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頑張ったのに風邪を引きました!
①
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「貧乏人とは遊ぶな! 貧乏がうつるぞ!」
『なかよし』と名前がついた公園に足を踏み入れた瞬間、私を知っている子たちは叫びながらみんな逃げ出した。
貧乏なんてうつるわけがないのに……。
学校でも外でも私はいつも一人だった。
砂場で一人、いつも山を作って、穴を掘って――
「……くん」
声が聞こえた。
眠りの世界以外からの声。
「雪くん」
寝起きのぼんやりする視界に光くんの綺麗な顔が映り込む。
「光くん……?」
私の喉、ガラガラ。
それにすごく熱い。
――ああ、そうだ……、私、オリエンテーション合宿から帰ってきて、風邪引いて熱出したんだった。
「雪くん、大丈夫?」
心配そうに私の顔を覗き込む光くん。
「……光くん、……どうして?」
どうしてここに居るんだろう。
私、みんなに悪いと思って学園の保健室で寝てたのに。
ここ、光くんの部屋だ。
「あんなところで寝てて、自分の弱ってる姿を誰彼構わず見られるのは嫌だろう?」
誰彼って、学園はお休みの日だから、誰もいなかったんだけど……。
保健医の先生も誰も。
「悪魔組に加護はないし、僕と灯だったら、僕のほうが治癒の加護は強い。それに僕には中堂もついてるし」
そう言いながら、光くんが私のおでこに熱冷ましのシートを貼ってくれる。
それから、ちらっと寝室の扉のほうを見た。
今日は閉まってる。
「君に神の加護を」
光くんが優しく微笑んで、私の頭に手をかざすとぽわっと光って、心地よくて、身体が少し楽になった。
風邪なんて、一人で堪えれば大丈夫だと思ってた。
まさか、こんなに熱が上がって、ツラくなるなんて……。
ここにはお父さんもお母さんも弟の皐もいない。
――あー、ダメだなぁ……、なんで人って熱出ると気持ちまで弱るんだろう……。
「光くん……、ごめ……なさ……」
なんで泣いちゃうかなぁ、私。
拭っても拭っても涙は溢れてきて……。
「大丈夫だよ」
掛け布団の上から光くんが私のことをぎゅっと抱きしめてくれる。
でも、ダメなんだ。
「風邪……移ります……ひっく、……離してください」
天使だって、きっと風邪引くんだ。
悪魔と思われてる私が風邪引いて変に思われてないってことは。
だから、光くんも。
「ないよ」
「え?」
静かな声が聞こえて、私はきょとんとしてしまった。
「君は僕のお気に入りだからね、離す気はないよ」
ニコッと笑った顔が私の隣に横になって、トントンと寝かしつけるように布団を叩く。
「君は一人じゃない。甘えていいんだよ」
そんなこと友達に言ってもらえたことない。
「ひかるくん……っ」
「よしよし」
またたくさん涙が溢れてきて、止まらなくなって、でも、私が泣き疲れて眠ってしまうまで、光くんは私のそばに居てくれた。
『なかよし』と名前がついた公園に足を踏み入れた瞬間、私を知っている子たちは叫びながらみんな逃げ出した。
貧乏なんてうつるわけがないのに……。
学校でも外でも私はいつも一人だった。
砂場で一人、いつも山を作って、穴を掘って――
「……くん」
声が聞こえた。
眠りの世界以外からの声。
「雪くん」
寝起きのぼんやりする視界に光くんの綺麗な顔が映り込む。
「光くん……?」
私の喉、ガラガラ。
それにすごく熱い。
――ああ、そうだ……、私、オリエンテーション合宿から帰ってきて、風邪引いて熱出したんだった。
「雪くん、大丈夫?」
心配そうに私の顔を覗き込む光くん。
「……光くん、……どうして?」
どうしてここに居るんだろう。
私、みんなに悪いと思って学園の保健室で寝てたのに。
ここ、光くんの部屋だ。
「あんなところで寝てて、自分の弱ってる姿を誰彼構わず見られるのは嫌だろう?」
誰彼って、学園はお休みの日だから、誰もいなかったんだけど……。
保健医の先生も誰も。
「悪魔組に加護はないし、僕と灯だったら、僕のほうが治癒の加護は強い。それに僕には中堂もついてるし」
そう言いながら、光くんが私のおでこに熱冷ましのシートを貼ってくれる。
それから、ちらっと寝室の扉のほうを見た。
今日は閉まってる。
「君に神の加護を」
光くんが優しく微笑んで、私の頭に手をかざすとぽわっと光って、心地よくて、身体が少し楽になった。
風邪なんて、一人で堪えれば大丈夫だと思ってた。
まさか、こんなに熱が上がって、ツラくなるなんて……。
ここにはお父さんもお母さんも弟の皐もいない。
――あー、ダメだなぁ……、なんで人って熱出ると気持ちまで弱るんだろう……。
「光くん……、ごめ……なさ……」
なんで泣いちゃうかなぁ、私。
拭っても拭っても涙は溢れてきて……。
「大丈夫だよ」
掛け布団の上から光くんが私のことをぎゅっと抱きしめてくれる。
でも、ダメなんだ。
「風邪……移ります……ひっく、……離してください」
天使だって、きっと風邪引くんだ。
悪魔と思われてる私が風邪引いて変に思われてないってことは。
だから、光くんも。
「ないよ」
「え?」
静かな声が聞こえて、私はきょとんとしてしまった。
「君は僕のお気に入りだからね、離す気はないよ」
ニコッと笑った顔が私の隣に横になって、トントンと寝かしつけるように布団を叩く。
「君は一人じゃない。甘えていいんだよ」
そんなこと友達に言ってもらえたことない。
「ひかるくん……っ」
「よしよし」
またたくさん涙が溢れてきて、止まらなくなって、でも、私が泣き疲れて眠ってしまうまで、光くんは私のそばに居てくれた。
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