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第2話 駄菓子化し
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◆ ◆ ◆
朝食後、「連れて行きたいところがある」と言われて僕は先生についていった。――学校だった。
休日も部活に励む生徒たちの横を抜けて、先生と僕は校庭の横にある灰色の体育倉庫まで来た。ガラガラと少しサビついたシャッターを開けて、先生が先に中に入っていく。僕も恐る恐る中に入っていった。
だって、ここは最近噂になっている妖怪ババアが出る体育倉庫じゃないか。もしかして、先生はあやかしポリスとしてやつを捕まえてに来たのだろうか?
エアコンがないはずなのに、薄暗くてじめっとした倉庫の中は外より涼しかった。
「……っ」
僕が中に入ったのを確認してから先生が電気を点けて、シャッターを閉めたのでどきりとしてしまう。これだと逃げ場がまったくない。大きめの倉庫に校庭で使う物がところ狭しと並んでいて、慌てて走ったりなんかしたら絶対に何かに足を引っかけて転ぶ自信がある。
「先生、ここ妖怪ババアが出るんですよね……?」
先生の後ろにぴったりとくっついて僕は尋ねた。そんなときだった。
「出るわよ?」
「うわああああああああ!」
耳元で女の人の声が聞こえたと思ったら、ふぅっと耳に息を吹き込まれて僕は飛び上がってしまった。勢い余って先生の背中に衝突してしまい、その場に尻もちをつく。
「やめろ、猫バア」
先生が振り向き、僕の後ろに立っている人物に怒った。
「ババアじゃないもん、お姉さん、だもん」
「ババアだろ、妖術を使って若返るな。――大丈夫か? 新海」
「すみません」
先生に腕を引っ張ってもらって立ち上がり、後ろに立っていた人物の姿を確認する。会話からして先生の知り合いみたいだけど……
朝食後、「連れて行きたいところがある」と言われて僕は先生についていった。――学校だった。
休日も部活に励む生徒たちの横を抜けて、先生と僕は校庭の横にある灰色の体育倉庫まで来た。ガラガラと少しサビついたシャッターを開けて、先生が先に中に入っていく。僕も恐る恐る中に入っていった。
だって、ここは最近噂になっている妖怪ババアが出る体育倉庫じゃないか。もしかして、先生はあやかしポリスとしてやつを捕まえてに来たのだろうか?
エアコンがないはずなのに、薄暗くてじめっとした倉庫の中は外より涼しかった。
「……っ」
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先生の後ろにぴったりとくっついて僕は尋ねた。そんなときだった。
「出るわよ?」
「うわああああああああ!」
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「やめろ、猫バア」
先生が振り向き、僕の後ろに立っている人物に怒った。
「ババアじゃないもん、お姉さん、だもん」
「ババアだろ、妖術を使って若返るな。――大丈夫か? 新海」
「すみません」
先生に腕を引っ張ってもらって立ち上がり、後ろに立っていた人物の姿を確認する。会話からして先生の知り合いみたいだけど……
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