雷鬼

まるたこ

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なんで?

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 どうして私はまだこの家にいるのだろう。帰ろうと玄関に向かおうとすると服を引っ張られる。・・・ドア壊すか。

「ちょ、待って待って何しようとしてるの!?壊そうとしてる!?」

 しょうがなくない?この結界壊さないと出れないんだし。結界とドアはほぼ重なってるからドアも壊れちゃうけど返してくれないなら壊すしかないよね?うん。壊そう。

「わー!!分かった!分かったから!」

 うん?何が?私は何にも分かんないよ?

「分かったから壊さないでー!」

 じゃあ早くこの結界解除してよ。私は待ったよ。なんでこの人は知らない人を家に平然とあげるんだろ。女性同士だとしても危機感ってのは大事だよね。

「・・・ねぇ、さっき言ってたさ、名前を捨てたってどういう事か聞いてもいい?それを聞いたらこの魔法解除するから!」

 なんで?別に自称美女さんには関係なくない?それに聞いた所でどうするんだろうね?

「お願い!誰かに言う訳では無いから!その、ちょっと気になって。」

「・・・関係ない」

「分かってる。分かってるけど、名前を捨てるだけの事があったって事だよね?1年前から色々と変わっているし、治安だって・・・だから、気になって」

 まぁ分かるよ。この自称美女さんが寝てた場所とか相当やばそうだったけどね?人の事言う前にってやつだよね。自称美女さんの方が色々問題ありそうだけどね。

「名前を捨てた理由が知りたいって事ですよね」

「うん、出来れば教えて欲しいな。これでもAランク探索者だし色々と融通が効くんだよ!」

「・・・理由なんてないですよ。使わないし、名乗りたくもないから捨てた。それだけです。」

 別に嘘は言ってないよ。私の名前を知っている人なんて居ないし、分かるとすれば戸籍を調べればでしょ。名乗りたくもないし、要らないよね。

「使わないって、普段はどうしているの?探索者じゃないって言ってたよね?じゃあ、普通に働いているの?そしたら、名前使うよね?」

 普段、ね。ダンジョンに居るし、誰かと居る訳ではないから使わないしなぁ。根本的にこの自称美女さんとの生活が違うからね。うーん、どうしようかなぁ。帰りたい。

「・・・言いたくないってことかな。・・・最後にこれだけ教えて欲しい、あなたは何処に住んでいるの?」

 うん?なんで?名前の話から住む場所を聞くって意味分かんない。知らない人に教える訳なくない?教えた所ではあるんだけどね。関係ないよね。

「関係ない」

「そうだよね、関係ないよね。でも、名前を捨てたって言っている人がまともな家に住んでいるわけないよね?何処に住んでいるの?教えて欲しい。」

 なるほどね~。この自称美女さんちゃんと頭使える人なんだ。ごめんね。ちょっとお花強い人なのかと思ってた。ん~どうしようかな~。言ったら言ったで面倒くさそう。言わなければドア壊すしか無さそうだし。

「・・・これでも大人だし、このまま見過ごせないんだよね。だから、教えて欲しいな。」

「・・・ダンジョン」

「え?ダンジョン?」

 ダンジョンだよ。何か問題でも?答えたからそろそろ帰ってもいいよね?ここに連れてこられて結構経ったよ?ダンジョン出た時は昼過ぎくらいだったのにもう外夕暮れだよ。
 せっかく探索しようと思ったのに見たのは寂れた商店街とホームレスとゴミ置き場にいた自称美女さんだけだよ。・・・帰ろ。

「ま、待って待って!ダンジョンってどういう事!?住んでいる場所聞いたんだよ!?ダンジョンに住んでいるの!?探索者じゃないって言ってたよね?どうやって入っているの!?」

 もう開けてよ~。帰るからさ~。

「分かった。私も行く!あなたの住んでる場所をちゃんと確認するから!」

 いや、迷惑です。何この人。なんでこんなにお節介なの?ただただ迷惑だよ。
 あ、結界解除してくれた。はぁ~、やっと帰れる~。・・・本当に付いてくるんだ。まぁ関係ないか。途中で帰るでしょ。ただ外を見に来ただけでほぼ何にもしてないけど疲れた~なんでだ?

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