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第3話 天邪鬼
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「良いんだ。あれはお前を守るためのものだったんだから、ちゃんと働いてくれて良かった。今度、別のものを用意するよ」
先生はにこっと微笑んだ。
――どうしてだろう、心がもやっとする。
「先生」
もやっとする心で呟く。
「ん?」
「先生は、どうしてそんなに優しくいられるんですか? もっと人を憎んだっておかしくないのに」
自分たちを追い詰めた日本人が憎いだとか、自分たちを助けてくれなかった大人たちが憎いとか、亜蘭さんと同じ考えを持ったとしてもおかしくない。
「先生が悪いわけじゃないのに。誰も悪くないのに……」
どうして先生たちが苦しんで死んでいかなければならなかったのか……。気が付けば、僕の両目からは涙がポロポロとこぼれ落ちていた。
「お前、何か見たのか?」
そう聞かれて、僕は何も答えなかった。黙って目からこぼれ落ちていく涙を両手で拭う。
「そうか……」
何も言わなくても先生はすべてを悟ったようだった。
「つらい思いをさせたな、新海。過去のことは何も気にするな。未来が良ければそれでいいんだ」
大きな手が僕の頭をそっと撫でる。
「生きて、幸せであれよ、少年」
「……っ」
僕は小さい子みたいにわんわんと泣いた。初めて人のために泣いた。
そして、帰り際、夜空に流れ星が見えて、僕は「先生と亜蘭さんが幸せになれますように」と願った。
先生はにこっと微笑んだ。
――どうしてだろう、心がもやっとする。
「先生」
もやっとする心で呟く。
「ん?」
「先生は、どうしてそんなに優しくいられるんですか? もっと人を憎んだっておかしくないのに」
自分たちを追い詰めた日本人が憎いだとか、自分たちを助けてくれなかった大人たちが憎いとか、亜蘭さんと同じ考えを持ったとしてもおかしくない。
「先生が悪いわけじゃないのに。誰も悪くないのに……」
どうして先生たちが苦しんで死んでいかなければならなかったのか……。気が付けば、僕の両目からは涙がポロポロとこぼれ落ちていた。
「お前、何か見たのか?」
そう聞かれて、僕は何も答えなかった。黙って目からこぼれ落ちていく涙を両手で拭う。
「そうか……」
何も言わなくても先生はすべてを悟ったようだった。
「つらい思いをさせたな、新海。過去のことは何も気にするな。未来が良ければそれでいいんだ」
大きな手が僕の頭をそっと撫でる。
「生きて、幸せであれよ、少年」
「……っ」
僕は小さい子みたいにわんわんと泣いた。初めて人のために泣いた。
そして、帰り際、夜空に流れ星が見えて、僕は「先生と亜蘭さんが幸せになれますように」と願った。
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