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お願いですから、小綺麗にしないでください!

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 ◆ ◆ ◆

「あの……」

 一日かかった合同授業が終わって、校舎に戻るときに私は四人に挟まれて歩いた。
 加賀美先生も何も言ってなかったし、あれでよかったのでしょうか。

「……」

 無言の東条くん、怖いです。

「お前は頭脳派だもんな」

 闇くん、それはどんなフォローですか。

「雪くん、ド派手にいけて嬉しかった?」

 光くん、目が潰れるかと思いました、私。

「これからもキミのことはボクが守ってあげるからね」

 いつも朝に私を置いていく人が何を言ってるんですか、灯くん。

「みなさん、なんで俺に力を貸してくれたんですか?」

 この感じ、私を人間だって疑ってるわけじゃないんですよね?
 たぶん、すごい低能なやつだと思われてるんですよね?

「お前が周りのやつらに馬鹿にされそうになってたからだよ」

 え、そんな素直に優しいこと言ってくれるんですか、東条くん。

「ありがとうございます」

 私は照れながら、ぺこっと頭を下げた。

 四人が私に優しくしてくれる理由が未だに分からないけど、この人たちが味方してくれると心強いな。

「というか、ボク、思ったんだけど」

 突然、灯くんが足をピタリと止めた。
 それに合わせて、私を含めたみんなの足が止まる。

 そのまま、灯くんが私の前に立って

「雪ちゃんが周りから馬鹿にされるのってさ、地味だからじゃない?」

 と言った。

「え?」

 戸惑う私と

「ほう」

 すばやい動きで私のメガネを奪い、もさっとした前髪を上に上げる東条くん。

 ――しま……。

 私の顔を見て、一瞬、四人が固まった。

 ――お、女だってバレた?

 一緒に固まる私。

 時が再び動き出したとき

「こんなのアリかよ」

 闇くんは、そんなことをぼそりとこぼして、まだ固まっていたし

「爺や、一流の美容師、今から連れてきて」

 急にスマホを取り出して、爺やとやらに電話をし始める灯くん。

「お前ら、ホームルーム、サボるぞ」

 真顔で東条くんは私を肩に担ぎ上げて

「うん、そうしよう」

 光くんは私のメガネをかけて、君に返す気はないという感じで先頭を歩き始めた。

 もしかして、これってあれですよね?
 あれな流れですよね?

「やめ、やめてくださいぃぃぃい!」

 私は東条くんの肩で暴れた。

 お願いだから、小綺麗にしないでください!
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