孤狼の子孫は吸血鬼に絆される

純鈍

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熱いはじめての夜①

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「大丈夫、大丈夫、正常だから」

 ニコッと笑って、男が俺を見下ろしてくる。大きくて骨張った手に腹を撫でられ変な声が出そうになった。そして、さらにその手は下へと向かう。

「これ、興奮すると出てしまう感じかな?」
「あ、くっ」

 するりと男に撫でられて、狼の尻尾が出てしまっていることにはじめて気が付いた。

 ――俺、興奮してる、のか……?

「耳も? 可愛いね」
「うっせ……んンっ」

 獣の耳を唇で挟むように噛まれ、俺らしくない声が出る。

「私もなんだ、興奮すると目が赤くなる」
「なに言っ……ッ、おいッ、そこ触んなっ!」

 吐息が掛かるように耳元で囁かれながら、急に自分の息子に触れられ、ビクッと身体が跳ねた。

「だって、もうこんなになってるし、君も気持ちよくなりたいだろう?」

 俺のモノをゆるゆると扱きながら、男がやけに楽しそうな声で言う。

「ぃ、あ……っ」

 ゆるい手の動きに身体の熱ばかりが上がっていく。中途半端な刺激がもどかしい。だが、自分の手でどうにかするわけにも、どうしたいかを口にすることも出来ない。

「もうッ、やめ……冷てっ」

 なにが原因でこうなってんのか分かんねぇが、ここで制止して、あとは自分の部屋でどうにか……と思って口にしたら、突然、俺の昂ぶったモノに冷たくてぬるっとした液体が溢された。それも結構大量に。

「安心して、身体に害はないオイルだから」

 どこから取り出したのか、男の手にある黒い小瓶の中身はすでに空っぽだった。

 安心しろ、と言われてもぬるぬるしやがるし、後ろのほうまで液体が回ってきて……

「ひっ……、あんた、どこ触ってんだっ!」

 男の指が液体を撫でつけるように俺の後ろをやんわりとなぞり、へんに動くと指が入ってしまいそうで、俺はカチコチに固まった。

「いちいち反応が良くて楽しいな。緊張してるみたいだから、ほぐしてあげようと思って」
「ほ、ほぐすって……」

 会話の流れの意味が分からなくて、ニコニコと笑う男に恐怖さえ感じる。なのに、なんで俺の息子は萎えないのか。

「ん? もしかして、はじめて?」
「あ、あああ、当たり前だろうがっ!」

 楽しそうに尋ねてくる男に、俺はうぐぐっという顔を向けた。でも、これ、もしかして、俺、墓穴掘ったのか?

「その反応、さては女の子とも経験無いんだね? 大丈夫、着実に前に進んでるよ」

 ば、バレた……! なんか着実に成長してるみたいな言い方されてムカつくんだが? 

「なん、で、あんたとこんな……」

 会ったばっかの、それも男に、なんで、こんな身体触られて、身体熱くなって……。

 後悔の念から顔面を両手で覆い、文句を口にする。

「仕方ないよ、君が私に発情してしまったんだから」
「はつ……っ、はぁ!?」

 男にさらっと言われて、俺はガバッと身体を起こそうとした。だが、後ろで男の指がくにくにと動いたため、また俺は固まった。

「君が、私に、発情、したんだ」

 強調するように言葉を区切りながら、男は俺の足を膝で曲げるように片方ずつ上に押し上げた。

「……っ」

 あまりの衝撃に言葉を失う。俺の口ははくはくと動いて、空気を吐き出すだけだ。

「だから、こっちもこんなになってる」
「んっ、ぁ……ツ……それ、やだって……ッ」

 急に昂りの先端の弱い部分を男にぐりぐりと責められて、俺の身体はビクビクと反応した。ぬちぬちとやらしい音が聞こえる。

「これは嫌? じゃあ、こっちは?」

 いままでやんわりと撫でていただけだったのに、男は指をつぷっと俺の中に入れ、浅いところでぬくぬくと動かし始めた。

「やだって……っ!」
「こらこら逃げない。まだ指一本だけだよ?」

 身体を捻って逃げようとしたが、腰を掴まれて失敗した。
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