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第2話 駄菓子化し

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 ◆ ◆ ◆

 森田のことが分かったのは給食の時間になってからだった。

「大変だ!」

 普段一緒に給食を食べるはずの担任の先生、つまり天乃先生が教室に来なくて、今日の日直である前林が職員室に呼びに行った、と思ったら慌てて帰ってきた。

「森田、昨日から家に帰ってないんだってさ。俺、職員室で先生たちが話してるの聞いてきちゃった」

 前林は噂好きの男子で、興奮したようにクラスみんなの前で言うものだから、森田のことは一瞬でクラス中に広がった。クラスの中には森田失踪を怖がる生徒や「あいつも不良になったか」と思う生徒、そして、「まさか、あの駄菓子屋さんが悪いあやかし……?」と思う僕が居た。

 あのとき勾玉が赤く光らなかったから、まさかとは思うのだけれど、もしかしてあの駄菓子屋のおじさんが悪いあやかしで、お菓子をあげた子供たちを後で何らかの方法で見つけ出して、どこかに連れ去っているのでは?

「おーい、どうした? 給食の時間始まってるだろ?」

 前林が騒いで数分後、天乃先生はなんともないような顔をして教室に入ってきた。

「えー、先生のこと待ってたんですよ」
「先生、一緒に給食食べましょ?」

 などと、みんな口々に言うけれど、誰も森田について先生に尋ねようとする人はいなかった。多分、みんな、真相を知るのがちょっと怖かったんだと思う。

「お、そうか、悪い悪い。――ほい、じゃあ、いただきます」

 先生はみんなの心の中が見えて、みんなが森田のことを知って気にしているのを理解しているはずだ。でも、何も言わない。普通に自分の席について、いただきますの挨拶をしただけだった。

「新海、ちょっと良いか?」

 挨拶をして数秒後、先生は僕を廊下に呼び出した。どんな顔をして話したら良いか分からなくて、僕はちゃんと普通の表情でいられているだろうか? と不安になる。
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