孤狼の子孫は吸血鬼に絆される

純鈍

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童貞卒業おめでとう②

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「は? んっ、んうっ!」

 パッと顔を上げたラファエルと視線が合ったと思ったら、胸ぐらを掴まれて強引に唇を奪われた。

「ちょっ、んンッ」

 一瞬離れても、また唇を塞がれ、触れるたびに深くなる。そのまま部屋の中に連れ込まれて、気付けば、俺はまた奴のベッドに押し倒されていた。

「んっ、ふ……」

 ねっとりと舌を絡められ、上手く息継ぎが出来ず、ふわふわと意識が曖昧になる。

「なん、なんだよ……」

 やっと解放されたときには息も絶え絶えで、まじで死ぬかと思った。

「……ダメなんだ。私がダメなんだよ」

 脱力して動けない俺を見下ろすラファエルはなんだか後悔したような顔をしていた。

「くっ」

 奴にしては珍しい表情に俺はなにも言えなくなる。

 そんな俺の頬にするりと右手で触れ、ラファエルは「君を誰かに取られたくないと思ってしまった」と静かに言った。

「君が童貞を捨てる手助けをしたいと思って、あの場所に連れていったんだが、なにか違うと感じてしまった」

 矛盾してるだろ、と俺がムッとした顔を向けると、ラファエルは察したようにそう付け足した。

「このお節介。もういいだろ? 離せよ」

 頭を軽く振って、意識をハッキリさせて、俺は両腕を突っぱねてラファエルの身体を自分の上から退かそうとした。

 ラファエルが俺に執着する意味が分からない。世話が焼きたいだけなら、別に他のやつでもいいだろ。自分の玩具を取られたくねぇと思ってるなら、それだけなら、別に俺は……。

「いいや、離さない」
「へ? ――ッ、なん、で、また勝手に血……っ!」」

 ガッと両腕をベッドの上に押し付けるように固定され、ラファエルの吸血行為によって首に鋭い痛みが走る。血を吸われるたびにドクドクと鼓動が早まっていくようだ。

そして、一瞬の痛みは消え、熱い舌に血を舐め取られる。

「すまないね、先に処女を奪ってしまって。私が責任を取らないと」

 そう言って俺の上で髪を掻き上げるラファエルの瞳は真っ赤に燃えていた。

 ――こいつ、なんかへんなスイッチ入って……。

「せ、責任ってなんだ? なにするつもりだ?」

 自由になった両腕で、なんとか後ろに下がろうとしたが、ガクッと力が抜けて叶わなかった。

おかしい。ラファエルに血を吸われた所為か、身体に力が入らない。これが急に奴が俺の腕を解放した理由か?

 それにまた身体が熱い……。

「こうしないと君は逃げるだろう?」
「……っ、説明になってねぇっての」

 俺の身体の自由を奪っておいて、ラファエルは優雅に自身の服をすべて脱ぎ去っていく。

 一つ、また一つ、と。

 奴の血の気の薄い真っ白な肌が、すべて露わになるまで、俺はベッドの手前に投げ捨てられていく服を目で追うことしか出来なかった。

「ちゃんと反応していて偉いね」

 ジーパンの前をくつろげ、下着の中から俺のモノを取り出し、ラファエルは満足そうにふっと笑った。反応してるもなにも、こんなのは無理矢理だ。

 どんな仕組みか知らねぇが、身体が上気して、どうしようもなく腰が疼く。

「冷て……!」

 またどっから出したのか分からねぇが、瓶に入ったぬるっとした液体が俺の昂ぶったモノにぶっかけられた。

ラファエルが一切脱がそうとしてこねぇから俺の服がベタベタに汚れていく。

「大丈夫、私もだよ」

 俺の上に跨がって膝立ちになり、ラファエルは後ろ手で俺の昂りに触れた。

「ぁ、く……!」

性急にグチャグチャと乱暴に扱かれて、思わず、ビクビクと腰が浮く。

だが、俺は気が付いてしまった。

その厭らしい水音が二人分聞こえていることに。

「ま、さか……」

 ラファエルは自身のモノに触れていない。俺は少し動揺した瞳で奴を見つめてしまった。
燃えた瞳と視線が合う。

「ああ、気付いてしまった?」

 まるで悪戯をする悪女みてぇに目を細めて、ラファエルはそのまま腰を下ろした。

 ぐぷっと、ラファエルが俺の昂りをゆっくりと呑み込んでいく。

「……っ」

 ――きっつ、熱い……。

 自分のモノが溶けちまいそうで、俺はシーツを掴みながら息を詰めた。

「はぁ……君のも案外立派だね……」

 すべてを自分の中に納め、ラファエルがふっと息を吐く。

「あん、がい、とか言うなっ」

 つーか、一回見てんだろ! と文句を言いたかったが、そんなことを言ってられるほど、俺に余裕はなかった。

「はっ、あ、動く、な、よッ」

 ぬくぬくと腰を上下に動かされ、あられもない声が出る。おかしいだろ、こっちが攻めるはずなのに、ラファエルは動く権利を俺に与えてくれやしない。

 熱い内壁がねっとりと俺のモノに絡みつき、ゾクゾクと甘い刺激が背中を駆け上がっていく。

 ――やばい、このままだと……ッ!

「ん、こっち、触ってくれないか?」

 俺の気も知らないで、余裕そうな表情でラファエルが俺の右手を攫っていく。俺に自身を握り込ませる形で腰を容赦なく動かし、上も下もぐちぐちという音がするほどに激しい。

 ラファエルの身体は首から胸元まで赤くなっていて、それがやけに扇情的に見えた。

 こんなにも視覚的な刺激が腰にくるとは知らなかった。

 ――そんなに激しくされたら、もう出ちまう……ッ!

「ラファ、エル……ッ! ちょっと、ぁ……止まれ……っ!」 

 必死に懇願の眼差しを向けたが、ラファエルは聞いているのかいないのか、目を瞑って、動きを止めることはしなかった。

 俺が握っているラファエルのモノも熱く張り詰め、確実に絶頂へと近付いているのが分かった。

「……っ」
「う、くっ……!」

瞬間、白濁したものが俺の腹を汚し、ぎゅっとラファエルの中で強く締め付けられ、恥ずかしいほどにあっけなく俺は果てた。

 熱くて、電撃が走ったような快感に、頭が真っ白になる。

「私の中で脈打ってる」

 はっきりとしてきた俺の意識と視界の中でラファエルは自身の腹に手をあて、そう言った。そして、

「童貞卒業おめでとう、ジョン」
 
 俺にニッコリと笑い掛けた。
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