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第2話 駄菓子化し
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「いいや、学校があるから行かない」
とてもがっかりした。先生なら何があっても真っ先に透キヨさんを優先して探しに行くと思ったのに……、ああ、そうか、先生も心の中では透キヨさんや僕を利用したいだけなんだ。先生は同じ状況になったとき、きっと僕のことも見捨てる。そう思ってしまった。
「先生、僕、先に行きますね」
手に持っていた歯ブラシを綺麗に洗って元の場所に戻し、傷付いた心のままで僕は先生に静かに言った。
「え? ああ、気を付けてな」
あっけに取られたような顔が僕を見送る。僕が先生より先に寮を出たことが今までになかったからだろう。
僕はもうこの寮には帰ってこない。どうせ見捨てられるのだから、また一人になってもいいや。そう思いながら学校までの道をトボトボと歩き、気が付いたら抜け殻のような気持ちで教室の自分の席に座っていた。
「返すの忘れちゃったなぁ」
制服の下に隠れている首から掛けた勾玉を思い出して、僕はぼそりと呟いた。返さないといけないと思っても、自分から先生に話し掛けに行くのは今はなんだか嫌だ。
シャツの上から勾玉をぎゅっと握ったときだった。急に教室中がざわっと騒がしくなった。見ると、前のドアから諸江が教室に入ってきていた。もう両目は大丈夫そうだけど、僕の方にまっすぐ向かってくる。
――僕はまた何かを言われるのかな? 何を言われるんだろう? 嫌だな、嫌だなぁ……。
「新海」
「……っ」
すっと僕の前に立った諸江の迫力がすごくて、僕はゴクリと喉を鳴らした。
――きっと、悪いことを言われるんだ。お前は俺を見捨てたとか、なさけないやつだったとか、そんなことを言われるんだ。最低だとか、また廃工場に行ってこいとか……。
とてもがっかりした。先生なら何があっても真っ先に透キヨさんを優先して探しに行くと思ったのに……、ああ、そうか、先生も心の中では透キヨさんや僕を利用したいだけなんだ。先生は同じ状況になったとき、きっと僕のことも見捨てる。そう思ってしまった。
「先生、僕、先に行きますね」
手に持っていた歯ブラシを綺麗に洗って元の場所に戻し、傷付いた心のままで僕は先生に静かに言った。
「え? ああ、気を付けてな」
あっけに取られたような顔が僕を見送る。僕が先生より先に寮を出たことが今までになかったからだろう。
僕はもうこの寮には帰ってこない。どうせ見捨てられるのだから、また一人になってもいいや。そう思いながら学校までの道をトボトボと歩き、気が付いたら抜け殻のような気持ちで教室の自分の席に座っていた。
「返すの忘れちゃったなぁ」
制服の下に隠れている首から掛けた勾玉を思い出して、僕はぼそりと呟いた。返さないといけないと思っても、自分から先生に話し掛けに行くのは今はなんだか嫌だ。
シャツの上から勾玉をぎゅっと握ったときだった。急に教室中がざわっと騒がしくなった。見ると、前のドアから諸江が教室に入ってきていた。もう両目は大丈夫そうだけど、僕の方にまっすぐ向かってくる。
――僕はまた何かを言われるのかな? 何を言われるんだろう? 嫌だな、嫌だなぁ……。
「新海」
「……っ」
すっと僕の前に立った諸江の迫力がすごくて、僕はゴクリと喉を鳴らした。
――きっと、悪いことを言われるんだ。お前は俺を見捨てたとか、なさけないやつだったとか、そんなことを言われるんだ。最低だとか、また廃工場に行ってこいとか……。
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