天乃ジャック先生は放課後あやかしポリス

純鈍

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第2話 駄菓子化し

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「まあ、そんなところだ。――それにしても、とっても立派な空気清浄機だな」
「だって、ここ湿気もすごいしホコリもすごくて最悪なんだもの」

 壁際でシュウッと音を立てている白い機械を覗きこみながら二人がそんな会話をしている。結構この空間は快適そうだ。エアコンも完備されている。

「それで? 情報は?」
「近くの色んな学校で生徒が次々にいなくなってるって。いなくなっちゃってるから、それに関する噂も広がらないし、あんたにも何も分からないと思う」

 その人間を見なければ心も見れない、と猫バアさんは言いたいのだろう。

「この学校では、まだ消えた生徒はいないよな?」
「いないようね。あ、そうだ。今、校庭でサッカーの練習試合してる三ヶ木みかげ中学では生徒が五人くらいいなくなっているみたいよ?」

 戸棚から水色のファイルを持ってきて、猫バアさんは何枚か紙をめくって答えた。

「そうか、じゃあ、見てみるか」
「他の学校は平日に抜け出して見に行くしかないかもね」

 ファイルを戸棚に仕舞う猫バアさんのお尻で三毛猫の尻尾が二本ゆらゆらと揺れている。

「新海は? 何か見えたか?」
「い、いえ、まだ何も」
「まあ、焦らずにな」

 突然先生に話し掛けられてびっくりしたけれど、誰の未来も過去も見られていなくて、役に立たなかった。そんな僕に先生は優しく言ってくれて、そのままの口調で「ありがとう猫バア」と猫バアさんにもお礼を言っていた。

「たまにはお姉さんって呼んでくれても良いんだからね?」
「気が向いたらな」

 そう言いながら、すぐに跳び箱から外に出て行く先生。

「新海くん」
「はい」
「天乃のこと、よろしくね」
「はい?」
「さ、行って行って」

 一体何だったのか、猫バアさんは戸惑う僕の背中をぐいっと押して交番から追い出した。
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