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第3話 天邪鬼
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亜蘭さんの言葉に操られ、ふっと透キヨさんが意識を失って地面に倒れそうになる。その身体を受け止めたのは急に現れた天乃先生だった。どうやら、先生は透キヨさんの肩を掴んでいて、自分も透明になっていたようだ。
急にふふっと亜蘭さんが笑う。
「兄さん、会いたかったよ」
先生はその言葉に何も返さなかった。地面に透キヨさんの身体を横たえ、ジッと黙って、亜蘭さんを見つめる。
「あやかしポリスかぁ、かっこいいなぁ」
なにも気にせず、亜蘭さんは先生の姿をまじまじと見て瞳を輝かせた。まるで憧れの警察官を見たときの子供と同じ反応だ。
「亜蘭」
ついに先生が口を開いた。
「なんの罪もない子供たちを巻き込むな」
「僕は幸せそうな子供が憎いんだよ。子供なのに幸せであることが罪なんだ」
「お前は勘違いしてる。自分が恵まれていなかったからといって人を憎んではいけない。俺はお前を逮捕する」
「ふーん。いいよ。出来るならね」
先生の真っ直ぐで鋭い視線に対して、亜蘭さんはこれから鬼ごっこでもするかのようにニコニコと笑って答えた。
そして、その様子通り、亜蘭さんは鬼から逃れるように先生の手から逃げて回った。
亜蘭さんを捕まえるために先生が手を伸ばすと、彼はふいっと後ろに飛んだり横にずれたりして避けるのだ。先生がスピードを上げても全然捕まらない。ススキの中で、まるで楽しそうにダンスを踊っているようだ。
僕は姑獲鳥さんと地面に寝かされた透キヨさんと寄り添うように二人の姿を見ていた。とてもじゃないけど二人の動きが速すぎて、僕らはこの場から動けない。
先生と亜蘭さんがお互いに自分の妖術を使おうとしないのは、そもそも通用しないからだと思う。僕が先生の能力のことを知っていて効かないように、先生も亜蘭さんもお互いの能力のことを知っていて効かないんだ。
「兄さん、傷付けずに僕を捕まえようなんてのは無理だよ。その腰に着けてる銃でも使えばいいのに」
「これは絶対に使わない!」
トントンと飛ぶように後ろに下がって、亜蘭さんは先生の腰の銃を指差した。でも、先生は強い口調で否定した。
「じゃあ、兄さんは僕を捕まえられないね」
「いいや、そうとは限らない。本当はこれも使いたくはなかったが……」
余裕な表情の亜蘭さんに向かって、先生が何か黒くて小さい丸いものを投げたのが見えた。
急にふふっと亜蘭さんが笑う。
「兄さん、会いたかったよ」
先生はその言葉に何も返さなかった。地面に透キヨさんの身体を横たえ、ジッと黙って、亜蘭さんを見つめる。
「あやかしポリスかぁ、かっこいいなぁ」
なにも気にせず、亜蘭さんは先生の姿をまじまじと見て瞳を輝かせた。まるで憧れの警察官を見たときの子供と同じ反応だ。
「亜蘭」
ついに先生が口を開いた。
「なんの罪もない子供たちを巻き込むな」
「僕は幸せそうな子供が憎いんだよ。子供なのに幸せであることが罪なんだ」
「お前は勘違いしてる。自分が恵まれていなかったからといって人を憎んではいけない。俺はお前を逮捕する」
「ふーん。いいよ。出来るならね」
先生の真っ直ぐで鋭い視線に対して、亜蘭さんはこれから鬼ごっこでもするかのようにニコニコと笑って答えた。
そして、その様子通り、亜蘭さんは鬼から逃れるように先生の手から逃げて回った。
亜蘭さんを捕まえるために先生が手を伸ばすと、彼はふいっと後ろに飛んだり横にずれたりして避けるのだ。先生がスピードを上げても全然捕まらない。ススキの中で、まるで楽しそうにダンスを踊っているようだ。
僕は姑獲鳥さんと地面に寝かされた透キヨさんと寄り添うように二人の姿を見ていた。とてもじゃないけど二人の動きが速すぎて、僕らはこの場から動けない。
先生と亜蘭さんがお互いに自分の妖術を使おうとしないのは、そもそも通用しないからだと思う。僕が先生の能力のことを知っていて効かないように、先生も亜蘭さんもお互いの能力のことを知っていて効かないんだ。
「兄さん、傷付けずに僕を捕まえようなんてのは無理だよ。その腰に着けてる銃でも使えばいいのに」
「これは絶対に使わない!」
トントンと飛ぶように後ろに下がって、亜蘭さんは先生の腰の銃を指差した。でも、先生は強い口調で否定した。
「じゃあ、兄さんは僕を捕まえられないね」
「いいや、そうとは限らない。本当はこれも使いたくはなかったが……」
余裕な表情の亜蘭さんに向かって、先生が何か黒くて小さい丸いものを投げたのが見えた。
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