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先輩、こんなゲームしませんか?ver.カラフル弁当with you

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「全問不正解って、どういうことだ?」
「いつの間にか、頭があほになってたんでしょうね」

 怪訝そうというより多少怯えているような顔をした先輩に俺はさらっと答えた。まあ、そうでしょうね、という感じに。

「それでも、こんな綺麗に全問不正解なんて書けないだろ? 空白じゃなくて全部計算式書いてるんだぞ? お前、さてはわざと……」
「先輩、男に二言はないです」

 ノートを赤ペンでトントンと叩く先輩を無視して、俺は自分の服を脱ぎ始めた。真横でブレザー、パーカーを脱ぎソファに放り投げ、ネクタイを取っていく俺を、何してんだというような冷ややかな目で見ていた先輩だったが、シャツを脱ぐ頃にはドギマギした様子で……

「す、ストップ!」

 俺がズボンから引き出そうとしていたシャツを両手で止めてきた。ちなみにシャツのボタンはすでに全部外れている。

「なんです? あと、シャツとズボンを脱がないといけないんですけど」
「もういいって……!」

 真っ赤な顔で視線を逸らしたまま先輩は少し声を荒げた。彼がこうなることは簡単に予測出来た。怒っているというより、照れてる……。

「それって、俺のこと、少しは意識してくれてるってことですか?」

 逸らす視界にわざと入り込むように俺は近距離から先輩の顔を覗き込んだ。

「馬鹿か! 風邪を引くからだよ!」

 バッとこちらを向いて、先輩が器用に俺のシャツのボタンを留めていく。

「それだけ、ですか」

 思わず、少し落ち込んだ声が口から出てしまった。

 ――なんだ、少しは意識してくれているものだと思っていたのに。まあ、俺、先輩に好かれるようなこと、何一つ出来てないもんな。

「あのなぁ、お前が契約書に書いたんだろ? 自分のことを雑に扱うなって。俺なりに約束守ってんだよ。破らせんな」

 今度は先輩が真正面から器用に俺のネクタイを結ぶ。別にもう家だからネクタイなんてしなくても良いのに。

 ――先輩、優しい……。

「ああ……、やっぱ好きだ……」

 俺は先輩に聞こえないくらい小さな声で呟いた。

「は? なんつった?」

 怖い顔で先輩が問い掛けてくる。俺が文句でも言ったとでも思っているのだろう。ひとまず、誤解だけは解かなくては。

「いや、今日の夕飯は何だろうなって言ったんです」
「さっき買い物行ったときに説明しただろ! 何回言わせんだ! 餃子とラーメンだっつの!」

 怒った先輩もやっぱり好きだ。
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