポーションの材料を集めるのさ。
これをミランダさんの所に持って行くと十束でポーション一本分換算で引き取ってくれるんですね~。ミランダさんは作ったポーションを瓶詰めして村長の所に卸しそれを村長が行商人に売るって言うサイクル。何と村長、時間遅延のマジックバック所持者なんですね~。しかもかなりの容量、なんで村長の所は村の雑貨屋の役割もしております。
村での換金アイテムは村長の所へ、必要な物は村長の所から。村のお金は村長宅と村人の間で行ったり来たり。そこで私考えました、先に欲しい物を頼んでおいて村長の所でお金をプールして貰えば現金がなくても問題なくね?と。互いに記録だけ残しておけばいいんだしね、何だったら木札でもいい訳だし。
村長にそれとなく提案したところ、村長悪そうな顔をして快諾。現在村通貨(木札)が流通しております。現金は何かと入用だからね~。(お役人への賄賂とか商人への支払いとか)ウチの村長やり手です。
お、ここは先週スライムを撒いた場所、やたら薬草の生育が良くないですか?水辺から少し離れていた為かスライムの食害も少なかったようですくすく生育なさって。生育なさって?
スライムのこま切れを撒く⇒地面に吸収される⇒薬草が良く伸びる
これって大発見じゃね?この辺で薬草が多いのもスライムのお陰だったとか?
「えい、えい、えい」
愛らしい掛け声と共に木刀を振り下ろすエミリーちゃん。
”バンッ、バンッ、バンッ”
その声とは裏腹にスライムに激しく打ち付けられる木刀。
”バンッ、バンッ、バンッ”
そんなエミリーちゃんに負けじと木刀を振り下ろすジェイク君。
「・・・・・!」
お二人さん、スライムの供給、よろしくお願いします。
今後の実験材料確保に目処が立ち、悪い笑みを浮かべるケビン君なのでありました。
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる