天乃ジャック先生は放課後あやかしポリス

純鈍

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第2話 駄菓子化し

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 ◆ ◆ ◆

 救急車が来てから、先生と透キヨさんは何か救急隊の人と話していたけれど、多分、先生が上手く人の心を操っている気がした。だって、そうじゃないと、どうしてこんなところに子供たちがたくさん倒れているんだ? って話になってしまう。なんの揉め事もなく、子供たちが全員救急車に乗れたということは、これでなんとか事件が解決したということになるのだろう。

「先輩、俺、別に入院とかしなくて大丈夫ですよ?」
「大丈夫じゃない。ここは知り合いの医者が居る病院だ。安心して休め」
「先輩、過保護過ぎですよ」

 そういう会話をして、透キヨさんは一日だけ入院することになった。生気を回復するのに、あやかしでも点滴やら休養が必要らしい。

「先生、どうして僕と透キヨさんがあの駄菓子屋に居るって分かったんですか?」

 透キヨさんの病室で椅子にちょこんと座って、僕は先生に尋ねた。

「その勾玉だ。居場所を探知する機能付き」

 自慢げにニヤリと笑う顔が言う。透キヨさんが言う通り先生は過保護過ぎる。まあ、僕たちはそれに救われたんだけど。

「僕の動きを見張ってたんですか?」
「ああ、心配でな」
「これ、透キヨさんにも持たせたらどうです?」

 自分の首に掛けている勾玉を指で摘まんでまじまじと見てみる。先生と透キヨさんに反応して赤く光っているそれは、とても綺麗だった。

「それもそうだな」

 先生の表情は良いことを思いついたときのと同じだった。

「それもそうだな、じゃないですよ。そんな子供の携帯みたいな機能、俺には不要です」

 僕と先生の会話を静かに聞いていた透キヨさんが「勘弁してくださいよ」みたいな顔をする。それを見て、僕と先生は笑ってしまった。

「先輩、それで寮の部屋の話なんですけど……」
「ダメだ。どうしてそうなる?」

 先生は透キヨさんの心を見たのか、そんなことを言った。僕にはまったく間の話が予想出来ない。透キヨさんはなんと言おうとしたのだろうか? やっぱり先生と同じ部屋に戻りたい、とか?
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