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第2話 駄菓子化し

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「いままでごめん!」

 がばっと勢いよく諸江は僕に対して頭を下げた。危うく僕の机に頭をぶつけるところだ。

「へ?」

 彼の驚きの行動にぽかんとしたのは僕だけではなかった。周りのみんながびっくりして教室内が一瞬で静かになる。

「お前があんなに勇気のあるやつだったなんて知らなかった! 助けようとしてくれてありがとう!」

 諸江は頭を下げたときと同じ勢いで頭をがばっと上げて言った。そんな彼の言葉に「新海が諸江を助けた……?」と周りはヒソヒソと囁く。それに気が付いたのか否か、諸江はみんなの方を向いた。

 諸江に「馬鹿にすんなよ?」と怒られるんじゃないかって、ギョッとしたみんなの視線が彼の方に集中する。

「みんなもごめん!」

 さっきみたいにがばっと頭を下げる諸江に、みんなはさらにギョッとしてしまった。そんなことはお構いなしに彼は続ける。

「俺は新海をいじめてた。みんなにもそれを無理矢理させてた。でも、新海はとても良いやつだ。もう全部やめにしよう」

 頭を下げたまま調子の良いことを言う、と僕は思ったけれど、諸江の本心なのか、天乃先生に心を操られているのか、どちらにしても、これで僕はこれから平和な学校生活を送れそうだ。

「「おー」」

 意味の分からない拍手も起こってるし、ほんと、みんな調子良すぎるよ。みんなでいじめて、僕は怒ってるんだぞ! くらい言ってやっても良いかなとも思った。でも、僕はもう一人じゃないんだ。きっと、友達が出来る。それだけで満足だ。

「新海」
「ん? なに?」

 改めてこっそりと諸江に声を掛けられてドギマギしてしまう。今度は一体なんだろう?

「頼むから、あのことはみんなに言わないでくれよ?」
「あのことって……、ああ!」

 僕は思い出した。
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