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天使と悪魔の学園へ、ようこそ!
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この学園に入学した数人の人間たちは天使と悪魔にその正体をバレてはいけない。
中等部の三年間、彼らに人間だとバレなければ高等部卒業までの学費が免除されるが、バレた場合は学費が払えない=即刻退学となる。
人間側は正体をバレないようにするために何をしてもいい。
天使と悪魔は人間を見つけて密告、成功すれば成績がアップする仕組みになっている。
逆に間違って密告した場合は成績が大幅にダウンする。
全校生徒に与えられた人間のヒントは一つ。
それは『人間は女子生徒の中にいる』
将来、大天使とか大魔王を目指している子たちは、この学園での成績が関係してるから必死に人間を探すらしい。
人間が見つかることを『魂をうばわれる』と表現していて、ちょっと怖いんだ。
そんな学園に入学した私は正真正銘の女で、すごい貧乏な家の子で、お父さんとお母さんに「お金がなくていい学校に通わせてあげられなくてごめんね」と泣かれ、私の下には小学六年生の弟、皐がいる。
自分と家族の将来のため、この名門校を無事に高等部まで無償で卒業して、いいところに就職したい。
そのために私は今日から私は『男子』として生きていくことを選んだ。
黒い地毛を短くカットして、前髪はぼさっとさせて、ダサい黒縁メガネもかけて、胸にはさらしを巻き、制服も天使組の男子の制服を着ている。
完璧。これこそ完璧だ。
誰も私を女だとは思うまい。
天使と悪魔に泳ぎは必要ないから水泳の授業もないし、教師たちは事情を知ってるし。
きっと、私はこの中等部三年間をなんとか過ごすことが出来るだろう。
地味に目立たずに過ごすのだ!
「しつれいしま~す……」
小声で囁きながら、ホールの後ろから中に入っていく。
現在、ここでは入学式が行われている。
みんな理事長先生の話に集中していて、私には気が付いていないようだ。
というか、理事長先生、二十代に見えるの私だけ?
金色の髪がとても綺麗で、中性的でもある。
格好は貴族みたいだし、不思議な世界観だ。
「ここに入学を赦された人間の諸君は他の者に正体がバレないように頑張りたまえ」
ちょうど、この学園の特色を説明しているところみたい。
というか、他の者ってことは人間同士も知られちゃいけないってことだよね。
人間も他の人間を密告すれば成績は上がるけど、仲良くすればバラされる危険があるってこと……?
「では、ここで新たな生徒会役員メンバーを紹介する」
理事長先生はそう言って、舞台袖に視線を送った。
入学前説明会で聞いたんだけど、この学園は他の学校と違って、三年に一度理事長先生に選ばれた一年生が三年生まで生徒会をやるんだって。
だから、今、舞台に並んだ四人は全員、新入生。
「左から、生徒会長の悪魔組1年A組 東条 晩」
紹介された生徒会長を見て、あ……、と思う。
艶のある黒髪、漆黒の瞳。黒いブレザー。
さっき助けてくれた人だ。
生徒会長なのに遅刻しそうになってたってこと?
それとも生徒会長として、遅れそうになってるやつがいないか見回りしてたとか?
真実はたぶん、ずっと分からない。
それにしても、すごい声援。「東条様ぁああああ!」とか、男女関係なく叫ばれてる。
「生徒会副会長、悪魔組1年A組 京極 闇」
セットされた白い髪に赤い瞳。黒いブレザー。
副会長も悪魔なんだ。
ここからでも顔が整ってることが分かるし、見た目がやんちゃしてそう。
でも、生徒会だから、そんなにおかしな行動はしないはず?
やっぱり、彼もすごい、きゃーきゃー言われてる。
「生徒会書記、天使組1年A組 西園寺 光」
書記の彼は天使組で白いブレザー、金髪に碧い瞳で王子様みたいだ。
笑顔がキラキラしてて、みんなからの悲鳴がすごい。
手を振ってるだけで、きゃーきゃー、理事長先生の声が聞き取りづらいくらい。
天使組だから、きっと性格もいいんだろうな。
「生徒会補佐の天使組1年A組 伊集院 灯」
三人よりも少し背が低い彼。金髪に金色の瞳。
これぞ天使って感じだ。ちょっと甘めの顔というか可愛い系の印象。
新入生から「灯さま~! 可愛い!」とコールをもらっている。
この子も人気なんだ。
「彼らが今後三年間の生徒会となる。後ほど、彼らを守る親衛隊も決めるからな。では、これで入学式を終了とする。諸君は速やかに教室に移動するように」
へぇ、親衛隊とかいるんだ。
守ったり世話係とかそういうことなのかな……。
とか、ぼけっとしながら私はみんなに混ざって、クラス表を見ながら自分の教室に向かった。
私は天使組1年B組。だから、白いブレザーを着てるんだけど、本当に天使組でよかったと思う。
なぜなら、天使たちはみんな温厚で、しかもほとんどの子が元から成績がいいから人間狩りを積極的に行う子は少ないっていうから。
教室に入って自分の席に座る。ざわざわとしてるのは普通の学校っぽい。
みんな顔が整ってて、金髪とか明るくてキラキラしてて、暗い地味な男子に変装してる私はちょっと浮いてる気がする。だけど、大丈夫、いまの私は男だ。みんな人間は女子生徒の中に居ると思ってるんだから。
「みなさん席に着きましたね。それでは、みなさん、改めまして天使と悪魔の学園へ、ようこそ。私はみなさんの担任になりました甘使 偲です。よろしくお願いします
長い金髪、透き通るような金色の瞳が天使の先生って感じ。
性別は分からないし、年齢も分からないけど、やっぱり若く見える。
「理事長先生から色々と説明を受けたかと思いますが、ここからは寮について説明したいと思います」
いよいよ寮についての説明かぁ、と思う。
きっと、ここで部屋割りが決められるんだろうな。
人数が半端に余ったから一人部屋になりましたよー、とか言ってもらえないだろうか?
そう思っていたときだった。
中等部の三年間、彼らに人間だとバレなければ高等部卒業までの学費が免除されるが、バレた場合は学費が払えない=即刻退学となる。
人間側は正体をバレないようにするために何をしてもいい。
天使と悪魔は人間を見つけて密告、成功すれば成績がアップする仕組みになっている。
逆に間違って密告した場合は成績が大幅にダウンする。
全校生徒に与えられた人間のヒントは一つ。
それは『人間は女子生徒の中にいる』
将来、大天使とか大魔王を目指している子たちは、この学園での成績が関係してるから必死に人間を探すらしい。
人間が見つかることを『魂をうばわれる』と表現していて、ちょっと怖いんだ。
そんな学園に入学した私は正真正銘の女で、すごい貧乏な家の子で、お父さんとお母さんに「お金がなくていい学校に通わせてあげられなくてごめんね」と泣かれ、私の下には小学六年生の弟、皐がいる。
自分と家族の将来のため、この名門校を無事に高等部まで無償で卒業して、いいところに就職したい。
そのために私は今日から私は『男子』として生きていくことを選んだ。
黒い地毛を短くカットして、前髪はぼさっとさせて、ダサい黒縁メガネもかけて、胸にはさらしを巻き、制服も天使組の男子の制服を着ている。
完璧。これこそ完璧だ。
誰も私を女だとは思うまい。
天使と悪魔に泳ぎは必要ないから水泳の授業もないし、教師たちは事情を知ってるし。
きっと、私はこの中等部三年間をなんとか過ごすことが出来るだろう。
地味に目立たずに過ごすのだ!
「しつれいしま~す……」
小声で囁きながら、ホールの後ろから中に入っていく。
現在、ここでは入学式が行われている。
みんな理事長先生の話に集中していて、私には気が付いていないようだ。
というか、理事長先生、二十代に見えるの私だけ?
金色の髪がとても綺麗で、中性的でもある。
格好は貴族みたいだし、不思議な世界観だ。
「ここに入学を赦された人間の諸君は他の者に正体がバレないように頑張りたまえ」
ちょうど、この学園の特色を説明しているところみたい。
というか、他の者ってことは人間同士も知られちゃいけないってことだよね。
人間も他の人間を密告すれば成績は上がるけど、仲良くすればバラされる危険があるってこと……?
「では、ここで新たな生徒会役員メンバーを紹介する」
理事長先生はそう言って、舞台袖に視線を送った。
入学前説明会で聞いたんだけど、この学園は他の学校と違って、三年に一度理事長先生に選ばれた一年生が三年生まで生徒会をやるんだって。
だから、今、舞台に並んだ四人は全員、新入生。
「左から、生徒会長の悪魔組1年A組 東条 晩」
紹介された生徒会長を見て、あ……、と思う。
艶のある黒髪、漆黒の瞳。黒いブレザー。
さっき助けてくれた人だ。
生徒会長なのに遅刻しそうになってたってこと?
それとも生徒会長として、遅れそうになってるやつがいないか見回りしてたとか?
真実はたぶん、ずっと分からない。
それにしても、すごい声援。「東条様ぁああああ!」とか、男女関係なく叫ばれてる。
「生徒会副会長、悪魔組1年A組 京極 闇」
セットされた白い髪に赤い瞳。黒いブレザー。
副会長も悪魔なんだ。
ここからでも顔が整ってることが分かるし、見た目がやんちゃしてそう。
でも、生徒会だから、そんなにおかしな行動はしないはず?
やっぱり、彼もすごい、きゃーきゃー言われてる。
「生徒会書記、天使組1年A組 西園寺 光」
書記の彼は天使組で白いブレザー、金髪に碧い瞳で王子様みたいだ。
笑顔がキラキラしてて、みんなからの悲鳴がすごい。
手を振ってるだけで、きゃーきゃー、理事長先生の声が聞き取りづらいくらい。
天使組だから、きっと性格もいいんだろうな。
「生徒会補佐の天使組1年A組 伊集院 灯」
三人よりも少し背が低い彼。金髪に金色の瞳。
これぞ天使って感じだ。ちょっと甘めの顔というか可愛い系の印象。
新入生から「灯さま~! 可愛い!」とコールをもらっている。
この子も人気なんだ。
「彼らが今後三年間の生徒会となる。後ほど、彼らを守る親衛隊も決めるからな。では、これで入学式を終了とする。諸君は速やかに教室に移動するように」
へぇ、親衛隊とかいるんだ。
守ったり世話係とかそういうことなのかな……。
とか、ぼけっとしながら私はみんなに混ざって、クラス表を見ながら自分の教室に向かった。
私は天使組1年B組。だから、白いブレザーを着てるんだけど、本当に天使組でよかったと思う。
なぜなら、天使たちはみんな温厚で、しかもほとんどの子が元から成績がいいから人間狩りを積極的に行う子は少ないっていうから。
教室に入って自分の席に座る。ざわざわとしてるのは普通の学校っぽい。
みんな顔が整ってて、金髪とか明るくてキラキラしてて、暗い地味な男子に変装してる私はちょっと浮いてる気がする。だけど、大丈夫、いまの私は男だ。みんな人間は女子生徒の中に居ると思ってるんだから。
「みなさん席に着きましたね。それでは、みなさん、改めまして天使と悪魔の学園へ、ようこそ。私はみなさんの担任になりました甘使 偲です。よろしくお願いします
長い金髪、透き通るような金色の瞳が天使の先生って感じ。
性別は分からないし、年齢も分からないけど、やっぱり若く見える。
「理事長先生から色々と説明を受けたかと思いますが、ここからは寮について説明したいと思います」
いよいよ寮についての説明かぁ、と思う。
きっと、ここで部屋割りが決められるんだろうな。
人数が半端に余ったから一人部屋になりましたよー、とか言ってもらえないだろうか?
そう思っていたときだった。
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