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第2話 駄菓子化し
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――あれ?
苦しかったけれど、気が付くと僕と透キヨさんは金属の扉をすり抜けていた。そこで鼻と口が解放された。でも、まだ声を出してはいけない、と自然と察した。
「ここに居るのは分かっているんだぞ?」
透キヨさんと手を強く繋いだまま、一緒にコンクリートの階段を上っていくと声が聞こえてきた。聞き覚えのある通った声……天乃先生だった。駄菓子屋のおじさんと店の入り口で話をしているようだ。
「知りませんよ。うちはただの駄菓子屋です」
そう惚けるおじさんの後ろに、僕と透キヨさんはこっそりと見えない姿で近付いていく。
「居るんだろう? 俺には分かるぞ」
先生の視線はおじさんなんて見ていなかった。おじさんの後ろ、僕と透キヨさんを見ていた。
「居ますよ、先輩」
「なに!?」
透キヨさんが透明化を解除したんだと思う。自分の後ろに急に人が現れておじさんはとても驚いた顔をしていた。
「駄菓子化し! 逃げられているぞ!」
焦ったようにおじさんが叫ぶ。その肩を天乃先生が掴んで、店の外に連れ出した。
「透キヨ、やっぱり俺じゃないとダメだろ? ――新海を連れて早くこっちに来い」
先生は透キヨさんにニヤリと笑い掛け、すぐに真面目な顔になった。
「まったく好き勝手言って……、新海くん、行くよ」
透キヨさんに手を握られたまま、僕は狭い店内から抜け出した。そんなに時間は経っていないはずなのに、熱い空気の中に出たのがひどく久しぶりな気がして、とても泣きそうになる。先生の顔を見て、ほっとしたんだ。
「何があった?」
店の前で駄菓子屋のおじさんの両腕を後ろ手に拘束し、先生は透キヨさんに尋ねた。
苦しかったけれど、気が付くと僕と透キヨさんは金属の扉をすり抜けていた。そこで鼻と口が解放された。でも、まだ声を出してはいけない、と自然と察した。
「ここに居るのは分かっているんだぞ?」
透キヨさんと手を強く繋いだまま、一緒にコンクリートの階段を上っていくと声が聞こえてきた。聞き覚えのある通った声……天乃先生だった。駄菓子屋のおじさんと店の入り口で話をしているようだ。
「知りませんよ。うちはただの駄菓子屋です」
そう惚けるおじさんの後ろに、僕と透キヨさんはこっそりと見えない姿で近付いていく。
「居るんだろう? 俺には分かるぞ」
先生の視線はおじさんなんて見ていなかった。おじさんの後ろ、僕と透キヨさんを見ていた。
「居ますよ、先輩」
「なに!?」
透キヨさんが透明化を解除したんだと思う。自分の後ろに急に人が現れておじさんはとても驚いた顔をしていた。
「駄菓子化し! 逃げられているぞ!」
焦ったようにおじさんが叫ぶ。その肩を天乃先生が掴んで、店の外に連れ出した。
「透キヨ、やっぱり俺じゃないとダメだろ? ――新海を連れて早くこっちに来い」
先生は透キヨさんにニヤリと笑い掛け、すぐに真面目な顔になった。
「まったく好き勝手言って……、新海くん、行くよ」
透キヨさんに手を握られたまま、僕は狭い店内から抜け出した。そんなに時間は経っていないはずなのに、熱い空気の中に出たのがひどく久しぶりな気がして、とても泣きそうになる。先生の顔を見て、ほっとしたんだ。
「何があった?」
店の前で駄菓子屋のおじさんの両腕を後ろ手に拘束し、先生は透キヨさんに尋ねた。
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