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寮の部屋まで一緒なんて聞いてません!
③
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◆ ◆ ◆
「どうだ?」
食堂で正面に座った加賀美先生が私に尋ねる。
優雅に大人っぽくコーヒーを飲んでる姿に腹が立つ。
「美味しいです……っ」
私はオムライスをもりもり食べ、嗚咽と共に呑み込んだ。
「なんだ? 泣いてんのか? まだ初日だぞ」
テーブルに置いてあったペーパーナプキンで先生は私の涙を拭きながら言った。
優しくしないでください、このクズ教師!
「どうして、寮まで彼らと一緒なんですか」
ひどいじゃないですか。
本当なら普通の天使寮で一人部屋だったかもしれないのに。
オムライスが美味しすぎて、もうお皿にほとんどないです。
「それはお前が親衛隊になったからだな」
「先生がしたんです」
そこは勘違いしないでいただきたい。
念を押す。
「まあ、そうとも言うか。お前は親衛隊としてあいつらを守り、ちょっとした世話を担当する。だから、そばに居ないとダメなわけで、お前もあいつらと居たほうが安全だと思うぞ? 親衛隊になって他から恨まれてると思うからな」
加賀美先生は、さらっとそんなことを言う。
「ひぃいい! なんてことしてくれたんですか!」
それはそうだ。近づけないからこそ、王者の風格というか、そういう存在なのだから、地味なのにそばに居る私は他生徒から恨まれるだろう。
彼らはアイドル並みにファンが多い。
今日一日だけでそれは痛いほど分かった。
さよなら、私の平和な学園生活。
「頑張れよ。俺は応援してるからさ」
悪魔のくせにそんなに爽やかに笑わないでください。
このう、顔がいいだけのクズ教師め。
「それにしても、誰も探しに来てくれないなんて、可哀想なやつだな。先生が寮まで送ってやろう」
オムライスを食べ終わって、フルーツがたっぷり入ったアイスフルーツティーまでごちそうになった頃、先生がそんなことを言った。面白そうに笑ってる。
初日だ。友達もいないし、生徒会の彼らは絶対に私のことなんて迎えに来ない。
まあ、これ以降もないだろう。
私に興味なんてなさそうだったし。
「どうだ?」
食堂で正面に座った加賀美先生が私に尋ねる。
優雅に大人っぽくコーヒーを飲んでる姿に腹が立つ。
「美味しいです……っ」
私はオムライスをもりもり食べ、嗚咽と共に呑み込んだ。
「なんだ? 泣いてんのか? まだ初日だぞ」
テーブルに置いてあったペーパーナプキンで先生は私の涙を拭きながら言った。
優しくしないでください、このクズ教師!
「どうして、寮まで彼らと一緒なんですか」
ひどいじゃないですか。
本当なら普通の天使寮で一人部屋だったかもしれないのに。
オムライスが美味しすぎて、もうお皿にほとんどないです。
「それはお前が親衛隊になったからだな」
「先生がしたんです」
そこは勘違いしないでいただきたい。
念を押す。
「まあ、そうとも言うか。お前は親衛隊としてあいつらを守り、ちょっとした世話を担当する。だから、そばに居ないとダメなわけで、お前もあいつらと居たほうが安全だと思うぞ? 親衛隊になって他から恨まれてると思うからな」
加賀美先生は、さらっとそんなことを言う。
「ひぃいい! なんてことしてくれたんですか!」
それはそうだ。近づけないからこそ、王者の風格というか、そういう存在なのだから、地味なのにそばに居る私は他生徒から恨まれるだろう。
彼らはアイドル並みにファンが多い。
今日一日だけでそれは痛いほど分かった。
さよなら、私の平和な学園生活。
「頑張れよ。俺は応援してるからさ」
悪魔のくせにそんなに爽やかに笑わないでください。
このう、顔がいいだけのクズ教師め。
「それにしても、誰も探しに来てくれないなんて、可哀想なやつだな。先生が寮まで送ってやろう」
オムライスを食べ終わって、フルーツがたっぷり入ったアイスフルーツティーまでごちそうになった頃、先生がそんなことを言った。面白そうに笑ってる。
初日だ。友達もいないし、生徒会の彼らは絶対に私のことなんて迎えに来ない。
まあ、これ以降もないだろう。
私に興味なんてなさそうだったし。
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