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雪豹の真実
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しおりを挟む輸送船ではあったけれどザイル号には少数の乗客がおり、僕はその人たちに紛れて難なく過ごすことが出来た。アルシャムスに一番近い港であるシュルーク港には四日ほどで着いたけれど、驚くことにそこには城の兵が数十人集まっていた。どうやら、どこかに向かう準備をしていたらしい。
兵と軍船を見た時から「まさか、アキークの所に?」と思っていたけれど、残念ながら僕のその予想は的中した。ザイル号から降りたあと兵の一人が僕を見つけ、アルシャムスの城に連れて行かれることになった。その後に軍隊は解散、出航は中止、つまり、王が下した命令は遂行されたのだ。
「戻って来たか」
王は玉座に座り、僕を見下ろしている。
「はい……ルマン様、ただ今戻りました」
「長らく戻って来ないから心配したぞ?我輩直々に迎えに行ってやろうと思っていたところだ」
心配?そんなことを思っていないのは分かっている。王が心配していたのは僕の能力を他人に取られないかということだけだ。
「申し訳ありません。既にお耳に入っておられるとは思いますが、雪国の:海賊(コルサーン)に誘拐されておりました」
残酷で冷酷な、こんな男に何故腰を低くしなければならないのか。分かってはいるけれど、アキークがしてくれたことを無駄にしてはいけないと思い、僕は静かに嘘を突き通した。
「:海賊(コルサーン)……?」
「はい、彼らが目を離した隙にザイル号に乗り────」
「服を脱げ」
僕の言葉を遮り、王が玉座から立ち上がった。あまりにも突然だったため僕は何も言うことが出来なかった。否、声が出なかった。
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