天乃ジャック先生は放課後あやかしポリス

純鈍

文字の大きさ
上 下
63 / 87
第3話 天邪鬼

10

しおりを挟む
「幼稚園に入ったばかりという感じの小さな女の子が一人で外を出歩いていた。しかも眠りながら山の中まで行って帰ってきたらしい。手に何か植物のつるを持っていた。俺たちが山に入っている間には見かけなかったんだがな」

 こんくらい、と少女の身長を示すように先生が手でジェスチャーをする。多分、先生が立ったときの膝くらいの高さしかないだろう。あれ? でも、待てよ?

「もしかすると、僕、その子の声聞いたかもしれません。誰かと話をしていました」

 昨夜、フロント横で宿題をやっていて、姿は見えなかったけれど僕は小さい女の子が誰かと会話をしていたのを聞いた。まだ小さいからか滑舌が悪くて何をしゃべっているのか分からなかった。だから、そこまで気にしていなかったけれど、今思えば、その子の声しか聞こえていなかったのはおかしい。

「眠りながら会話もしているのか」

 先生が興味深そうに言う。女の子は実体のある誰かと話をしていたのか、それとも幽霊的な存在、またはあやかしと話をしていたのだろうか?

「先生、その子、どうなったんですか?」

 気になるのはそこだ。

「確保して俺がこっそり部屋に戻しておいたよ」

 透キヨさんが「自分がやった」と主張するようにわざわざ消えてみせる。透キヨさんが消えたことによって朝陽が僕たちまで届いてまぶしい。

「無駄に能力を見せびらかすな」
「痛っ」

 先生もまぶしかったのか、ただ目覚め時にふざけられて苛立ったのか、勢いよく透キヨさんの頭を叩いていた。僕には姿が見えなかったけれど、再び現れたときに透キヨさんが頭を手で押さえていたから頭を叩かれたんだなと思ったのだ。また騒がしい一日が始まった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...