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第2話 駄菓子化し
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◆ ◆ ◆
その日、情報の収穫はまったくなかった。
「おかしいな、三ヶ木中の生徒たちの心を見てみたが何も分からなかった」
そう言って先生が頭を抱えるほどだ。あまりにも行き詰まった所為か、「こういうときは風呂に入るのが良い」とか言って、夜、先生は僕を大浴場に連れていった。
「あ……」
先生がジッと一点を見つめて動きを止めた。初めて入る洋風の大浴場には人がたくさん居たけれど、脱衣場で偶然にも透キヨさんと鉢合わせしてしまったのだ。
「お前、タイミング合わせてきたのか?」
「そんなわけないでしょう? 先輩こそ、ストーカーやめてくださいよ」
また険悪なムードだ。きっと僕がここに来たからいけないんだ。僕が居なくなれば、この雰囲気は良くなるだろうか?
取り敢えず、僕は服を脱いだ後、先生からそっと離れて一人で身体と頭を洗い、一人で湯船に入った。そんな僕に気が付いていないのか、先生と透キヨさんは隣同士でシャワーを使いながら、まだ何か言い合いをしているようだ。
「あの二人、いつも仲良くお風呂に来てたから、お風呂に来るタイミングもシャワーを使うタイミングも湯船に浸かるタイミングも一緒になっちゃうんだよ。人のルーティーンって、そんなに簡単に変えられるものじゃないからさ」
「あの、あなたは?」
先生たちを見ていると、急に横から話し掛けられて僕はどきりとしてしまった。あまり知らない人と話す機会がなくて緊張してしまう。
「あ、僕は千里、よろしくね」
話し掛けてきた人は、ひょろっとした色白の人で、よく見るとおでこの真ん中に三個目の瞳があった。
「新海智也です。二人のことよく見てるんですね」
「ずっと透キヨと組みたかったからね、僕は」
千里さんのおでこにある目がギョロッと動いて透キヨさんを見た。
「へ?」
「だって、誰にも見つからない能力ってすごくない? 気付かれずに悪いあやかしに近付けるって検挙率上がりまくりじゃないか。僕の透視の能力と併せたら最強だね」
「そう、なんですね」
先生から透キヨさんの話を聞いていたから、僕は複雑な気持ちになった。たぶん、透キヨさん自身は、大きい子供を嫌いになるのと同じで自分の能力も嫌いになってしまったんじゃないかと僕は思う。
「お前、今、何を追ってるんだ?」
僕が次に発する言葉を見つけられないでいると近くに先生と透キヨさんが入ってきた。
「秘密です。先輩には関係ないでしょう? 俺は、今、この千里くんと組んでるんで」
そう言って透キヨさんは千里さんの真横に移動した。千里さんは自分の願望を叶えていた。ということは、透キヨさんの能力を利用したいがために組んだのだろうか?
「へえ、そうかい。怪我にだけは気を付けろよ?」
「先輩こそ」
お互いにそっぽを向いてしまったけれど、どちらもお気に入りの場所を譲る気はないらしい。お風呂から上がるまで、二人はお互いの近くでお湯に浸かっていた。それより先に出た僕は見知らぬあやかしたちにじろじろと見られたり話し掛けられたりで大変だった。
その日、情報の収穫はまったくなかった。
「おかしいな、三ヶ木中の生徒たちの心を見てみたが何も分からなかった」
そう言って先生が頭を抱えるほどだ。あまりにも行き詰まった所為か、「こういうときは風呂に入るのが良い」とか言って、夜、先生は僕を大浴場に連れていった。
「あ……」
先生がジッと一点を見つめて動きを止めた。初めて入る洋風の大浴場には人がたくさん居たけれど、脱衣場で偶然にも透キヨさんと鉢合わせしてしまったのだ。
「お前、タイミング合わせてきたのか?」
「そんなわけないでしょう? 先輩こそ、ストーカーやめてくださいよ」
また険悪なムードだ。きっと僕がここに来たからいけないんだ。僕が居なくなれば、この雰囲気は良くなるだろうか?
取り敢えず、僕は服を脱いだ後、先生からそっと離れて一人で身体と頭を洗い、一人で湯船に入った。そんな僕に気が付いていないのか、先生と透キヨさんは隣同士でシャワーを使いながら、まだ何か言い合いをしているようだ。
「あの二人、いつも仲良くお風呂に来てたから、お風呂に来るタイミングもシャワーを使うタイミングも湯船に浸かるタイミングも一緒になっちゃうんだよ。人のルーティーンって、そんなに簡単に変えられるものじゃないからさ」
「あの、あなたは?」
先生たちを見ていると、急に横から話し掛けられて僕はどきりとしてしまった。あまり知らない人と話す機会がなくて緊張してしまう。
「あ、僕は千里、よろしくね」
話し掛けてきた人は、ひょろっとした色白の人で、よく見るとおでこの真ん中に三個目の瞳があった。
「新海智也です。二人のことよく見てるんですね」
「ずっと透キヨと組みたかったからね、僕は」
千里さんのおでこにある目がギョロッと動いて透キヨさんを見た。
「へ?」
「だって、誰にも見つからない能力ってすごくない? 気付かれずに悪いあやかしに近付けるって検挙率上がりまくりじゃないか。僕の透視の能力と併せたら最強だね」
「そう、なんですね」
先生から透キヨさんの話を聞いていたから、僕は複雑な気持ちになった。たぶん、透キヨさん自身は、大きい子供を嫌いになるのと同じで自分の能力も嫌いになってしまったんじゃないかと僕は思う。
「お前、今、何を追ってるんだ?」
僕が次に発する言葉を見つけられないでいると近くに先生と透キヨさんが入ってきた。
「秘密です。先輩には関係ないでしょう? 俺は、今、この千里くんと組んでるんで」
そう言って透キヨさんは千里さんの真横に移動した。千里さんは自分の願望を叶えていた。ということは、透キヨさんの能力を利用したいがために組んだのだろうか?
「へえ、そうかい。怪我にだけは気を付けろよ?」
「先輩こそ」
お互いにそっぽを向いてしまったけれど、どちらもお気に入りの場所を譲る気はないらしい。お風呂から上がるまで、二人はお互いの近くでお湯に浸かっていた。それより先に出た僕は見知らぬあやかしたちにじろじろと見られたり話し掛けられたりで大変だった。
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