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極光の夜に
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しおりを挟むアキークは、まず僕に着る物をくれた。僕にはどうしてか分からないけれど、船に丁度良いサイズの服があったそうだ。黒を基調とした服で、寒さを凌ぐためかアキークは僕に何枚も重ね着をさせた。これで僕も少しは海賊らしくなっただろうか?
「ナキは俺の部屋で寝ろ」
「どうしてっすか?ナキさんだけずるいっすよー。俺も暖炉のある部屋で寝たいっす」
「人間は寒さに弱いんだよ。シャラール、お前、ナキを殺したいのか?」
「い、いいえ」
「シャラールさん、一緒に寝ますか?」
「ナキさん……」
「ナキ!お前!」
「アキーク、部下は大切にした方が良いですよ?」
「なんでシャラールは“さん”付けで、俺は呼び捨てなんだ?」
「俺の方が偉そうに見えるからじゃないっすか?」
「シャラール!」
そんな会話を数時間前にした。今は部屋の中にシャラールさんの寝息と暖炉の薪が燃える音だけが聞こえている。僕が少し眠って目覚めると、見張りを交代したのかアキークの姿が見えなくなり代わりに床でシャラールさんが眠っていたのだ。
「アキーク?」
そろそろとベッドから降りた僕は静かに扉を開け、部屋から出てアキークを探した。けれど船首にも船尾にも姿はない。
「アキーク」
船の上から忽然と人が消えることなんてあるだろうか?と思った時だった。
「ナキ、上だ」
「これって……」
頭上から声がして、上を見上げた僕は息を呑んだ。
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